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洗い流される関係

ザーザー

「ん…う〜ん…雨か…」

『スピー💤』

隣で愛しい人が寝ている

だけど今日で、いや数時間後には関係が終わる

「ん…あのまま寝ちゃったんだ…」

営みのあと、幸せに包まれたまま朝を迎えた

お互いの乱れた服装を見て顔が赤くなる

「ねぇ、〇〇、起きて///」

『ん…史緒里?おはよっ…』

史緒里の呼びかけで目覚めた〇〇は上体を起こそうとする

「ちょっと、まだ起きないで…」

『なんでさ…』

「まだ、見ないで…」

史緒里は思わず布団を身に纏った

『あっ、なるほど(笑)
お互い全部見たんだし、いいじゃん(笑)』

「だとしても…恥ずかしいよ…///」

『史緒里…可愛い』

「いきなり言わないでよ///」

『だって、“最後”じゃん…
心残りないように、ちゃんと伝えないと』

さっきまでからかってきたのとは違う

真面目な表情で呟く…

お互い身を清めソファに腰掛けた

『さて…昼からだっけ?』

「うん、そうだよ」

『じゃあ、史緒里』

「うん…」

『今まで、ありがとう』

「私こそ〇〇のおかげで変われた、ありがとう」

『これが、俺達の運命(さだめ)だったんだな…』

「仕方ない…よね
そういえば、〇〇は…“お父さん”心配してない?」

『大丈夫、“彼女”の家に泊まるって言ってるから
史緒里は?』

「私も“彼氏”の家に泊まるって言った…」

・・・

『名残惜しいけど、そろそろだな…』

「うん、いざ時が来ると悲しいね…」

『だけど、“このまま”だとお互い迷惑にねるかもしれないし』

「うん…嫌だけど仕方ないよね。
でもいつかまた、戻ろうね?」

『もちろん、ちゃんと話して認めてもらおう。
だから“今は”』

「うん、じゃあ“後で”ね?」

『あぁ、“後で”な

雨降ってるし気をつけてな』

「〇〇もね」

・・・

私達の関係は、まるで雨に流されるかのように消えていった…

・・・

「〇〇、準備できたか?」

『あぁ、できてるよ』

「悪かったな、今日が1番早かったから」

『構わないよ。
これまで仕事しながら育ててくれたんだし。
それぐらいのわがままなら全然』

「ありがとう(泣)」

『なんで今から泣いてんだよ(笑)
ビシッと決めろよ(笑)』

「あぁ!」

・・・

「お母さん?まだ準備できてないの?」

『うぅ…洋服が決まらないのよー』

「まったく…優柔不断は相変わらずだね(笑)」

『だって、いい格好で見られたいじゃん!』

「そんなことしなくても美人でしょ?

それにお母さんが選んだ人なら大丈夫」

『史緒里ー(泣)』

ギュー

「ちょっと、お母さん!
時間ないんだから準備してよー!」

・・・

「絵梨花さん、僕と結婚してください!」

『はい、お願いします(泣)!』

「良かったね…」

『あぁ、じゃあこれからは兄妹としてよろしく』

「うん、お兄ちゃん!」

恋人として想い合う関係から家族として想い合う関係へ発展していく…

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