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リモートワークの先駆者起業家が帰ってきた!ものづくり起業をフルリモートで #テンカイズ

去年7月、テンカイズではアメリカのポートランドに家族で移住し、リモートで日本のお仕事も続ける起業家に注目しました。その後、新型コロナウイルスの感染が拡大。その起業家は、また新たに会社を設立し、環境問題に取り組む商品を開発して世に送り出しました。今回は、その挑戦に迫ります。


1. 移住をきっかけに、「環境」をテーマにした起業へ

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宇賀:今回はゲストとリモートで繋がっています。アメリカのオレゴン州・ポートランドから、おかえり株式会社 代表取締役の松原佳代さんです。

松原さんには去年の7月にも出演していただきました。前回は、移住してもリモートでお仕事を続けていけるのか、働き方やライフスタイルについてお伺いしました。
今回なんと、また新たに会社を設立されたと!なぜ新しく会社を作ろうと思われたのか、教えていただけますか?

松原:コロナ禍で暮らしていて、もう一度事業に挑戦しようかなと思ったときに、環境をテーマに事業を起こそうと決めました。そのきっかけは、私自身がポートランドという環境に対して積極的に取り組んでいる町に移住をしたことが一つきっかけになっています。最終的な決め手は、昨年9月にポートランドで山火事に遭ったことでした。

浜田:西海岸は山火事が多いですよね。

松原:車で30分ぐらいの山が燃えて、10日間は家の中にいても煙たくて。世界で一番空気の悪い記録を、10日間もポートランドは更新していました。それが一番最後のトリガーになって、今後は「環境」というジャンルで起業をしようと決め、仲間と一緒に起業しました

浜田:リモートで起業と聞くと、IT分野のネットの中で完結するサービスが思い浮かびますよね。以前、松原さんがやっていた移住のマッチングサービスもネット上で完結する。そうした起業は可能だと思っていました。

しかし松原さんが今回起業したのが、プロダクト商品を作る事業。竹を使ったトイレットペーパーでBambooRollっていうんです。

宇賀:竹を使ったトイレットペーパー?

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浜田:私も早速、買って使っているんです。原材料は竹から作っているんですよね。

松原竹100%でできています

宇賀:環境をテーマにされたとのことでしたが、なぜ竹のトイレットペーパーに?

松原:まず、竹という材料
竹は木ではなくて、植物でも草にあたります。ギネス記録にあるくらい、とにかく早く成長する草で、切っても勝手に生えてくるのが特徴です。二酸化炭素をとてもよく吸うため、適切に伐採し、また生やしていくことで、その循環を作ることによって二酸化炭素量を大気中に固定してくれます。そうした環境に良い代替資源として、今注目を浴びているのが竹という素材なんです。そこが面白いなと思ったのが、一つのきっかけでした。

そこでなぜ、トイレットペーパーになったのか。
私も去年、この番組に出演させていただいた時には、トイレットペーパー屋さんになるなんて考えもしませんでした(笑)でもトイレットペーパーって、なくてはならない日用品なのに、一番ぼんやりと何も考えずに毎日消費しているものだと思うんです。環境問題というと、とても遠い話のように思うけれども、それだけ身近なものが環境のことを考えるきっかけになるものに変える。そうすれば、毎日の暮らしの中で環境について考えるきっかけになったり、他のものも変えてみたいと思ったり、そうした変化が起こるのではないかと思い、トイレットペーパーを最初の商品に選びました。

浜田:松原さんがBambooRollを作られたことを、私はFacebookで最初に知って、すぐに注文しました。ホームページを通して、竹という素材がCO2をすごく吸収することとかも知れて、商品に対するこだわりもすごく感じられて。

実際に使ってみて、商品としてもっとガサガサかと思ったら、ものすごく厚くてしっとりとしていて肌触りがいいんです。分厚いから、使う量も短くて済む。すぐになくなるかなと思ったら、意外と長持ちするんです。

ダンボール一箱に18ロールが入っているんですけど、いつなくなるのか意識的に使うんです。うちの家族は1ヶ月にどれくらいのトイレットペーパーを使うんだろう?と考えるようになる。

包装も、全くビニールは使っていないです。ダンボール箱に直に入っていますよね。

松原梱包資材も全て資源なので、できるだけ資源を使わないことにこだわって、そのまま入れました

宇賀:こちらは日本で、オンラインで購入できるんですよね?

松原:オンラインで定期便という形で販売しています。1ヶ月から4ヶ月まで、その家庭のサイクルや家族形態に合わせてペースを選んでいただけます。

浜田:家に必ずないといけないものが定期便で届くのも、とても便利ですね。


2. フルリモートでものづくりって可能なの?

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浜田:にしても、ポートランドにいてモノを作るってすごい。どうやって、どういうチームでこの商品を生み出したのか、すごく気になります。

宇賀:実は、おかえり株式会社はアメリカ・ポートランドと、長野、エストニアのメンバーで設立したそう。今回はこのメンバーのもう1人もお呼びしています。
おかえり株式会社 共同創業者・取締役の増村江利子さんです。増村さんは今、どちらにいらっしゃるんですか?

増村:日本の長野県です。拠点、自宅が長野にありまして、長らくリモートで仕事をしています。

宇賀:こうやってお2人はリモートでやりとりをして、実際にお仕事されてるっていうことですよね。

増村:そうです、ずっとリモートです。

浜田:エストニアの方は、何の担当なんですか?

松原:エンジニアです。元々私がIT企業に勤めていたときの同僚で、10年以上の旧知の仲なので、一緒にやりたいなと思い声をかけました。サイトを作ってもらったり、商品開発の経験もあるのでリードしてもらっています。

浜田:リモートで仕事をする時ってIT系の人が多くて、オンライン上で完結するものはやりやすいと思います。ただモノを作るとなると、生産現場の確保、今回の販路はオンラインにしても、在庫を抱えるなど、モノが動くだけで物理的な課題が多く出てくるのかなと予想できますよね。リモートでどのように実現されたんですか?

松原:それも全部、リモートでした。工場の方ともZoomでお話したり、お電話させていただいたり、工場の様子をムービーで撮影していただいたり。

これがもしコロナより前だったら、皆さん「直接、お越しください」と言われていたと思います。世界的にコロナに直面し、みんながオンラインで仕事をするようになった環境下において、工場や倉庫の方もみなさんオンラインで対応してくださいます。オンラインでのコミュニケーションに慣れてきていらっしゃったので、なんとか実現できたのかなと。

増村:全てリモートでしたね。ただ日本にある倉庫は、日本にいる私が対面でお話しすることもありました。使い分けですね。

浜田:モノだと実物を見て触って商品確認をして、「このくらいの厚さで」とかって話したりすると思うんですが、その辺りはどうされたんですか?

松原:サンプルをエストニア、ポートランド、日本の全部に送って、ひたすらオンラインで「これは厚さが…」って話し合いました。いっぱいね。

増村:何個も試しました!

浜田:ものづくりでこれを実現したのが、本当にすごいです。
バラバラに住んでいる人たちが、工場も全然違う場所にあるのに、全てフルリモートでプロダクトを作ったのが画期的ですね。


3. リモートで起業した2人が見据える環境の未来

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宇賀:何か困ったことはありませんでしたか?

増村:不思議なほど、全くないんです。ただどうしても時差はあるので、会議が日本の早朝4時じゃないと合わない時とかもあります。

浜田:増村さんが早起きしなければならないんですね。

松原:「今、話したい!」と思った時に向こうは夜中とか、時差の問題はありますね。

宇賀:でも国内で働いていても、もう夜遅いから明日の朝にしようということはありますよね。逆に言うと、もうそのぐらいしかない。

浜田:物理的な距離が、仕事をする上でハードルにならなくなる。その見本のようなお話ですね。

宇賀:では最後に。松原さんと増村さんの今後の展開を教えてください。

松原:やはり既成概念にとらわれずチャレンジし続けることが大事だと思っています。環境という問題にはあまり時間がないから、とらわれることなく、次々とスピーディーに進めていきたい。そんな展開を考えています。

増村:私は、現時点では海外で生産をしているんですが、日本国内での製造にチャレンジをしたいです。今のところまだまだ障壁はありますが、諦めずに追いかけたい。

あと、使い捨ての社会の上に、いくらリサイクルのような仕組みを乗せても“面倒”なんですよね。プラスチックのトレーやビニールを洗ったり乾かしたりするのって、面倒。なので、使い捨ての社会そのものを考え直すところを、どんどん発信していきたいと考えています。

宇賀:今回のゲストは、おかえり株式会社 代表取締役の松原佳代さん、共同創業者・取締役の増村江利子さんでした。ありがとうございました。


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