見出し画像

食品衛生のプロに必要なスキル:ペトリフィルムの使い方

食品衛生管理に必須のツール、ペトリフィルムの使い方を学び、衛生管理のレベルアップを目指しませんか?
本記事では、ペトリフィルムの使い方、結果の読み取り方、保管方法など、正確な細菌検査のための知識をわかりやすく解説します。


ペトリフィルムについて

ペトリフィルムとは、簡単に言うと、均一な乾式フィルム状のできあがり培地です。
食品衛生管理の現場では、手間を省きながらも正確な細菌検査を行うことが求められています。
そんな中、このペトリフィルムは、そのニーズを満たす素晴らしい商品として広く活用されています。

ペトリフィルムの概要

ペトリフィルムは、透明なプラスチックフィルムの間に特定の細菌のための固形培地が封じ込められています。
細菌の種類に応じて、さまざまなタイプのペトリフィルムが用意されています
使用は非常に簡単で、試料をフィルム上に置き、フィルムを閉じれば培養が始まります。
検査結果は、培養後に肉眼で確認できます。

ペトリフィルムが提供する利点

ペトリフィルムは、その手軽さと信頼性で、多くの食品衛生管理の現場に貢献しています。
特に、次の3つの大きな利点があります。

まず、準備と後処理が簡単なことです。培地を自分で作る必要がなく、使用後の廃棄も容易です。
そのため、作業時間を大幅に短縮できます

次に、結果が分かりやすいことです。
肉眼でカウント可能なコロニーが現れるため、特別な機器がなくても細菌の数を把握できます。

そして最後に、保存や輸送が容易であるという点です。
冷蔵庫での保存が可能で、長期間の保管も問題ありません。
また、軽量で場所を取らないため、遠隔地での使用や現場間の輸送もスムーズに行えます。

以上の特徴から、ペトリフィルムは食品衛生管理に欠かせない道具となっています。

ペトリフィルムを使った細菌検査の手順

ペトリフィルムを使用した細菌検査の手順は、そのシンプルさが特徴です。
特別な道具や機器は必要とせず、清潔な作業環境と正しい手順を守ることが重要です。

必要な道具と準備

ペトリフィルムを使用するには、試料を取り扱う道具(ピペットや試料取り器具など)、クリーンな作業台、そしてもちろんペトリフィルムが必要です。
また、手袋やマスクを着用し、清潔な作業環境を確保することも大切です

ペトリフィルムへの細菌の接種

まずは、試料を取り、ペトリフィルムの上部フィルムを開きます。
次に、試料をフィルムの中央部に直接置きます。
大抵の場合、1ml程度が目安ですが、試料の状況により適宜調整してください
試料を置いたら、上部フィルムを元に戻して閉じます。
閉じた後は、フィルムを軽く押して試料を広げ、接触面積を最大限に広げます

培養の方法と時間

ペトリフィルムに試料を接種した後は、適切な温度で培養します。
一般的には、35℃前後の温度で24~48時間程度が目安ですが、検査対象の細菌の種類により、培養温度や時間は変わることがありますので、製品の指示に従ってください。
また、フィルムを水平に保つことで、培地の均一な分布と正確な結果を得ることができます

結果の解釈と分析

ペトリフィルムから得られる結果の解釈と分析は、細菌検査において非常に重要な部分です。
正確な読み取りと分析を行うことで、細菌の存在とその数を把握し、必要な衛生管理を実施することが可能となります。

ペトリフィルムの読み取り方法

ペトリフィルムの読み取りは、特別な機器が必要ないという利点があります
通常、透明なフィルムの表面に現れるコロニー(細菌群)を目視で数えることで、細菌の存在を確認します。
ただし、コロニーが非常に多い場合や、小さすぎて見づらい場合には、コロニーカウンターや顕微鏡などの機器を使用することもあります。

細菌の特定と数の計算

ペトリフィルム上のコロニーの色や形、大きさから細菌の種類を特定できる場合がありますが、確定的な同定には別途テストが必要な場合もあります。
細菌の数は、コロニー形成単位(CFU)という単位で表され、ペトリフィルム上のコロニーの数から計算します。
コロニーの数が多いほど試料中の細菌の数が多いと考えられます。

結果の記録と分析

結果は、読み取りや計算が終わったらすぐに記録することをお勧めします。
細菌の種類、数、試料の情報(試料の名前、取得日時、場所など)を一緒に記録しましょう。
この情報は、後の分析やトレンドの把握、異常値の確認に役立ちます。
また、結果は定期的にレビューし、必要に応じて対策を立てることが重要です。

ペトリフィルムの取り扱いと保管

ペトリフィルムの取り扱いと保管は、その性能を維持するために重要です。
正しい方法で廃棄し、適切な条件で保存することで、信頼性のある結果を得られます。

使用後の廃棄方法

使用後のペトリフィルムは、生物学的な廃棄物として扱われるべきです。
それは、細菌や他の微生物が含まれている可能性があるためです。
菌の有無に関わらず適切なバイオハザード廃棄物コンテナに入れて、地域の規定に従って処分しましょう
また、使用前には必ず手袋を着用し、使用後は手を適切に洗うことを忘れないでください。

保管条件と有効期限

ペトリフィルムは、未開封であれば、8℃以下で保管した場合、表示されている有効期限まで使用可能です。
この期限を超えると、ペトリフィルムの性能が低下する可能性があるため、有効期限内に使用しましょう。
期限切れのものは、未使用であっても使用せずに廃棄することが最善です

開封後のものは、湿気を嫌うため、室温保存または冷凍保存します。

室温保存の場合、袋の開口部を折り、テープやクリップで閉じます。
密封できる容器で室温(25℃以下、相対湿度50%以下)の部屋、あるいは空調の効いた部屋で保存し、開封後1ヶ月以内に使用してください

冷凍保存の場合、試験室が25℃以上で、相対湿度が50%以上に保ってください。
空調が無い場合は冷凍保存をお勧めします。
袋をテープで閉じ、密封できる容器に入れます。
製品は袋に記載されている品質保持期限以内に使用してください。
この時、冷凍庫の自動霜取り装置は使用しないようにしてください

また、冷蔵庫での保存は冷凍庫より湿度が高いことや、結露しやすいことから、保管場所としてお勧めではありません。

よくある質問

Q1.ペトリフィルムはどのような細菌に対応していますか?
A1.ペトリフィルムは様々な種類の細菌に対応します。例えば、大腸菌、サルモネラ、リステリアなど、食品感染症の原因となる細菌を検出することができます。それぞれの細菌に対応する専用のフィルムがありますので、目的の細菌に合わせて選んでください

Q2.ペトリフィルムの結果はどれくらいの時間で出ますか?
A2.ペトリフィルムの結果が出る時間は、培養する細菌の種類と培養温度によります。一般的に、24-48時間の培養が必要となります

Q3.ペトリフィルムの保存期間はどれくらいですか?
A3.未開封のペトリフィルムの保存期間はパッケージに記載されている品質保持期限を参照してください。開封後は密封し、室温保存の場合は1ヶ月、冷凍保存の場合はパッケージに記載されている期限まで保存できます。

Q4.ペトリフィルムの正しい廃棄方法は何ですか?
A4.菌の有無に関わらず、バイオハザード廃棄物として処分するべきです。地域の規定に従って適切な廃棄物処理施設へ持ち込んでください。

Q5.ペトリフィルムでの培養温度や時間はどれくらいが最適ですか?
A5.ペトリフィルムでの培養温度や時間は、検出する細菌の種類によります。詳しくは商品の説明書をご覧ください。

ペトリフィルムの適切な使用と保管法は、食品衛生管理を高め、安全な環境を実現する鍵となります。
この知識を活かし、細菌検査の精度を上げ、信頼性の高い結果を得るために、是非日々の業務に取り入れてください。
この記事が皆さんの衛生管理の一助となれば幸いです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?