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【ネタ記事】タラタラしてんじゃね~よにインタビューしてみた

2021年9月からインタビュアー見習いとして、自分の身近なヒトにご協力いただきながら、そのヒトの半生や想いをインタビューさせてもらっている。自分なりに試行錯誤しながらインタビューに取り組んではいるのだが、如何せん素人の域を出ない。もっと場数を踏まないとなと思っていた2022年1月、一筋の光が差し込んだ。


そうだ、モノにもインタビューしよう。


読んで字のごとくモノにインタビューをする。

もう一度言おう、ヒトだけではなくモノにもインタビューをする!

モノであれば、無限にインタビューの場数が踏める。

モノにインタビューって何を言ってるんだい?と思ったそこのあなた。実際に書いてみた2本の記事を読んでみていただきたい。


1本目は長年愛用している"家の髭剃り"にインタビュー

2本目は正月から新しく我が家のメンバーとなった"シェーバー"にインタビュー

2回連続髭剃りの記事になったのは、たまたま髭剃りからつながるストーリーがあっただけで、決して"髭剃りマニア"ではない。

ただ不思議なことに、髭剃りとシェーバーにインタビューをしてから「家の髭剃りのことは自分が一番理解している」と、まるで"振られたけど未練タラタラな元カレ・元カノ"みたいな気持ちを抱いてしまっているのは否めない。

ヒトの想いや半生を知ることが出来る"インタビュー"がまさかモノにも適用できるなんて。改めてインタビューの力たるや素晴らしい。

そんなこんなで"モノへのインタビュー=モノタビュー"にすっかりはまってしまった。次はどんなモノにインタビューをしようかと考える日々が続いていたのだが、中々自分の興味を駆り立てるモノが出てこない。

そもそもモノにインタビューなんてしたことがないので、自分が何に興味を駆り立てられるのかも知ったこっちゃない。直感に任せるしかなかった。

その直感を刺激したのは近所のセブンイレブンだった。お菓子売り場の上段に"そいつ"はいた。


タラタラしてんじゃね~よ


懐かしい。昔よく食べた。遠足に持っていったこのロックンローラー。パッケージも全然変わってない。よう見たら足細。ギターぐね~んと曲がってる。髪とバンダナの色合いどういう意味。めちゃめちゃ気になる!

次の瞬間"タラタラしてんじゃね~よ"はレジの上に置かれていた。





ということで、今回のインタビューは"タラタラしてんじゃね~よ"さん。

そもそも何歳で、普段は何をされていて、どうしてロックンローラーになったのか。ある意味今回のモノタビューはヒトへのインタビューに近いものがある。

"タラタラしてんじゃね~よ"さんの半生や想い、今の自分にモヤモヤしているヒトへのメッセージを聞いてみた。

※以下記載されているインタビュー的な文章は、私がインタビュアーとして質問し、私がモノに成りきって答える"セルフインタビュー形式"を取らせていただいております。もっと端的に言うとただの私の妄想です。
【プロフィール】タラタラしてんじゃね~よさん

1970年生まれ。山梨県にある海産物加工販売を手掛けるよっちゃん食品工業株式会社にスカウトされ、1990年に"タラタラしてんじゃね~よ"のパッケージに。魚肉を一口サイズにカットし豆板醬で味付けした逸品は、印象的なパッケージと相まって、高確率で子供の遠足のお菓子に選ばれるほどの人気を博す。今でも主要コンビニやスーパーの駄菓子コーナーに展開されているお酒のおつまみにもなる人気の定番品。1988年頃から山梨を中心にソロプロジェクトと称してバンド活動をしている。 好きなバンド:BOØWY



音楽に魅せられた幼少期

ー本日はよろしくお願いいたします。小さい頃から見てきたタラタラしてんじゃね~よさんが目の前にいるのが不思、、、

さっきから聞いてりゃあよ~タラタラしてんじゃね~よ!さっさと終わらせろよ、かったりーな!なんだよ、インタビューってよぉ!

ー(うわっ!酒臭っ!)あ、それは大変失礼いたしました。では手短に。今日は会えて本当に嬉しいです。インタビュアーの奥行太郎と申します。

なんだ、そのタラタラした名前は!ギターでぶっ叩いてやろうか!・・・冗談だよ、冗談!笑。

ー少しびっくりしました、、、今日はタラタラしてんじゃね~よさんに、あっ、すいません。ちょっと名前が長いのでタラタラさんと呼ばせていただいてよろしいでしょうか?

何だよ、俺の名前がタラタラしてるってのか?あぁ??山梨の人間を馬鹿にするんじゃねーぞ!

ーいえ、そんなことは一切思ってません!一回一回"タラタラしてんじゃね~よ"さんとお呼びするのが少し長いなと思っただけです。

じゃあ、こうしろ。TARAだ、TARA。TとAとRとAでTARAって呼べ。まぁ今日はよっちゃんイカの社長の指示だから、かったり~けどインタビューとやらを受けてやるよ。

ー"Char"さんみたいな感じでかっこいいです!ありがとうございます。では早速インタビューを始めさせていただきますが、TARAさんはどういった幼少期を過ごされたんですか?

幼少期?んなもんロックしかねぇよ。親父が地元ではちょっとした有名なロックバンドのボーカルをやっててよ。"ミックスベジタブル"ってバンド聞いたことねぇか?1970年代の山梨じゃ梨とワインの次に有名よ。

ーミックスベジタブル・・・すいません、全く聞いたことないです。梨とワインの次に有名って結構すごいですね。ライブとか見に行かれたりしてたんですか?

そうだな、よくおふくろにライブハウスに連れていかれたもんよ。眩しかったよ、ギターを弾く親父の姿が。かっこよかった。
酒癖が悪くて、俺が小学校6年生の時に蒸発して家を出てったけどな。今は生きてるのかどうかもわからねぇ。

ーそんな過去があったんですね。。それでTARAさんもロックバンドを目指すことになったんですか?

まぁ中学校、高校とタラタラタラタラ喧嘩に明け暮れちまってよ。学校からもおふくろからも見捨てられたよ。なんてったって"山梨の粗大ゴミ"って呼ばれてたからな。

ー山梨の粗大ゴミ・・・ひどい。

俺なんて生きてる意味ねぇなぁって思ってた時にテレビでBOØWYのMARIONETTEが流れてきてよ。衝撃だった。と同時に小学校の時にライブハウスで見た親父がシンクロしてよ。俺はロックバンドで一旗あげるために生まれてきたんだ。と涙があふれてきた。
ロックで稼いでタワーマンションに住んでやる!いっぱいねえちゃんと遊んでやる!毎日フォアグラ食べてやる!俺のことを粗大ゴミって言った奴らを見返してやる!ってその時に夢を追いかける決意をしたなぁ。


夢を追いかける日々

ー過去と今がつながった瞬間と言いますか、すごい話ですね。そこからは音楽に明け暮れる毎日になったんですか?

まぁ初めは俺自身もタラタラしてたっつーか、ギターを買う金もねーからよ。バイトの毎日だよ。ずっとよっちゃんイカを袋に詰めてた。

ーえ?その時によっちゃんイカの会社と関係があったんですか?

そうだよ!社長から何も聞いてないの?!あいつこそタラタラしてんじゃね~かよ。あっ!いっけね!あいつとか言っちまった。ここカットしてくれや。カットよっちゃんで!

ー(おもんな)あはは!はい、カットよっちゃんさせていただきます。で、バイト代を貯めて音楽を始めるわけですか?

よっちゃんイカで貯めた金でようやく中古のギターを買えたんだけど、これがまたネックの部分がぐね~んと曲がっちまっててよぉ。まぁこれも一つの売りになるかと思って今でも使ってる。
そこからギター1本でソロバンド、じゃなくて"ソロプロジェクト"をやってるんだけど、まぁ中々売れないわな。唯一スマッシュヒットしたのが"翼をください"のカバーぐらいか。知ってるか?「この大空に〜翼を広げ〜飛んで~ゆきたいよ~」ってやつ。ちょっとロックテイスト入れて疾走感のある感じに仕上げてる。
初めは鳴かず飛ばずだったんだけど、タラタラタラタラ順位を上げてオリコン98位までいったんだ!すごいだろ?

ー98位はすごいですね!しかも学校の課題曲のカバーでそこまでいくなんて、中々聞いたことありません!そんな中でタラタラしてんじゃね~よのパッケージになったのはいつ頃の話なんですか?

あれは1990年だったと思う。たまたまよっちゃんイカの社長が俺のライブを見に来ててよ。それこそ”翼をください”の時の観客を煽るコールが「タラタラしてんじゃね~よ!」だったんだけど、そのコールが妙に気に入ったみたいで。「はため~か~せ~」の後な。
ちょうど新商品のピリッとする魚肉系の駄菓子の名前に迷ってたらしくて、ライブ終わりに「おい、お前を丸ごとパッケージにさせてくれや」って社長に言われたのが始まりだったかな。


家族との別れ

ー音楽で一旗あげると決めたTARAさんからしたら屈辱だったんじゃないですか?

当時の俺は死に物狂いだったから、しがめるところがあったらしがみたかったんだよ。よっちゃんイカなだけに。二つ返事でオッケーしたよ!でもこれがきっかけで息子がいじめられちゃったんだよな~。一気に息子に嫌われちまった。

ーどういうことですか?

やっぱり"タラタラしてんじゃね~よ"は珍しい名前も相まって、当時から爆発的に売れたわけよ。特に子供にさ。遠足なんかになるとクラスの全員が"タラタラしてんじゃね~よ"を持ってくる。
そんな時にうちの息子が馬鹿にされるらしいんだわ。「お前の父ちゃん、で~べ~そ~!髪の色とバンダナの色味合ってない~」って。
ある日息子に「鳴かず飛ばずの夢なんか追っかけてるお父さんが一番タラタラしてんじゃね~よ!」って言われたこともあったな。

ーひどいですね。髪とバンダナの色合いが合ってないのを馬鹿にするのはおかしいと思います。また息子さんもめちゃくちゃ的確な厳しいこと言うんですね。

妻にも「もう辛いから音楽活動と"タラタラしてんじゃね~よ"のパッケージ、両方辞めて」って何回も言われたんだけど、俺も若かったのか、意地になって辞めなかったら最終的には離婚よ。夢を持った方がいいと教育されて、夢を持ったはいいが、追えば追うほど不幸せになっちまう。これって何なんだろうな。

ー夢というものは本当に難しいです。すごい半生でびっくりしました。ご家族も複雑な心境だったと思います。結局今もソロバンドは続けていらっしゃるんですか?

今も細々と場末のスナックを回って歌ってるよ。最近はコロナで歌う機会がグッと減ったけど。"翼をください"を歌うと、「あれ、これはお前が作った歌なのか?」って聞かれるので「はい、そうです」って言うようにしてるよ。
まぁカバーはカバーなんだろうけど、30年ぐらいこればっかり歌ってるから実際俺の歌みたいなもんだろ。疾走感のある曲調だしな。似て非なるもんよ。


ハウスクリーニングの仕事

ーまぁその辺すごい微妙な部分ではあるので中々答えづらいですが、、、失礼な質問でしたら申し訳ないのですが、今はどのように生計を立てられてるんですか?

本当失礼な質問だな。ニートって思われてるってことだもんな。まぁしゃあねぇか。ソロプロジェクトだけではさすがに食っていけねーから、今はハウスクリーニングの会社で働いてるよ。 
ほら吉本の闇営業騒動で話題になった元カラテカの入江さんの会社。面接で"翼をください"を歌ったら、即採用よ。笑。そこから3年ぐらい働いて、今は山梨地区の責任者みたいなことやってるよ。あんまり言うなよ。

ーそれまたすごい話ですね!入江さんとTARAさんの対談とかYouTubeにあげたら話題になりそうです!

山梨県内だったらどこでも清掃しにいくぜ!清掃しにいったりすると、やっぱり顔はさすな。「タラタラしてんじゃね~よのパッケージの方ですよね?」って。
そんな時は後輩に「おいー!早く拭き掃除しろー!タラタラしてんじゃね~よ!」ってあえて大きな声で喝入れてやんだよ。それ聞いたお客さんは大体喜んでるな。


モヤモヤしているヒトへのメッセージ

ーまぁ確かにTARAさんのことを知ってるヒトからしたら、生「タラタラしてんじゃね~よ」は確実に喜ばれると思います。今は二足の草鞋で頑張られてるとは思うんですけど、やはりロックバンドで成功したい気持ちもあるんじゃないですか?モヤモヤしませんか?

・・・モヤモヤすることだらけだよ。B'z、スピッツ、 Mr.Children、ウルフルズ、JUDY AND MARY、 シャ乱Q、 エレファントカシマシ、皆90年代に活躍したロックバンドで、未だに解散せずに売れてる奴らだっている。バケモノだよ。
俺もそこに入ってるはずだったんだけどよぉ。でも諦めちゃいないぜ。そこの第一線に入る夢は今も諦めきれない。だから俺は52歳になった今も、これからも歌い続けるよ。

ー素晴らしいと思います。では最後になりますが、こちらのインタビュー記事は、読書の方のモヤモヤが少しでも晴れる未来を目指して、インタビュー・執筆をさせていただいております。"今の自分にモヤモヤしているヒト"に向けてメッセージをいただけないでしょうか?

小さい時に親父が蒸発して、喧嘩に明け暮れて粗大ゴミと言われ、そこから音楽に目覚めて、でも鳴かず飛ばずで、家族にも愛想を尽かされて、、、、モヤモヤしないわけねーだろ!こんなクソみたいな人生を送ってる奴、他にも1万といるんだろうけど、中々しんどいぜ。
でもそんな時こそ、自分自身に言ってやるんだ。
「タラタラしてんじゃね~よ」って。
モヤモヤしてる間にチャンスなんて通り過ぎてっちまうぞ。タラタラしてる暇なんてねーんだよ。ハウスクリーニングは音楽活動を続けていく上でのチャンスを掴んだと思ってる。
でも掴むだけじゃダメだ。面接で"翼をください"を歌うところから始まって、来る日も来る日もタラタラせずに家を綺麗にし続けた結果、山梨地区を任せてもらえるまでになった。チャンスを掴んだ後の行動が、チャンスを成功に変える鍵になると思うんだ俺は。掴んだままのチャンスなんてただの粗大ゴミだぜ。
もう一度言うぞ。モヤモヤしてる暇なんてねーんだよ。タラタラしてる暇なんてねーんだよ。兎にも角にもタラタラしてんじゃね~よ!!!!

ー(うわっ!酒臭っ!)僕もモヤモヤタラタラせずに頑張りたいと思います!今日はありがとうございました。




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編集後記


私の中で"タラタラしてんじゃね~よ"は「なんだよ!"タラタラしてんじゃね~よ"って!」と友達に言われるためのお菓子であった。特に遠足の時には大活躍。いわば"ネタ的な存在"で、遠足駄菓子シーンの笑いの中心にいたと思う。皆さんはどうだろうか?

いざインタビューをしてみると、話を聞いていくにつれて物凄く真面目な方だなと思ったので、そんな"ネタ的な扱い"に不満を抱いているのではないかと、インタビュー後に正直に伝えてみた。すると意外な言葉が返ってきた。

俺自身は何も成し遂げてねぇし成功も掴んでねぇけど、世界中のヒトたちが俺の姿を見て、少しでも笑顔になってチャンスを掴んでくれたらそれでいいと思ってる。音楽で目指したかった姿と一緒よ。山の登り方が違うだけだ。
"タラタラしてんじゃね~よ"のパッケージがきっかけで離婚も経験したし、正直恨んだこともたくさんあったけど、このパッケージだけはどんな世の中に変わろうが、後世に語り継がれてほしいなと思ってるよ。


本当は音楽を通じてヒトに笑顔になってもらいたかったという気持ちを押し殺して、瞬時にこういう回答が出来るのは、今までたくさんの苦労をされてきた経験から来るものなんだろう。

発売から32年、今もコンビニやスーパーの駄菓子売り場の特等席の座を守り続ける"タラタラしてんじゃね〜よ"

TARAさんが音楽の道を志していなければ、こんなにも長く愛され続けることはなかったのかもしれない。そもそもこの駄菓子は存在してない。

だからこれからも、夢を諦め続けることなく歌い続けてくださいねTARAさん。

あっ、出来ればカバーではなくオリジナルソングで。


TARAさんの座右の銘「なんとかなる」



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