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国葬と主要課題対応~岸田首相会見

岸田首脳会見の要点と、勝手な見解をまとめます。

1.安倍さんの国葬
2.コロナ対応
3.食糧問題
4.エネルギー問題

参院選、そして勝つとすかさず一斉に政治問題への解決策を打ち出したことで、当面の政治領域の注目は岸田政権に集まるでしょう。

1.安倍さんの国葬

「秋」に安倍さんの国葬をするのは、追悼の意図があるのはもちろんですが、安倍さんの求心力を最大限に活用し、国際的なプレゼンスを高め、一方で自民党内の支持を固めることにつながるでしょう。

やがて世界の首脳の記者会見で
「日本は安倍晋三の国葬をやるそうだが、出席の意思はあるか?」
という質問が飛ぶでしょう。そして、
「もちろん出席したい。日本からの招待を期待する」
という答えが大勢を占めるだろう。

岸田さんは「秋以降に世界の要人を招く機会」を手に入れた。この国家的利益は、とても数字では測り切れない。

国際イベントのように「世界の首脳」ではなく、「安倍さんの親交のある人物」を呼べるのはホントに大きい。バイデン大統領は当然として、トランプ、オバマにも招待状を出せるだろう。習近平は微妙なところだが、蔡英文にも声をかけられる。なにしろ現職の総理大臣じゃないから、国家主席だの、国家かどうかだの、そういうややこしいものは関係ない。
そしてプーチンもゼレンスキーも呼べる。
秋口、ウクライナ情勢次第だが、戦争終結に向けた会話の第一歩を日本が提供できたとしたら、その後の復興や制裁解除の条件にも関わっていける。

呼ばれる側も、同様の蛮行に不安を感じるかもしれないが「安倍首相を襲う蛮行」が起きた日本に恐れずに弔問に来ること、そしてそれを日本が受け入れることは相互の信頼関係を増すイベントとして捉えられるだろう。

それだけに警察にも無言の圧力がかかった。
安倍さん襲撃時の護衛体制は嫌でも議論が進むでしょう。ぬるい答えを出す事はできなくなったでしょう。

そして、岸田さんは誰を呼ぶのかをギリギリまで発表しないだろう。日本のメディアが注目しなくても、世界のメディアは注目する。書いたように安倍さんの親交のある人物を列挙していけば、いろいろな可能性が想起されるからだ。

過去の事例を見れば中曽根康弘首相の葬儀が9000万ほどだったので、安倍さんの国葬は数億円ほどかかると思われるが、手に入るプレゼンスからすれば安いものだ。この程度の予算を「貧困に喘いでいる人に回してほしい」なんて声はマクロとマクロを混同してるので、安倍さんの国葬なんて関係なく、普通に議員に陳情すればいいだけです。

そして、これをぶち上げたことで自民党は岸田さんを推すしかない。当面選挙もないが、岸田さんとしては党内に向けてしっかりとイニシアチブが取れた。葬儀に向けて安倍派と会話をしていくだろうが、安倍派の内部分裂も早々起こしにくくなったし、岸田さんは堂々と安倍派の面々と葬儀に関して会談を行うでしょう。安倍派の政治家からすれば、ここで岸田さんとの会話に参加しておくことが安倍派の代表として見られるわけで、岸田さんは完全に主導権をとれた。

これだけの影響を発揮できる選択肢に、国葬の意義や位置づけを問う議論から、やめるという選択肢を導くのはどう考えても不可能です。

議論そのものに意味はあると思いますが、国葬の価値を理解していない議論は、結局のところ自然と淘汰されるのではないかと思います。

2.コロナ対応

多くの人に水際対策を批判されましたが、ここにきて海外の感染拡大から遅れること一週間、水際対策の効果が出ました。今後、どんな手段を取るにせよ、海外のエビデンスを参考にできる強みがあります。今回、ワクチン接種を進めるようですが、それも世界の対応を参考に出した結論ですね

3.食糧問題

浮いていた予備費をここに使ってきました。
それも6月に遡って飼料費用の補填を7割するという使い方は即効性はないですが、しかし確実に近い未来に効いてくるでしょう。特に日本は穀物価格は政府が一括購入~卸しという運用があります。一括購入することで割安価格で購入し、またそれを下ろす場合の価格も改定時期は4月と10月に固定されているので、世界の価格変動の影響を受けにくい運用です。
価格改定されるまでに、価格変動に対応すればさらにその影響を小さくできるわけですが、今回、それを利用して手を打ってきました。

4.エネルギー問題

発言の多くは原発再稼働でしたが、あわせて火力発電の再稼働にも言及しました。姉崎や横須賀の火力を合わせるとそれなりの数字になります。再稼働できる原発は西日本に集中していますが、火力と広域融通を考慮すると、最低限の予備率くらいまでは回復します。

冬までに稼働させる想定の原子力発電所

関西電力
 美浜原発3号機
 大飯原発3号機(稼働中
 大飯原発4号機
 高浜原発3、4号機
四国電力
 伊方原発3号機(稼働中
九州電力
 玄海原発3号機
 川内原発1、2号機(稼働中

再稼働する火力発電所

東京電力
 千葉姉崎5号機
中部電力
 知多5号機

もちろん、火力再稼働などは技術的問題、事故など起こりうるのでリスクはまだあります。サハリン2の問題もあるので、不安はあるのですが、予測の数字に対しては手を打てたとも言えます。これ、岸田さんが特別何かをやるというより、しっかり再稼働を後押しするってことですが。

火力再稼働についてはG7でドイツの石炭火力に触れなかったことを受けて、国際的な批判も受けない、と判断したのでしょう。また、原子力については参院選の争点にしないことで批判を避け、新潟、東北という自民の弱い選挙区で勝ってから発表するあたり、策士ですね。


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