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3月はライオンのように

「3月はライオンのように訪れ、子羊のように去っていく」
 イギリスのことわざだそうですが、今年の日本の3月はものすごい嵐と共に訪れたので、このことわざがぴったりだと思います。
 実際、今年の春の勢いは特別だな、と思う発見がありました。なんと、うちの近所では、もう先週末につくしが出始めていたのです。例年なら、つくし狩りの最盛期は桜の見頃の前後です。まだ梅と沈丁花の香りが残っているこの時期につくしが頭を出すのは、かなり珍しいと思います。今年は桜も早く咲くかもしれません。

 いきなりつくしについて語ってしまいましたが、実は私はつくし狩りが趣味なのです。大漁の年には一人で100本くらい摘んできます。それを佃煮にしてご飯に乗せて食べるのをめちゃくちゃ楽しみにしているのです。
 ですから、この週末は大慌てでつくしの狩り場に行きました。
 ところが狩り場エリアでは、まだほんの数本が頭を出していただけでした。先週近所で発見した場所と、日当たりなどの条件が違ったからでしょう。
 わざわざ足を伸ばしたのに、とちょっとがっかりしましたが、自然が相手ですから、こういうふうにフラれる事はよくあります。平日にピークを迎えてしまって、漁期を逃してしまう年もあります。来週頑張りたいと思います。

 今週は仕方ないので、つくしは諦めて、家までの道すがらぶらぶら周辺を散歩しながら帰りました。

 私が住んでいる地域には農家が多いので、梅、梨、イチジク、クリやヒョウタンの果樹園があったり、野菜畑にもいろいろな果樹が植わっています。2月に梅が最初に咲いて、3月に入るとモモ、アンズ、ナシ、最後に桜と続きます。
 なので、日当たりのよいところに生えていて毎年一番早く咲くアンズの大木の様子を見に行ってみました。
 ほとんどのアンズはまだつぼみでしたが、案の定、目当ての木だけはもう7分咲きになっていました。ご近所の家族や犬の散歩の人が、何人も立ち止まって花を見上げていました。
 私もぜひスマホで写真を撮りたいと思い、木のそばに近寄っていきました。ところが、近寄るにつれ、徐々にわーーーーん・・・という非常にうるさい音がしてきました。
 木の真下から花を見上げて目をこらしたら、なんとものすごい数のミツバチが、猛然とアンズの花に群がっていたのです!!
 正直、写真を撮るのも怖くなるくらいの大群でした。心頭滅却して撮ったのが上の写真です。

 アンズの花は梅と違って、全く香りはしません(※)。なので、何に引き寄せられてそんなにたくさんのミツバチが集まってくるのか不思議でした。パトロールして見つけて仲間を大勢呼んでくるのか、人にはわからなくても昆虫には匂いがわかるのかもしれません。きっとおいしいハチミツになるに違いないなと思いました。

 人間の社会はもうちょっと足踏みが続きそうですが、自然はどんどん冬眠から覚めて動き出しているのを実感しました。

(※)ただし、アンズは木材になると梅よりも強く香るそうです。いつかアンズの材を加工してみたいなと思います。

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