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雪の降る日に出会った彼女…

「雪、か…」

君と出会ったのはこんな季節だった

シンシンと降り続く雪の中で…

・・・

僕は目的もなく街の中を歩いていた

両想いだと思ってた人が別の男と腕を組んで歩いているのを見て、後悔した

“早く気持ちを伝えていれば…”

本当の気持ちに気づいたのは、つい最近

伝える機会は何度もあったはず

だけど“逃げた”

怖くて、心地よい関係性を壊したくなかったから

コンビニの前に座り考えた…

どうすればよかったのか、何が正解だったのか

答えが出ないまま、時間は過ぎていった…

・・・

『あの…風邪、引きますよ?』

声をかけてきたのは女の子

僕と同い年ぐらいだろうか

雪のように白い彼女は突然現れた

見惚れていた、時が、止まったようだった

『聞こえて…ますか…?』

僕が何も答えないから、
彼女は心配そうに顔を近づける

「だ、大丈夫です!」

『よかった…』

彼女は静かに微笑みを見たとき胸がざわついた

懐かしく胸を締め付ける

・・・

『なんで蹲ってたんですか?』

「見ず知らずの僕になんで話しかけるんですか?」

『質問に質問で返さないでください(笑)

それと話しかける理由は特にないです(笑)』

「特にないんだ…」

『うん😄』

「そっか…だとしても“初対面”の人には話したくない、かな…」

『じゃあ、LINE交換しよっ?』

「えっと…なんで?」

『“初対面”じゃなきゃいいんでしょ?』

「…なんか変な人だね・・・」

『変な人って失礼だ!ってことで交換!』

「はぁ、じゃあ交換するのでほっといてください」

『ありがとう!“今日”はこれで!』

「ん?“今日”は?」

『だって今日はお話しないんでしょ?
LINEでお話して、また今度!』

「なんか自分勝手だな…」

ピロン

《なにがあったかは知らないけど、
今度会うときには聞くからね!》

「そういや、名前知らねぇや…
まぁ、今度会ったときに聞けばいっか(笑)」

雪の降る日に出会った彼女は、
僕の心の“歪で巨大な氷”を溶かしていった…

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