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【熱狂作】忘却の旋律第5話『君に届く声』まで観ましたー。【白夜岬編】


はじめに

 prime video for  dアニメストアで『忘却の旋律』第5話まで観ましたー。20年前にこのアニメを観て、思想的に凄いアニメであるということは認識しながらも理解しきれずに途中で観るのをやめてしまいました。
 作品の雰囲気的には、『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』などに似ている気がします。

 今期のアニメで『忘却バッテリー』という中学時代最強のバッテリーを組んでいた投手と捕手のうち、捕手の子が記憶喪失になって野球の強豪校ではない一般高校に入学するアニメがありますが、”忘却”という単語を観るたびに、未回収のこのカルト的熱狂アニメを最後まで観て理解しなければならない気持ちが強くなりました。

作品の概要

 ”目的があって家を出るのは家出じゃない、それは旅立ちなんだ”

 作品の内容は非常にメタ的で、20世紀に人類とモンスターが全面戦争をして、勝ったのはモンスターのほうでしたという前置きから始まります。
 その結果、現代社会において人間たちは一見平和で豊かに生活していますが、実は影では人間の権力者たちはモンスターの言いなりになるだけの傀儡となっています。牙を抜かれた普通の人間は、モンスターの実体を目にしただけで肉体を失って即死します。

 かつてモンスターと戦ったメロスの戦士の生き残りは浮浪者同然の生活を強いられており、またモンスターに敵対的な言動をする人は頭がおかしい人として見下される存在になっています。 
 主人公の芹名ボッカ(桑島法子さん)は、利己主義と日和見主義の大人たちが支配する社会に抑圧感を覚え、本来的な自分の生き方ができていないと感じている高校生です。
 
 日々の暮らしに虚無感と手応えのなさを抱えるボッカですが、ある日、メロスの戦士・黒船を探す家出少女・月ノ森小夜子(浅野真澄さん)と出会います。
 黒船は人間がモンスターに負けた後の世界で、メロスの力を保持している数少ない戦士です。

 メロスの戦士とは、モンスターを殲滅し人類に自由を取り戻す事を使命としている人間のことで、その意思を強く志す者にのみ発現する戦闘能力を持つ者です。
 また、忘却の旋律とは、メロスの戦士にのみ見える謎の少女の幻を指し、『世界の何処かにいるこの少女の本体を見つけられれば、モンスターを全滅させて人間は自由を取り戻す』という伝説があります。
 
 黒船とモンスターの戦いを目撃してメロスの戦士の力が覚醒したボッカは、それまでの人生のすべてを捨て去り、メロスの戦士としてモンスターと戦うことを決意し、行く先々でモンスターやモンスターユニオンのエージェント(モンスターに忠誠を誓うことで人々を支配する人間)達との闘いを繰り広げていくことになるのでした。

 

感想

 大人になってから視聴すると、経済的繁栄と引換えに大和魂を失った日本人の精神的救済というテーマ、反米思想&反日右翼アニメとして観ることができました。
 ボッカたちはモンスターとモンスターの言いなりになって私腹を肥やす人間を成敗して正義を成していきますが、誰にも感謝されません。それどころか、利権にしがみついて生活していた人たちには「余計なことをしやがって!」などと吐き捨てられる始末です。

 モンスターはほぼ高みの見物をしていて、モンスターに忠誠を誓って甘い汁を吸おうとしている人間と戦わなければならない点が非常に秀逸に思えました。力なき正義は無意味と考える人もいますが、抗わずに進んで支配されるのはやはり違う気がします。
 究極をいえば、醜く生きるか美しく死ぬか、という話になってしまう気がしますが、物事の真贋を見極める眼を養わねばならないと思わせてくれるアニメでした。

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