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祈り

「はぁ…このまま、何もなくて死んじゃうのかな…」

少女は病院のベッドから窓の向こうに広がる曇った夜空を眺め、呟いた…

まるで、自分の未来を見つめるかの如く…

“美佑ちゃん、検温ですよ”

昨晩の考え事から半日、またよくわからない日々が始まる…

“うん、大丈夫だね

じゃあ、なにかあったらナースコールで呼んでね?”

「ねぇ」

“どうしたの?”

「私は、いつ楽になれるのかな…?」

“えっ…?”

「なんでもない…です」

“うん、じゃあまた様子見に来るね?”

「はい…」

ふと、口走った弱音…

時間が経つほど、体の感覚が鈍くなっている気がする

いや、気のせいではない

確実に“何か”が私の体を蝕んでいる

気づいたときには病院のベッドにいた

まだ17才なのに…

担当の先生には原因がわからないと言われた

最初は無責任だと思った

だが、症状が出始めてから“わからない”と言った理由がなんとなくわかった気がした

ある時は嘔吐、またある時は体のしびれ、

酷い目眩、握力の低下など

日によってバラバラ

なにもないときもあるが、それは極稀

なにかしら症状が出ている

その上、治療法がない

いつまで生きられるか、いつ死ぬのか

わからない暗闇の中、私は生きている

毎日お見舞いに来ていた両親や友達も頻度が低下し、いつしか来なくなった

「もう、いいかな…」

気づいたら、また夜だった

涙も枯れるほど泣いた、後悔も数え切れないほどした

だけど、私の心はすでに限界だった

私は今持てる力を振り絞り

「来世では普通に生きれるように頑張れ、私…」

と、呟いた…

未練はあった

だが私はこの世界から旅立つことを選んだ

来世への祈りを残して…


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