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【最終回】火狩りの王2ndシーズン全話観ました【超感動】



はじめに


 前回第9話で灯子が落獣を狩り、神のように人間を支配する神族が、実は人間から人為的作り出された改造人間たちであることが発覚しました。
 世界の真実に辿り着いた煌四灯子は、先に向かった明楽を追って、神族の頂点に君臨する姫神・手揺姫がいる真の神宮へ足を走らせるのでした。きっとそこに揺るる火の依代となっている綺羅もいることでしょう。

 今の世界がどう終わって、その後でどんな世界が始まるのでしょうか?本当のことを知った人間たちはどうするのでしょうか。
 神族が人間を支配しているように見えて、人間がいないと存在できないのは神族の方でした。神族の統治の目的はこの世界の存続ではなく、神族の存続だったのです。

 現実に生きる私たちに対する強烈なメタですね…。

最終話『灯し火』あらすじ

 狩り犬・彼方に導かれるように真神宮に到着すると、そこでは先に着いていた明楽と風の神族・雲雀が睨み合っていました。

明楽「お前たち…やっぱり来ちまったのか」
雲雀「私が呼んだのはその小娘だけだ。流れの火狩りなどに用はない」

 そこに木の神族・瑠璃茉莉が現れます。「お前たち神族は人間がいなければ存続できないんだ!」と糾弾する煌四に対し、瑠璃茉莉は「そのとおりだ。いつかはお前のように事の真相に思い至る人間が現れる。人間はいつまでもそのことに気づくまいと侮っていたのだから、我々神族の知恵も知れたものだ。火狩りよ、お前が炎魔を狩るために使うその鎌は、手揺姫の姉神・常花姫が命と引換えに鍛えた。その道具がなくては、人間は炎魔から火を得ることができない。人間を生かすため、この世界の秩序を維持するために、一度崩壊した世界で、神族は確かにそれができる存在だった。人間に勝る寿命と自然物と呼応する異能を持つ集団。そして自分たちの持てる力を使えば、死にゆく者たちを救える。そんな意思を持つ者たちも中にはいたのだ、常花姫のように。手揺姫の寿命は本来もっと早くに尽きていた。首都の工場地区はその寿命を引き延ばすための大掛かりな装置だ」と、語り経緯を説明しました。

煌四に対し「雲雀が興味を持つだけのことはある」と称賛する瑠璃茉莉

 「人間なしには神族は存在していられない!」と、責め続ける煌四に周りの神族たちは「いつまでこの茶番を続けるつもりだ」「聞くに堪えぬ人間風情の戯言」など優生思想的な見地から反発します。 

煌四「今の人間は、火を弄んだ挙句に、その手で世界を滅ぼしてしまったかつての人間たちの哀れな末裔に過ぎない!」 
灯子「彼方が…彼方が私らのために戦うなら、私も彼方のために戦います」

 煌四が「今人間は、火を恐れ、獣に怯えて暮らす惨めな生き物に過ぎないが、神族もまた同じように、いや…首都を滅ぼそうとした蜘蛛もみんな、旧世界の人間たちの後始末をさせられている存在であることに変わりはない。僕たちは、もう死んでしまった人間たちの残した仕掛けの中で、殺し合っていただけなんだ!」と、世界の構造について私見を述べます。

 そこに話を聞いていた手揺姫が現れます。
 しかし、その姿は泥のように崩壊していました。

雲雀「この国の姫神、我々神族の力を結び、国土に安寧をもたらす唯一の存在、常花姫の姉妹神であり、揺るる火の双子の姉上であられる」
手揺姫の姿に動揺する灯子
揺るる火「手揺、あまり動かないで。体が崩れてしまう」

 突如として、揺るる火の依代となった綺羅が現れると、姉である手揺姫を気遣います。手揺姫は灯子に憑依して「おかえり、揺るる火」と、言葉を返しました。
 続けて「ひとりでどうしているのか、ずっと案じていました。私の寿命はとうに尽きていたけれど、私は命を引き延ばしてもらって、姫神として務めると決めました。あなたが戻ったときに寂しくないように、ずっとここで待っていました。あなたは、かつて私に似せて生み出された、私の血を分けた妹です。常花姫が私を案じてくれたように、私もあなたを案じていました」と、思いを伝えました。

 それに対し、揺るる火は「私は世界を見守るために人々を救い、慰めるために宇宙に放たれたのに、何もできずに、世界が滅んでいくのを見るだけだった。殺し合うことを、破壊し合うことを、誰もやめてくれなかった。こんなつもりではなかったと、たくさんの人間たちが悔やみながら滅んでいった。非力な者も、力ある者も、最期は綯交ぜになり、自ら放つ火によって焼かれ、この星に住むすべての人間を等しくした。私が見たのは、この星の無意味だった」と、悲しそうに嘆息を漏らしました。
 言い終えると、揺るる火は綺羅の体から出て、機械のようになった姿を灯子たちに見せました。

瑠璃茉莉「お前たち人間は、外見で判断するのが好きだからな」

 周囲が世界、人間、神族の存続について口論する中で、揺るる火は「私はもう終わりにしていいと思う」と、静かに意見を述べます。
 そして灯子に「私がかつて、軌道上から見下ろしていたすべての人に、あなたは似ている。逃げ惑い、泣き叫んで死んでいったすべての生者と死者に、あなたは似ている。絶望しながら、それでも助かりたいと願いながら、洗いざらい死んでいった者たちに。私は…あなたにだったら狩られてもいいと思う。私が助けたいと願い、けして助けることのできなかったすべての者たちに、あなたは似ているから」と、告げました。

なぜ自分だけが…と揺るる火の言葉に困惑する灯子
灯子にだけ真の姿を見せる揺るる火

 揺るる火は、灯子に人間が壊してしまった後の世界を託して狩られ、揺るる火の決断を神族たちは尊重するのでした。

感想

 今期のアニメの中で、この作品だけ内容・思想・脚本がケタ外れにレベルが高く、ついに終わってしまったという喪失感に包まれています。言うまでもなく、このアニメは我々が住んでる世界の現状と行く末を比喩的に描いています。
 正直、内容が高度すぎて完全に理解しきれていませんし、また何度も観るべきアニメに思えます。

 すべてを観終えた今、現実の自分の人生をしっかり生きていこう、と身の引き締まる思いに包まれました。これだけ高度な内容なので、アニメ化するのは凄く大変だったと思います。さすが西村純二さん&押井守さんです。
 自分の中では両氏がタッグを組んだ『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』超えました!

 wowowとIG系の作品は総じて好きです。次回作にも大いに期待ですね。


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