「すれ違った想いを結ぶために」
いつからだろう
幼馴染の君から笑顔が消えたのは
笑みを浮かべているのに、瞳は冷たい
私の前では、私の前だけでも“本当の彼”でいて欲しかった…
・・・
彼に異変が見られたのは、あの“教育実習生”が来て数日経った頃だった
彼の気に障るような言葉をかけたのだろう
彼の心を揺さぶれるのは幼馴染である私の特権だと信じていた
なのに、たかが会って数日の他人が彼の心を揺さぶったなんて
嫉妬で気が狂いそうだ…
遥香:あの、“桜井先生”…
桜井:えっと…賀喜さんだよね?どうしたの?
遥香:彼に、“〇〇”に何を言ったんですか。
桜井:えっ…?いきなりどうしたの?
遥香:とぼけないで、さっさと答えてください。
桜井:〇〇君に、なにかあったの?
遥香:“なにかあった”?
その原因があなただとしても、同じことが言えますか?
桜井:…えっ?
遥香:もういいです。今後、私の幼馴染に関わらないでください。
・・・
遥香:〇〇?
〇〇:遥香…なんか用?
遥香:用ってわけじゃないけどさ…一緒に帰ろっ?
〇〇:あぁ、さっさと帰るか
遥香:うん…
〇〇:遥香はさ、僕のことどう思ってる?
遥香:えっ…?
唐突に彼から聞かれた
そんなこと聞かれたことなかったから、
言葉が詰まってしまった
遥香:いきなりどうしたの?そんなこと聞いてきて
〇〇:いいから、答えてくんない?
幼馴染みとか関係なく
遥香:えっと…勉強は当然だけど他のこともできてすごいなって思うよ、尊敬してる
〇〇:そっか…
遥香:それと同じぐらいに、昔みたいにちゃんと笑ってる〇〇がいないのは寂しい
〇〇:…やっぱり笑えてないか、期待とか決めつけばっかされてつまんないんだよ
遥香:私といるときも…?
〇〇:遥香といるときは、忘れられる
期待とかの鬱陶しさもつまらなさも、全部…
遥香は、遥香だけは僕を“普通”だと思ってほしい
遥香:それは、難しいかな…
〇〇:なんで…?
遥香:だって“普通”って思えないもん…
〇〇:遥香も同じか…
遥香:大切な幼馴染みで、初恋なんだもん…
〇〇:は?
遥香:だから、好きなの!〇〇のことが!
〇〇:…
遥香:ずっと好きだった、だから“普通”って思えない
だって私にとって“特別”なんだもん!
〇〇:そうだったのか…
ごめん、そうおもわれてるなんて知らなかった
遥香:幼馴染みって関係性が壊れるんじゃないか
そう思ったら、言えなかった…
でも、もう抑えられないの!
好き!付き合って欲しい!彼氏になって欲しい!
〇〇:僕で良いのか?
遥香:〇〇じゃないと嫌だ!
〇〇:わかった。遥香、僕の彼女になってくれ
遥香:はいっ!
ギュッ
〇〇:ちょ、いきなり来るなよ(笑)
遥香:だって(泣)だって(泣)
何年も好きだったんだもん(泣)
やっと叶ったんだもん(泣)
〇〇:ありがとう…
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