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東京都住民監査請求の反応まとめ

本Noteでは、1月4日に正式に発表された暇空茜さんによる住民監査請求の結果の概略と、それを受けての各所の反応をまとめています。

監査のハードルについて

東京都の住民監査請求の内容と結果は、東京都監査事務局のHPに掲載されています。暇空茜さんの請求は令和4年度分になります(以下を参照)

この監査請求結果一覧の「結果」欄の見方ですが、大きく分けると「監査する理由があるかどうか」「監査の結果の判断」の二つで、この二つが組み合わさったものが「結果」です。その結果は、大きく以下の3つになります。

却下・・・監査事態を実施しない場合
棄却・・・監査するに足る理由があったが、監査結果で問題ない場合
容認・・・監査するに足る理由があり、監査結果で勧告する場合

唯一、暇空茜さんの監査請求のみが「理由あり(認容)」という結果で、その他4件は「監査実施せず(却下)」となっています。
過去の結果を見ていくと、結果は以下の通りです。

  • 令和4年 申請5件 → 却下4件、容認1件

  • 令和3年 申請9件 → 却下9件

  • 令和2年 申請11件 → 却下10件、棄却1件

  • 令和元年 申請29件 → 却下29件

  • 平成30年 申請8件 → 却下8件

  • 平成29年 申請21件 → 却下18件、棄却3件

  • 平成28年 申請29件 → 却下23件、棄却5件、容認1件

合計 申請112件、却下101件、棄却9件、容認2件 です。

監査概要と結論

監査項目が多岐にわたるのですが、ざっくりまとめると以下の通りです。

  1. 契約については「高度な知識・専門的技術や創造性が必要とされる」ことから金額重視の競争入札ではなく、企画提案方式を採用している。

  2. 支払いは事業特性を考慮して概算支払いを採用しているため、当初計画との差異はあるが、精算時に精算根拠を明らかにした計算書が必要。

  3. Colabo事業の活動実績と、それに伴う精算根拠についての指摘については以下の点で不適切。

    • 人件費、福利厚生費が委託事業と別業務の案文が不明確

    • 証跡として認められない領収書が含まれている

    • 実際とは異なる備品、購入していない備品が計上されており、金額も計画書や事業所要額の内訳をそのまま記載している

    • 事業の履行において、当初の都の要件に達していないものがある

    • 旅費宿泊費の単価、都外宿泊地が含まれる、及び事業経費として不適当な物が計上されているなどの妥当性に疑義がある

  4. 事業全般の経費としては、持ち出しであるようだから、都が清算による不利益を被るものとは言えない。ただし、その清算自体の妥当性には疑義が残る。

そして、その結論は、監査に基づいて勧告を出すことになりました。

最後に、監査事務局からのサマリも出ていたので掲載しておきます。

監査に対するColabo公式コメント

この監査勧告に対して、Colabo弁護団の発表は以下の通りです。

念のためにスクショしておきます。

先ほどの監査結果の概要に対する形で、Colabo側の反応を簡単にまとめます。

人件費、福利厚生費が委託事業と別業務の案文が不明確

具体的な詳細を確認し、必要な説明と対応を行っていく。

証跡として認められない領収書が含まれている

領収書の抽象的な表現についても言及していますが、こちらは後ほど確認していきます。

事業実績額の内容の記載についての指摘

これは先ほど、「実際とは異なる備品、購入していない備品が計上されており、金額も計画書や事業所要額の内訳をそのまま記載している」という部分が該当しますが、こちらについてはColabo側の回答には記載が見当たりません。

事業の履行において、当初の都の要件に達していない

こちらについても、Colabo側の回答文には含まれておりません。

旅費単価、都外宿泊、不適当な事業経費

  • 高額になるケースは複数人でのもの、高級レストランは祝い事

  • 都外宿泊費は、支援女性が都外に行った際のもの

先日、HPの記載が告知なく変更になったこともあるので、念のために掲載されていたPDFをダウンロードし、こちらにも保存しておきます。(ダウンロードおよび掲載日は1月5日です)


監査結果を受けての反応(情報求む)

東京都監査事務局の発表を受けて、多くの人が反応しています。
全部は載せられないので、代表的なものを残しておきます。

共同通信ヘイト問題取材班

「主張の大半は妥当ではない、と退ける監査結果を公表した」
と書かれていますが、先ほど掲載した通り、都の監査事務局は勧告を出しているので、少なくとも退けられたという表現は不適切でしょう。

ちなみに太田啓子弁護士、シンホリ先生はこの件に個別にコメントを出していないようです。

菱山南帆子さん

実際の監査結果と比較をしてみると、掲載している表とは乖離があるように感じます。監査委員は暇空茜さんの指摘を認めなかった、と判断されているようです。


個人的な見解(随時更新)

全般的に、事業内容への指摘については予想通りです。
「公法の契約に基づく委託業務(例えば水道料金徴収など)」は、事業計画に基づいて行っても不測の事態への対応などで計画通りにいきません。そのため、企画提案形式で概算支払いが採用されていますが、この場合は計画時点の項目単位の金額はあくまでも概算の根拠になるので、よほど事業内容と沿わないものでなければ異論は認められないと思います。

公法による契約根拠が地方自治法による事務の委託

一方で、「公法の契約」についての根拠法は東京都に確認したところ、「地方自治法第二百五十二条の十四・事務の委託」のようです。こうなると「高度な知識・専門的技術や創造性が必要とされる」事務委託をしていることになり、ちょっと納得感がありません。
また、「Colaboがなぜ、高度な知識・専門的技術や創造性があった」と具体的にはどのように判断されたのか、事務の委託になったことで明確な判断プロセスがあったのかわかりません。こちらは、今後東京都への開示請求や相談を含めて情報を集めていきたいと思います。
できれば、これを読んだ都議会議員の人にやってほしいけどな・・・w

他自治体との関係性

また、今回の監査は東京都の委託事業としての確認と、一般社団法人としてのColaboの帳簿との確認です。つまり、Colaboが他でも自治体と行っている事業との関係性などは確認の対象になっていないはずです。
金額総額的には不備がなさそう、と見えつつも、実際には根拠となる領収書、計上されたものの妥当性に疑義がある以上、きちんと確認するべきでしょうね。こちらは、川崎市の浅野議員が調べているようです。


車両関連費

細かい話になるのだが、気になったのが車両関連費の記述だ。
これはColaboの会計監査とはちょっと別の話だが、都の監査報告書には以下のような記述がある。

これをみると、Colaboの支出には「月6万円の駐車場の賃貸」と「月極駐車場代」の二種類があるように見えるのだが、いずれにしても車両関連費ではなく、地代家賃ではないだろうか。

会計監査の指摘に対して

会計監査の指摘に対して、Colaboのまとめは以下のような記述になっている。

確かに、多くの指摘をした暇空茜さんの監査請求全般から見れば、退けられた部分の「比率」は大きいのですが、指摘されている会計については明確に疑義(結果が認容)がついており、勧告が出されています
また、一部東京都に対して説明が必要、という書き方をしていますが、都の結論は「契約にかかわる事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的な検証に耐えられるようにすること」と書かれており、Colaboの会計処理が上記に耐えられないものであることが指摘されています。

東京都の対応に注目

今回、東京都監査事務局からは明確に勧告が出ており、検証に耐えられるようにすること(つまり、報告書を作成しなおして、証跡とあわせて説明するように)と指示をしています。
それに対して、Colabo側の反応は真摯に対応するといいつつも、「説明を改めて行う必要がある事項」や「改善が必要となる可能性」といった書き方をしています。
どうも認識に齟齬がある、不当との指摘に適切に答えていないように思います。今回の指摘と、Colaboの反応を受けて、今後、東京都は継続して委託契約を結ぶのか、調査している議員さんの反応とも合わせて注目です。


さて、最後に。
このNoteはここで終わります。
今後もこういった整理に興味がある、期待してくれる人は、よかったら記事を購入してください(購入しても、追加の記載はありません)
なにせ、開示請求もただじゃないのでwww

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