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【週刊消費者情報】 『消費者情報』Web版11月配信号(No.506)予告〈特集編〉

 本年9月30日、兵庫県立明石公園内の「子どもの村」(写真下)がリニューアルオープンしました。広場にはインクルーシブ遊具が設置され、連日にぎわいを見せているそうです。インクルーシブ遊具とは「障害のある子もない子も年齢・性別・国籍など関係なく、一緒に遊ぶことができる遊具のこと」。また、11月12日まで同公園内では菊花展覧会が開催されていますから、一度訪ねてみたらいかがでしょうか。

障がい者の消費者トラブルが増えてきた

 『消費者情報』Web版11月配信号の予告です。
 特集タイトルは「障がい者の消費者トラブル~予防と救済~」です。
 この10年間、全国の消費生活センターに寄せられた障がいのある方(家族等を含む)からの相談件数は2万件超で推移してきています。また、近年はスマホなどの普及によってネット関連のトラブルが増加傾向にあるようです。障がい者の社会進出が増える一方で、消費者被害の発生もまた高まってきているのでしょうか。

特集「障がい者の消費者トラブル~予防と救済~」

 巻頭インタビューに登場いただいたのは、岡山県消費生活センターで消費者教育コーディネーター、消費生活相談員として活躍されている矢吹香月さんです。
 矢吹さんは長年にわたり障がい者の消費者教育に取り組んでこられました。消費者庁が作成した『障がい者の消費行動と消費者トラブル 事例集』などにも客員主任研究員として関わられています。障がい者の特性を踏まえた消費者教育の重要性を語られるとともに、相談対応のあり方、そして人権や公正な社会づくりにも言及されています。なんといっても、柔和な笑顔の写真がすてきです。
 
 消費者庁地方協力課からは、「消費者安全確保地域協議会」(見守りネットワーク)について、これまでの動きと今後について寄稿いただきました。高齢者や障がい者等の脆弱な消費者の消費者被害を防止するには地域力が欠かせない、という点がよく理解できる内容です。  
 次葉は「現場を訪ねて」と題し、社会福祉法人 大阪手をつなぐ育成会と門真市消費生活センターの取り組みを紹介します。取材時、育成会の事務局長は、事業者の悪意・配慮不足・仕組み(契約)――の3つの要因によって障がい者の消費生活は決して満足のいくものではない、とおっしゃっていました。
 そして門真市消費生活センターでは、見守りネットワークの取り組みとそのメリットについて現場の声をお聞きすることができました。
 国学院大学教授で弁護士の佐藤 彰一さんは「相談対応の重要性と二つの課題」と題し、被害の現状と相談対応の重要性、そして合理的配慮に加え、積極的是正措置の必要性について述べられています。未だ知的障がい者や精神障がい者への配慮は進んでいなく、相談対応において相談員が苦慮していることを指摘されたうえで、福祉部門との連携等を充実すべきだと書かれています。
 特集のアンカーは、東京家政学院大学現代生活学部教授の小野 由美子さん。「障がい者の消費者トラブルの現況と消費者教育」を論述していただきました。自身の調査から「心身障害者関連」「判断不十分者契約」の2つのキーワードから出された消費生活相談情報では、借金問題の相談が全体の3割、スマホ、ネット関連は7割ほど・・・。そのうえで、障がいのある人が安全に暮らしていけるための消費者教育と支援体制の整備について書かれています。

 最後に是非お読みいただきたいコーナーは、連載「現場からの情報・相談」です。タイトルは「障がい者がオンラインゲームで高額課金をしてしまった」。大阪府消費生活センターに寄せられた相談事例に基づき、処理結果などベテラン相談員が分かりやすく解説しています。

 つぎは連載ページの紹介記事を投稿いたします。
                『消費者情報』Web版 編集室 原田修身

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