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鏡視下Bankart修復術

前方脱臼により前下方の関節唇およびそれに付随した前下関節上腕靭帯が関節窩から剥離し、内下方に変位した状態をBankart損傷(Bankart lesion)という。

手術法としては、スーチャーアンカー法により鏡視下バンカート修復術がゴールドスタンダードとなっている。

スーチャーアンカーの利点は、低侵襲であり、関節内からの操作で損傷した関節唇ー靭帯複合体を直接関節窩前縁に縫着するため、縫着部の良好な修復が期待できる。

手術の適応は外傷による前方不安定症で、関節窩に大きな欠損がなく、多方向不安定性を認めないものとされている。

手術は全身麻酔下に側臥位またはビーチチェアポジションで行われ、後方ポータルからの鏡視にてバンカート病変の形態や範囲、SGHL、MGHL、IGHLの形態と緊張度を観察する。

関節窩と前方関節唇との間の剥離操作後、十分なモビライゼーションにてIGHL複合体の可動性を得る。次に吸収性アンカーを均等に必要数を挿入し、縫合糸を複合体にかけ、引き上げながら縫合する。

関節唇による安定化機構

GHは上腕骨頭に対して関節窩は小さく浅いため、人体の他の関節に比べて不安定性を生じやすい構造である。関節包、関節上腕靭帯とともに静的安定化機構を担う関節唇は、関節窩を取り巻くように付着する線維性軟骨組織である。

関節唇は浅層、深層、関節軟骨との付着部の3層からなり、比較的疎な膠原線維の浅層と、膠原繊維が関節窩の辺縁に沿って環状に走行する深層に分かれる。深層の線維は関節軟骨に接し、骨と結合しているが、関節窩に結合する線維が少ないため、一部に大きな外力が加わると損傷(剥離)を生じやすい。関節唇は関節窩の凹面構造を深くするとともに接触面を広げることで関節安定性に寄与している。

balance stability angle

上腕骨頭と関節窩の適合性の指標

骨頭側から見た関節窩の有効角度であり、関節安定性を評価するもの。

関節窩を切除するとbalance stability angleは20%減少すると言われている。

関節唇と関節包の強度を計測すると、前下方部(4時)の強度が他の部位と比べて弱かったと報告されており、関節窩の前方から下方にかけては、軟部組織の付着部の強度が一様ではなく、前下方部の強度の減弱が関節上腕靭帯を介した外力によりBankart損傷を引き起こす一因と考えられる。

上記画像「整形外科運動療法ナビゲーション上肢・体幹」より引用


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たくみロドリゲス@理学療法士

理学療法士/日本でトップクラスの手術数を誇る人工関節センターを経て、現在整形外科クリニック勤務🏥/毎年研究報告、論文執筆実施📖研究を通して、適切なEBMを追求中✌️ Twitter➡️https://mobile.twitter.com/TakumiRodrigues
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