見出し画像

日本初、女性単独GPでベンチャーキャピタルを立ち上げたYazawa Ventures #テンカイズ

新型コロナの影響で、日本はもちろん、世界各国で人々の働き方に多大な変化が生じています。また、スタートアップの世界でも様々なビジネスモデルが生まれ、まだ日の目を見ないアイデアも数あることでしょう。
今夜は産声をあげたばかりのスタートアップを中心に支援を続ける、あるベンチャーキャピタル(VC)にスポットを当てます。


1. Yazawa Venturesのテーマ

画像4

宇賀:今夜のゲストは、株式会社Yazawa Ventures Founder兼代表パートナーの矢澤麻里子さんです!

矢澤:よろしくお願いいたします。

宇賀:浜田さんのご推薦なんですよね。

浜田:そうなんです。私はマリリンって呼んでいます!(笑)
2017年5月にシリコンバレーでの女性起業家向けのプログラムへ行った際に出会いました。

宇賀:では早速、どんな会社なのかをまず教えていただけますか?

矢澤:ベンチャーキャピタル(VC)というのは、スタートアップやベンチャーと呼ばれる未上場の小さい企業に対して投資をするファンドです。企業を伸ばしていくことによって時価総額を大きくして、その時価総額が大きくなったタイミングで、持っている株式を他社に売却して利益を上げるというモデルになります。

宇賀:Yazawa Venturesの特徴はありますか?

矢澤:私のファンドの特徴は「働く」を中心にしているところです。
これからさらに少子高齢化が進んでいく中で、人口が減っていく。組織や企業はデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進していくと同時に、人はもっと人らしい仕事をしていくような世の中になっていくと思います。そうなると働き方が大きく変わりますよね。
今の世の中の人たちがもっと働きやすい世界になっていくために、そのボトルネックになっているところを解消するスタートアップに投資をしていくことで世の中を良くしていく。そんなVCです。

2. スタートアップ界の女性起業家がもっと働きやすくなるために

画像4

浜田:1人でファンドを立ち上げたんですよね。

矢澤:はい。女性で単独のGP(ジェネラル・パートナー)は、日本初になると思います。大きなチャレンジができたと感じていますし、これも投資家さんのおかげです。

浜田:そもそもVCに女性がほとんどいないんですよね。
スタートアップ界が男子校って言われるんですよ。それは投資家側に女性が少ないから女性起業家が生まれにくいのと、起業家側にも女性が少ないから女性のキャピタリストが生まれにくいのと両方ありますよね。

矢澤:本当に鶏と卵で、日本ではまだまだ女性起業家は少ないですし、それは女性のキャピタリストが少ないからでもあります。
構造的な問題なので、どこかで変えていかなければいけない。だからこそ私自身も自分でVCを立ち上げましたし、女性起業家にも投資をしてバランスを取っていく役目になっていければいいなと思っています。

浜田:私が取材した女性起業家さんの話だと、結婚・出産するかもしれない女性たちへの投資はリスクがあると言われ、投資を受けにくいという話はよく聞くのですが、実際はどうなんですか?

矢澤:たくさんの方が声を上げるようになってきたので、今はずいぶん良くなってきています。
一昔前は、そうしたリスクを気にされるVCも多かったです。実際に私も、あるVCさんから「女性の起業家ってリスクがあるからね」と言われ、関係ないじゃん!って正直思いました。
同時に、VCの気持ちもわかります。VCは投資をして、どれくらい時価総額が上がるのかはもちろん、どれくらい早く時価総額が上がるのかも意識しています。女性が出産と育児をするとなると、そのスパンが長くなってしまうので、嫌がる気持ちもわかります。
ただ、そのままでは駄目だと思っています。イノベーションを起こしたいのであれば、変わるべきです。

画像4

浜田:シリコンバレーで矢澤さんと最初に出会った時、衝撃だったんです。「離婚してきたんです」って言い出して、泣き出したから。
でも、当時参加した女性の仲間のうち1人を抜いて全員が離婚経験者だったんです。女性が一生懸命働けば働くほど、夫婦間もうまくいかなくなることをみんなが感じてきたので、その時に語り合ったんですよね。

矢澤:私自身、周りで働いている女性はすごく多かったものの、「離婚」に対して自分の中でネガティブな印象があったんです。
ちょうど離婚したタイミングでシリコンバレーの合宿に参加したら、まさかのマジョリティーが離婚経験者で驚きました。女性の働き方と家庭の持ち方に関して、私自身すごく意識するようになるきっかけでしたね。

宇賀:そうした経験があるからこそ、女性で頑張りたい方の応援やケアができるんでしょうね。

矢澤働くことで壊してしまった関係と、働くことで今楽しいと思える環境。これを考えたときに、世の中の女性がもっともっと働きやすくなってほしい。世の中の女性がもっと働きやすくなれば、日本はもっと良くなると思うんですよね。だからこそ「働く」をテーマに投資しています。


3. 投資先を決める上で大切にしているのは「正しい怒り」

画像3

宇賀:投資先を決めるに当たって、重視されているところはありますか?

矢澤巻き込み力と責任感です。
起業家って、自分で意思決定をして進めていかなければいけないんですよね。でも1人ではどうしても限界があります。そうした時に、いかに周りの人たちに助けてもらえるか。できないことを周りの人たちに言うことで、自分はちゃんとコミットして、周りの人たちに見てもらって……というのが、ビジネスを成長させるのに一番大事です。

もう一つが、「正しい怒り」世の中って本当はこうあるべきなんじゃないかという考えや想いです。
いろんなことが積み上がって、複雑な世界になってきています。「でも本当だったらこうあるべきだよね」っていう「正しい怒り」を持っている人たちに対して投資をしていきたいです。

浜田:「正しい怒り」ってすごく面白いポイントですね。
今の社会でここがこうなったら……っていう使命感、情熱なんですかね?

矢澤:はい、自分がやらなければ変わらないと思って、ちゃんとやれる方です。

あとは責任感
スタートアップって、あってないようなものがすごく多いんです。ゼロイチで立ち上げられて間もないスタートアップだと、資金調達をして、「うまくいきませんでした」っていう起業家も少なからずいます。そこに対してちゃんと使命感、責任感、やるって決めたことをやる。スタートアップでも、ビジネスは約束の積み重ねです。起業家さんとの約束、投資家との約束、ユーザーとの約束。いろんな人たちとの約束で成り立っているからこそ、それをちゃんと守れる責任があるかも見ています。

浜田:やはり地に足の着いた、約束をちゃんと積み重ねていく経営が求められる?

矢澤:高い時価総額で資金調達をして、そこから伸びずお金が尽きてしまった場合、次に調達するのが厳しくなります。「ダウンラウンド」と呼ばれる企業価値を下げた調達をしなければいけません。それは記録に残るので「この会社、ダウンラウンドしているんだな」って分かりやすく出てしまいますし、次の資金調達にも響きます。だからこそ、適正の価格で調達することは大事です。

宇賀:最後に、矢澤さんの今後の展開を教えてください。

矢澤:挑戦していきたいことは、本当にたくさんあります!自分でVCを立ち上げたからこそ、やれる環境にはあります。それを実現していくために、これからチーム作りをしていくこと。
あと、海外の人たちに「日本企業ってすごいんだぞ」ということをもっと知ってほしい。世界を席巻できる日本のスタートアップを作っていくことをやっていきたいです。

宇賀:頑張ってください!ありがとうございました。


TBSラジオ「テンカイズ」毎週水曜21:00〜21:30!いま注目のスタートアップ企業や、これからブレイクしそうな業界など、新しいサービスやビジネスを紹介!
公式YouTubeチャンネルでも動画を公開しています。Twitter:@TBS_TENKAIZU

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?