そう、情熱もない

10月1日
10月ド頭のこの日私は歩いていた。明らかに不自然な量の荷物と共に、ただひたすら(…ダリィ)と心の中で愚痴やら文句やらを唱えながら。

昼過ぎ頃目的地である方南会館に着いた。道中のコンビニで買った唐揚げとエクレアを頬張りながら。
(来ちゃった)内心こんな気持ちだった。なんせ、ここで今から行われるイベント「1年生合同ネタ見せ」は決して良い目で見られているものではなかったからだ。

事の発端は…もう覚えていない。確か、同じ大学の同期のおーさこぴが当時のTwitter(現X)でなんか呟いたのがきっかけだった気がするけど…駄目だ思い出せん。その後は色々あった。周囲の反応は賛否両論、いや否多めだった気がする。少なくとも私の周りではそうだった。

じゃあ、私自身はどう思っていたか。そんなことここまで読んでたら分かるだろ、反対派である。そもそもなんの実績もない1年生がなにでしゃばってんだ、という話である。あと、報連相がちゃんとしてないのにも腹が立っていた。そもそも方南会館という会場も騒ぎを大きくした原因の1つである。方南会館は大学芸会という大学お笑いの大会にも使われる学生芸人にとってはかなり特別な場所である。そこをポッと出が借りてネタ見せするとか普通、何考えてんだってなる。

で、いざ来てみるとめちゃくちゃ人いた。こんなに同期いるんだ、世界って広いなぁとさえ思った。しかし、やはり私の口からは基本マイナスの言葉しかでない。そりゃそうだろ、やる気無いんだもの。嫌々来てんだもの。ネタもフリップに起こしたのは前日である。知り合いの同期に会えたり、はじめましての同期と繋がれたのは収穫だった。(特に小澤)

私はAブロックなのでめっちゃ早かった。ただ色々あって実力を買われている逃避行の前の出番なのは嫌だった。やっぱり実力ある人の前後は避けたい。出番直前までは全くといっていいほど緊張はしなかった。なんならツカミを変えようかと考えてたくらいだ。そして、いざ舞台へ。

結論から先に言うとウケたといっていい方だろう。ただ直前に変えたツカミは失敗した。このネタ見せ会をいじったボケはことごとくスベった。その時に私は悟った「あぁ、これガチなやつなんだ。」私の中で何かが外れた。ぶっ壊れた。そっからはめちゃくちゃな緊張の中でやってた。ネタ終わり少々体調が悪くなり小一時間ほど外の風に当たっていた。

楽しかった。嘘ではない。参加して良かった。これも紛れもない私の本心だ。ただ「この会自体が良いものだったか」この問いに対して私は素直に首を縦に振ることはないだろう。かといって横に振ることもない。おそらく唸り続けて終わりだ。前例が無いものは誰だって怖い。それを良い悪いで一概に片付けて良いはずがない。しかし、私から情熱を引き出した、この事実は曲げようのないことだ。実際、この後2つほどライブに申し込んだ。まあ、その熱ももう冷めたので「学園祭のネタどうしよう、もう合同ネタ見せでやったネタ持ってくか」ってテンションだ。

ただ今回の会は成功した。成功してしまったの方が適切かもしれない。この会が今後参加した人達にどう作用していくかはわからない。だが、参加者やスタッフ、実行の主要メンバーそして見に来てくださった何名かの方々には最大級の感謝と敬意を送らせていただく。

普通こういうのは参加する前はアレでも参加後に印象変わるモノなのだろうが今回に限っては変わらないのが正解なのではないだろうか。まあ、酒の肴くらいにはなりそうである。…私は体質上、酒が飲めないのだが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?