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「ふるさと秋祭り」で実演

●2011.11.21記事●

「科学クラブの子どもたち」の報告です。

科学あそびをきっかけに、
育ちゆく子どもたちの姿を、地域の大人たちと共有しあっています。


そんな幸せのひとときを、
科学クラブが第19回「ふるさと秋祭り」に出演して
また、もつことができました。
(通算96回目の科学クラブです)


公民館広場会場の椅子席は満席の老人、
幼児をひざに抱いた母親、
そのまわりを立ち見する人たち。


取り巻く各種の屋台、
神社幟旗が真っ青な秋空にはためく
2011年10月16日(日)でした。


今年で7回目の参加となった「科学クラブ」の子どもたちは
緊張しながら上がったステージで
多くの地元の人たちの笑顔・歓声・拍手に包まれました。


ことし特筆なのは、高校生スタッフのデビューです。


かって科学クラブであそんだ子が
高校2年生になった今、
スタッフとして参加したのでした。


彼の夢(教師)への第一歩です。


私が4人のスタッフ紹介をしたとき、
会場の人たちの中で、最前列に座る
おばあさんの
クシャクシャ笑顔に感動しました。
彼のおばあさんです。


「最近、あんまり話しかけてくれないのよ。さみしい。」
「なーに、お年頃・シャイな年頃、心配いらんよ。
 心の中では、小学生のときと同じ『おばあちゃんっ子』だからね。」


この孫思いのおばあさんとは、
つい先日も農作業で立ち話をしたところです。


もうひとつ、特筆があります。


食べ物科学担当のスタッフ(高・中・小学生のお母さん。週4日のパート勤め)
の大きな活躍です。


子どもを前面に出して、
発表の案内・内容説明・飴配布など活動させる
というアイデアを原に提案し、


子どもたちの

役割分担
発表原稿文作成
発表練習
べっこう飴実験準備

などのすべてを1週間でおこない、


当日は、
高校生スタッフ・応援母さんとともに
裏方をやり切ったのです。


感動しました。
そして、
「科学クラブ活動が、一段階層レベルアップしたなあ」と思いました。


この母さんは、3年前に
原が脳梗塞で科学クラブの活動中に倒れ
救急車で入院してからというもの、


「原おじさん、座ってるだけでいいから。
 科学クラブ続けてね。
 指示し教えてくれれば、私たちや子どもたちが動きますからね。

 
 おじさんがいないと
 クラブがやっていけなくなるから。」


「科学クラブが好きです。続けたいです。」


と言ってくれているのです。


科学クラブの発表が終わると
突然、
ひとりのご老人がステージに出てきて
「ひとこと言わせて下さい。」
と、マイクを取って話されました。


「ことしは4回、見学しました。
 科学クラブ活動する子どもたちが、のびのびいきいき楽しそうで、
 こちらがうれしくなりました。


 それと、『しつけ』をしっかりして頂いていて
 感心しました。


 始め終わりの挨拶、
 食べ物実験で食べる前の「(命を)いただきます!」
 活動後のブルーシートの片付けなど、
 みんなで遊びのようにやっていました。」


この話に自分もびっくりし、うれしくなりました。



退職後、11年間が過ぎ、
2011年の「秋祭り・参加」も終えた今、


「何で、こうも幸せな『科学あそび』を続けておるんかいなあ?」


と、ふと、思ったりします。


思えば、
戦中の爆撃・疎開生活、
敗戦後の飢餓と貧乏な境遇下で、


科学する無上の幸せの時空に遭遇して以来、
一貫して
何が何でも科学する幸せを追求し続け、
それが
今に至っていることに思い至ります。


就職した染色工場で労災にあい、
「科学する無上の幸せを取り戻したい。」


と、
今では無謀とも思える
工業高校出で「理科の先生」を夢見て
独学し国立大学に入学しました。


先生になる夢を実現した後は、
「この幸せを生徒にも伝染させてやろう!
 一緒に楽しんじゃえば、その幸せは倍加するぞ!」
と考えました。


それからは目の前の生徒の反応・評価を授業評価基準にして、
黙々と理科教員・学級担任の教育実践を楽しみました。


癌や慢性腎炎など3度の入院・休職をしたことも、
生徒の励ましてくれるエネルギーで乗り越えることができ、
2000年に無事退職しました。


その36年間、
世間で教育困難校と不本意な呼ばれ方をする学校の生徒たちを
ただのひとりも落ちこぼさなかった。


そして、学校生活の最後の7ヶ月間を
ひとり科学研究できる高校生たちを育てた。


この教育実践、
この事実の値打ちは大きい
と、
我ながら、今あらためて思います。


その原動力は、二つあります。


まずは(言うまでも無い)
科学する無上の幸せに感染しちゃった、虜になったこと。

 
二つ目は、人間大好き。
とりわけ
未来に生きる「子ども大好き!」です。


この二つこそが、
科学教育を議論する際の必須要件
だと、確信しています。

 
そういうことがあり、
「生徒が、どうした・こうした」という
生徒の反応・評価を報告するメールに出合うと
心がおどるし、

「科学教育を交流しあうMLだ」
と、うれしくなります。


現職の先生方、
現場の大変さ・理不尽さなど、
現職中の友人からも知りますが、

自らのロマン・信念
を実現する万策を試行錯誤して、
無上の幸せ

わしづかみなさいますよう、祈っています。


そして、健康第一に。さいなら。
原  弘良


(理科教師MLへの投稿記事)

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