塩村あやかで振り返るAV新法Part2

まさかのPart2になる「塩村あやかで振り返るAV新法」ですが、今回は新法施行~参院選後の一連のツイートをピックアップしてAV新法を振り返っていきます。

総評

政府との対話が今後も継続できる点はAV業界に対してはほとんど何も進展がない話だと思います。一方で、新法制定の進め方については塩村さんの回答を受けて、「AV新法推進サイドは、事業者へのヒアリングはできていなかった」ことが浮き彫りになったのはよかったと思います。

契約と撮影、撮影と公開の認識について

結局、新法による契約のリードタイムが1カ月、撮影から公開のリードタイムが4カ月と、とても厳しい制約になっている点については変わりません。塩村さんは「暫くの間」と書いていますが、実際には「法が施行されている間」ずっと厳しい「枷」になるはずです。
適正AV業界にとっては大きな負担はそのままです。

撮影物の公開について

ツイートの前半は施行前の話で、既に施行されている「7月15日」にこれを呟く理由はほぼわかりません。
法施行後についてのツイートを見ると「撮影後の公開制限は、撮影全体ではなく、露出のシーンに限られている」という解釈のようです。 正直なところ、「露出がなくてもAVとわかる宣伝がされれば、出演女性にとってはあまり変わらない」気がします。

気になるのはAV新法の条文で「性行為 映像制作物」とは

「性行為 に 係る 人の姿態 を撮影した映像並びにこれに関連 する映像及び音声によって構成され、 社会通念上一体の内容を有するものとして 制作」

とあり、これを露出部分のみと解釈するのは難しい気がするのですが、この辺は実際に監督するAV人権倫理機構やIPPAの解釈を待ちたいところです。

結局事業者ヒアリングはできていなかった

「業界ヒアリング」については、いろいろ書いているがやはり人権倫理機構の発言が全てだった、ということのようです。 つまり、誤解なのかどうかはともかく、このAV新法は実態としては事業者そのものへのヒアリングは行われていないで確定、施行されたということになります。

今回の立法プロセスでは業界ヒアリングの方法では、業界の実態把握もできず、ヒアリング議事録もない、誤解も起きるプロセスであり、これは立法プロセスとしては改善されるべきだと思います。

この点について踏み込んだ記事があったので貼っておきます。

しかし、この発言はAV人権倫理機構の志田さんのものだと思いますが、この塩村さんの発言では志田さんが浮かばれないですね。 確かに不用意な発言かもしれないが、
1.業界構造(この場合、AV人権倫理機構の位置づけ)を確認するべき
2.そもそも塩村さんは2016年のAV出演強要が話題になったときにも
  かかわっていたはずで、AV人権倫理機構やIPPAを知っていたのでは?
3.そのAV人権倫理機構に与えられた時間は5分、1分で、業界側と勘違い
  したとしても聞き取る時間はなかった
わけで、聞き取りのプロセスとしてはおかしいという結論だと思います。

この文章は主語が適切に使われていないので、以下のように整理しました。
・実務者会議で人権倫理機構は被害はないといった。
・資料を提示した被害者団体から適正AVにも被害はあると反論あり
・反論されたAV人権倫理機構も、把握できていないだけであるだろうと回答

これについても、エビデンスが全くないまま話が進んでいます。
また、先日も書いた通り、統制というのは 「かかわるのが人間である以上100%防げない」 「万一の際にトレースできること」 が重要なのですが、被害者団体側からの提示情報のトレースもしていないようです。
確認できる方法がある(被害者団体から情報提供がされているならば、ですが)にもかかわらず、トレースを行わなかったとしたら実態の把握ができません。また、「被害者」と名乗れば立法できてしまいます。
被害者情報の守秘義務は重要ですが、しかし被害者の個人情報がなくても、加害者の情報があればトレースはできるわけですから、この点も今後改善されるべきではないでしょうか。

また、AV人権倫理機構の河合理事は、この時のヒアリングを受けて、以下のような記事を書いていますので、参考に貼っておきます。

また、言葉尻のように見えるかもしれないが、立法する以上「当事者」とはAV事業者も含まれるはずです。 なぜなら、確かに当事者の一人は被害者ではありますが、被害者を守るための「法を守るもの」は事業者になるわけです。立法上、事業者が当事者じゃないわけがありません。
この点が勘違いであれ、今後は守る側の存在を忘れない立法プロセスが必要でしょう。

明確になった問題と改善

プロセスの問題が明確になった以上、検証はすべきでしょう。ここでいう問題とは ①適正AV業界でホントに被害はあるのか? ②あった場合、適切にトレースできているか? の二点です。むしろ、資料提出されているにもかかわらず、②が行われていないとすれば、それは被害者の放置そのものですからね。あくまでも今回のAV新法としては、この点の検証をすべきです。

一方で、立法プロセスの問題も改善されるべきでしょう。
1.被害者を守る「法を守る事業者」は当事者として認識する。
2.当事者の事業構造や、規制するプロセスを明確にし、問題の所在との
  関連個所を明らかにする
3.「2」のために被害情報などの実態情報を使って問題個所や被害の
  実態を把握する
この辺は、立法時のプロセスや明示する資料として定義したほうがいいと思います。

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