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すごい店に行った。

 昨日の金曜日、午後休を取ってアメリカ人と日本人の友達を誘って3人でグッドウィルアウトレットストアという店に行った。全員そこに行くのは初めてである。普通のグッドウィルにはいろんな街で行った事があるし、断捨離の度に不用品を寄付しに行くのも家の近くのグッドウィル。でもそのグッドウィルのアウトレットストアとはどういうものなのか、まるで見当がつかなかった。

 アウトレットという語の響きから、もしかしたら問題ありで流通できない新品を工場から仕入れて安く売っているのかも?と思っていたのだが、背の高いFさんが倉庫のような建物のドアに手をかけて”Here we go 〜”と言いながらグイッとドアを開けて一歩足を踏み入れた途端、自分の想像と真逆の光景が広がっていた。

 何なんだココは?埃っぽいし、雑多な古着の混ざった独特の匂いが軍需工場ですか?と問いたくなるような巨大で無機質な黒い扇風機により攪拌されている。浅い箱型の大きな台がズラっと並んでいて物が山積みになっている。カーテン、プロム用ロングドレス、ぬいぐるみ、ジーンズなどが同じ台にいっしょくただから、ぱっと見では服の性別も用途もサイズも何もわからない。 

 状況が理解できるまで3人ともフリーズ。が、流石にアメリカ人は切り替えが速い。アッハッハ、すごい、何があるか全然わからないわね、アッハッハ、一品ごとの値段じゃなくて全部の重さで払うのねぇーと爆笑しながら、Fさんが古着の山に手を突っ込んでは品をひっぱり出しはじめた。すごい、なにこれ、ドレスドレス、アッハッハー。それにつられて日本人の友達Hさんも行動に移る。私はまだ空気の匂いがやばい事に気を取られてオロオロしている。

 そのうちに、Fさんが「ちょっとこれあなたにどお?」とインドの長袖ワンピースを持ってくる。色が綺麗だけど、ガボガボだしそれを着る機会も着ている自分も想像できないわ、と、私。「あらー、残念、Hさん、あなたどう?」と渡す。Hさんは身体に当ててみながら、「切ってロングスカートにすればいけるかも」と言ってとりあえずキープしたのでFさんも盛り上がって、更に服の山を進んでいく。

 更衣室が何処かにあるのかもしれないが、試着してみてどうのという状況でないから、見つけたジーンズをその場でレギングの上から履いてみる。Hさんに意見を聞くとちょっと大きすぎじゃない?としぶい顔なので、一応キープだけど2番手にして更にジーンズを探す。右手が腱鞘炎なので絡まった服をひっぱり出す作業が微妙に痛いがFさんがどんどんひっぱり出してはこれあなたに良いかもと見つけてくれるので助かった。そんなふうに出してくれたもののなかに、自分にぴったりなサイズの夏用パンツがあって、2人からゴーサインをもらったのでそれもキープ。それからもう一本スリムジーンズも見つかったので、最初に見つけたジーンズは台に戻した。

 会場の一隅でカートに山盛りいっぱい野球帽を入れている客を見つけて早速Fさんが話しかけた。その人は売れ筋のキャップを仕入れてebayで売るのだそうだ。この店では総重量が重いほど1パウンドごとの料金が安くなる仕組みなので、そんなふうにカートにたくさん入れてる人は会計の時は空港のチェックインカウンターのようにカートごと測りに載せて計量していた。

 自分の買ったパンツ2本とカーディガン1枚は重さが2パウンドで価格が2ドル54セントだった。Hさんは綺麗なストール、薄手のワンピースパンツ、良品で有名なアウトドアブランドのダウンコートを買って、「コーヒー一杯より安かったわよ。」と言い、1番多く買ったFさんでも8パウンドで10ドルちょっとだった。

 何も仕分けがされていないと、手に取った瞬間にまずこれは服の一部なの?インテリアで使う布なの?というレベルから判断しないといけないので思いのほか脳を使う。外に出て新鮮な空気を吸ってホットしたらお互いに顔を見合わせて「ワイルドだったわねー」と言ってまた笑った。

 家に帰って早速買ったものを洗うときによく見たら夏用パンツにGAP JAPANというタグが付いていて、どうりで自分の体型にフィットしたわけだ、それにしてもあの服の山から日本製の服を見つけたFさんグッジョブ!と思った。