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アーカンソー州の残念な泉

このところニ回ほど泉について書いたので、もう一か所、アーカンソー州のブルースプリングについて語りたい。

単に水の色を形容した名前のせいかブルースプリングという名の泉はいろいろな地方にある。アーカンソー州ユーレカスプリングスの、ブルースプリングには今年の春に休暇で訪れた。

資料によれば毎分26388ガロン(99889リットル)の湧出量で、駐車場のある高台からブルースプリングヘリテージセンターの建物を通過して低地のほうへ階段を降りていく途中、緑色を帯びた青い水をたたえた池が見えてくる。でもそれは下流の貯水池で、そこから水辺に沿って上流へ遊歩道を歩いて行くと水源の泉に着く。と同時に、その風情のなさに驚いた。円形劇場のような構造物の中心にコンクリブロックでフライパン形に水を堰き止め、フライパンの取手部分が水路となって貯水池に流れ出ている。コンクリブロックの縁には乗らないようにとの看板が付き。水の色味もハッとする美しさで水量も半端ない湧出量の泉なのになんでこんな駅のロータリーの噴水みたいなものにしてしまったのだろう。

ヘリテージセンターで観たビデオによれば、一万年以上前からこの泉の周りにはヒトが暮らしていた痕跡があるらしい。周りの地勢から見てもきっと素晴らしい水場だったことだろう。ビデオでははっきりとは語られていないけれど、どこかの時点でヨーロッパからの開拓者達がやってきて先住民をこの地から追い出した。そして水車を取り付け、水力を使って粉挽きをしたりしたらしいからもともとの自然な状態に戻すのは難しかったのかもしれないが、自然を抑えつけて西洋文明の価値観で飾りつけた枠に泉をはめ込んだ雰囲気が私には残念でならなかった。


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