再就職手当について

再就職手当とは?

再就職手当とは、失業手当の受給資格を満たしている人が、早期に安定した職業に就いたり、開業したりする場合にもらえる手当のことです。所定の条件を満たした状態でハローワークへ申請することにより、支給されます。

再就職手当を受給することによるメリットをご紹介します。

① 失業状態の不安を和らげられる
次の就職先を早く決めるということは、失業状態も短期間で済みます。求職中の人のなかには、失業期間が長くなり、社会復帰への不安を感じる人も少なくありません。再就職先が決まることでこうした不安を払拭できます。また、仕事のブランクも短くなるため、よりスムーズに新たなキャリアをスタートできるでしょう。

② 収入が安定する
早く再就職を決めることにより、再就職先からの給与と再就職手当が受給できるため、収入が安定します。失業中は失業手当を受け取れますが、支給されるのは離職前の給料より低い金額です。受給できるのは原則として離職日の翌日から1年間のため、失業状態が長くなるほど生活費が不足するおそれがあります。
失業手当の支給期間が終わるのを待たずに早めに転職をすれば、再就職先から給与を支給される上に、非課税の再就職手当も受け取れるので、収入が見込めます。

再就職手当を受けるためには、厚生労働省が定めた8つの条件を「全て」満たした上で手続きを行う必要があります。

再就職手当の受給条件

1.受給手続き後、7日間の待機期間満了後の再就職または事業開始であること
失業保険受給手続きをしてから7日間の待機期間中に仕事を始めた場合は認められません。また、待機期間中に仕事などをしたことにより失業の状態でなかった日や、失業の認定を受けていない日は、待機期間に含まれません。

2.失業手当の支給残日数が、3分の1以上残っていること
支給日数の残りが所定給付日数の3分の1を下回っている場合は、受給資格がありません。

3.再就職先と前職との間に、密接な関わりがないこと
再就職手当は、前職とはまったく関係のない会社に転職した場合のみ支給されます。たとえば、前職からの紹介で就職した場合や、退職後、再び同じ会社に就職した場合、資本・資金・人事・取引面で密接な関わりのある会社に転職した場合は支給対象外です。

4.ハローワークまたは人材紹介会社経由で決定した再就職先であること
自己都合などで離職をした場合、基本的に失業手当の給付制限を受けます。この給付制限がある人は、求職申し込みをしてから、待機期間終了後1ヶ月の間は、ハローワークか厚生労働省が許可した職業紹介事業者からの紹介で再就職する必要があります。

5.再就職先で、1年を超えて勤務することが確実であること
再就職しても1年以内に退職する可能性がある場合、手当の対象外です。派遣スタッフの場合、1年以下の派遣契約は支給の対象外となりますが、契約更新の見込みがある場合は、再就職手当の支給対象となります。

6.雇用保険に加入していること
再就職手当を受給するためには、原則として再就職先での雇用保険への加入が必要となります。

7.過去3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと
3年以内に、再就職手当を含む就職支度手当を受けたことがある場合は、受給することができません。常用就職支度手当とは、さまざまな理由で就職が困難な人が就職した際に支払われる手当のことです。

8.受給資格決定前に、再就職先での採用が内定していないこと
失業手当の申請より前に採用が内定している場合は、受給資格がありません。たとえば、前職を退職した時点で、すでに転職先が決まっている場合は支給対象外となります。

再就職手当の受給金額はどれくらい?

再就職手当は、「基本手当日額」に「支給残日数」と「給付率」を乗じた額です。具体的な計算式とともに見ていきましょう。

再就職手当の計算方法

再就職手当の受給額の計算式は以下の通りです。
再就職手当の受給額=基本手当日額 ×支給残日数 × 給付率
支給残日数とは、失業手当の残り期間を指します。つまり、支給残日数が多いほど手当の額は高くなります。給付率は、再就職した時点の基本手当の支給残日数によって60%または70%と決められています。

・支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合→給付率70%
・支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合→給付率60%

また、基本手当日額は以下の計算式によって算出できます。
基本手当日額=離職前の6ヶ月間の給与合計額 ÷ 180(日)× 給付率

再就職手当の手続き
再就職手当の支給を受けるためには、いくつかの手続きが必要です。その手順を紹介します。

STEP1. ハローワークへ採用証明書を提出する
再就職先で「採用証明書」の必要事項を記入してもらい、ハローワークに提出します。採用証明書は、雇用保険の受給手続きの際に渡される「受給者のしおり」の中に含まれています。万が一、紛失してしまった場合は、ハローワークのホームページからダウンロードすることも可能です。

STEP2. 再就職手当支給申請書を受け取る
再就職先に記入してもらった「採用証明書」、受給番号や基本手当日額などが記載されている「雇用保険受給資格者証」、就職活動の実績を記載した「失業認定報告書」の3点をハローワークに提出し、再就職手当の支給要件に該当する場合は、すると、「再就職手当支給申請書」を受け取ることができます。

STEP3. 再就職手当支給申請書を再就職先に提出し、証明を受ける
「再就職手当支給申請書」を受け取ったら再就職先に提出し、必要事項を記入してもらいます。前職とのつながりがないことを証明する書類にも記入が必要です。

STEP4. 「再就職手当支給申請書」と「雇用保険受給資格証」の提出
「再就職手当支給申請書」と「雇用保険受給資格証」をハローワークへ提出します。合わせて、再就職先が離職前の会社前職と関係がないことの関連事業主についての証明書(※2)や、タイムカードの写しなど、転職先での勤務実績を証明する書類の提出を求められることがあります。
(※2)再就職先の会社で記載してもらいます。

再就職手当の申請期限

再就職手当の申請期限は、原則、再就職をした日の翌日から起算して1ヶ月となっています。申請期限を過ぎると、せっかくの再就職手当が受給できないので注意しましょう。

再就職手当が受給できないケース

支給残日数が不足している場合

「支給残日数」とは、再就職する日の前日までの期間のことです。所定給付日数から就職前日までの日数を減算することで計算できます。

この支給残日数が所定給付日数の3分の1以上なければ、受給できません。たとえば、所定給付日数が90日の場合、支給残日数が30日以上必要です。

雇用形態や期間が支給条件を満たしていない場合

再就職手当は、新しい就職先で1年以上の雇用が見込める場合に支給されます。そのため、短期間のアルバイトや、1年に満たない限られた期間の派遣契約、日雇い契約の場合は、再就職手当を受け取ることができません。ただし、派遣スタッフ社員などで契約更新が前提で、1年以上の就業が見込める場合は「再就職」として認められます。

再就職した後に再び退職した場合、その旨を申告することで、引き続き「失業保険」を受けられる可能性があります。受給漏れのないように、まずはハローワークに相談しましょう。

離職前と同じ企業に再就職をした場合

離職前と同じ企業や密接な関わりのある企業に再就職をした場合は、再就職手当は受給できません。

再就職手当をもらわなかった場合

通常、就職日から1ヶ月の間に支給申請を行う必要がありますが、就職日から2年間は支給申請が可能です。2年を過ぎると時効となり、申請できなくなるので注意しましょう。

再就職手当の受給も視野に入れ、納得のいく転職活動を

基本手当の受給期間中に、早期の再就職を決めることで受給できる「再就職手当」は、離職期間が少ないほど受給額も高くなります。いつまでに就職を決めればいくらもらえるのかなど、受給額のシミュレーションをしてみると、転職活動のモチベーションアップや収入面などの不安解消にもつながりそうです。支給要件が自分に当てはまるかなど、気になる場合は早めにハローワークなどに相談することをおすすめします。





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