Robotex Japan Festival 2019 の中止と、ハックフォープレイ株式会社の今後の活動

以前 Facebook でシェアさせていただいた Robotex Japan のイベントについて、先ほど「無期限の活動休止」が発表されました。

ハックフォープレイ株式会社では3月から協力企業として Robotext Japan に参画することを表明させていただき、プログラミングワークショップなどを提供していく予定でした。ロボットを扱っていないハックフォープレイを【日本独自のコンテンツ】としてフィーチャーして下さったことは大変光栄でしたし、僕自身も Robotex Japan の目的や理念に強く共感していました。

それだけに今回、イベントを実現させられなかったことは、関係者の一人として、己の無力さを感じずにはいられません。多くの協力企業を巻き込み、熱心に活動されていた運営メンバーの皆様は、もっと辛いお気持ちだと思います。改めて、もっと魅力的なコンテンツを作っていかなければならないと痛感しているところです。


この件を聞いたとき思い出されたのは、Maker Media 社の事業停止のニュースだったのではないでしょうか?(僕はそう思いました)

※ Maker Faire Tokyo 2019 は予定通り催行されるとアナウンスされています

昨今のメイカームーブメントの火付け役とも呼ばれる Maker Media でさえ、「ビジネスとしては失敗した(最も上手くいったのは教育としてだった)」と語られたインタビュー記事もありました

“It started as a venture-backed company but we realized it wasn’t a venture-backed opportunity” 
“The company wasn’t that interesting to its investors anymore. It was failing as a business but not as a mission. Should it be a non-profit or something like that? Some of our best successes for instance are in education.” 
https://techcrunch.com/2019/06/07/make-magazine-maker-media-layoffs/

ただイベントを継続するだけなら、その年に集まった協賛金の額に応じて、イベントの規模を縮小することも出来ます。ただしその先にスタートアップとしての成功が見込めなければ、資金調達は難しくなるでしょう。その事実を再認識させてくれたニュースでした。


もちろん、Robotex Japan と Maker Faier とでは、異なる点もあります。Robotex Japan は一般社団法人として設立されていることからして、ベンチャーキャピタルからの出資は受けていないと思います。一方、似通っている点も多くあります。株式会社でなくとも、そこで人が働いている以上賃金が発生します。ボランティアで全てが回っている訳ではないということです。それらの原資は、スポンサーや企業ブースの出展者から募るのが一般的なので、大きなイベントを開催するには、必要なだけの規模と信用が必要不可欠ということになります。国内初のイベントを、それも首都圏以外で開催することが、どれだけハードルが高いことなのかは、想像に難くありません

だからと言って、今回の中止をまるで「世の中が悪い」という風に捉えるのは、全くの的外れですし、建設的でもありません。Robotex Japan は、挑戦的な試みであったからこそ、トライすべきであったし、我々はその結果から学び、次のトライに繋げていかなければならないはずです。


僕たちも、僕たちなりに得た教訓を今後の活動に活かしていく所存です。


これからどうするか

僕たちがやろうと思っていたのは「全国ハッカソン」という新しい企画で、今まではもっぱら社内だけで進めていました。7月までには概要を公開して参加者の一般公募をしようと思っていたのですが、計画を見直す必要が出たため、社内会議を開きました。

結論から言うと、(僕個人の強い意志で)「全国ハッカソン」は弊社単独でも実行する方針に決まりました。全国ハッカソンは、近隣の公民館や学校、あるいは自宅からでも参加できるイベントなのですが、前々からそういったイベントをやりたいと強く思っていたからです。

現在は、この企画に共感してくれそうな方に一人一人声をかけさせていただき、少人数で進めています。また、オープンソースのような考え方で、企画に関する議論をオープンな場所に公開もしています。全国ハッカソンというアイデアや、それを実現するまでに行ったことを、情報として外部の方にも利用してもらえたらなと思っているためです(今はまだ妄想の段階ですが)


全国ハッカソン

一言でいうと、「ライブ動画配信を用いたワークショップ」と言ったところです。この名前は関係者向けに使っている仮の名前で、正式な名前ではまだないのですが、敢えてハッカソンという言葉を使ったのは、参加者が自分のオリジナル作品を作るということがこのイベントの一番の趣旨だからです。

このイベントは、なるべく低コストで実施することを目指します。一般的なハッカソンは参加者を会場に集めて行いますが、全国ハッカソンでは、一般のご家庭や、町の公民館、学校などを会場にして、PTAやボランティアの方によって運営されます。モニターとデバイスさえあれば会場ができるという点では、スポーツのパブリックビューイングにも近いかも知れません。

イベントが始まったら、参加者は自分の(あるいは会場の)パソコンで自分の作品を作ることに没頭します。ある程度完成したらネット上に公開して、全国の人たちにも遊んでもらいます。全国ハッカソンのタイムラインが公開されていて、そこに自分の作品が流れていくのです。

ご存知の通り、これは全く新しいアイデアではありません。僕は学生時代に一度だけGlobal Game Jamに参加したことがありますが、ちょうどそのような感じでした。参加者の多くは大学生や社会人で、プログラマーやデザイナーなど多彩な参加者がチームを組み、最新のテクノロジーを使って、おもいおもいの作品を作ります(何を隠そう、僕の参加したチームは当時最もアツいゲームエンジンと言われていたXNAを使っていました!エモいですね)。

全国ハッカソンの正体とは、つまりプログラミング教育を目的としたゲームジャムです。休日に公民館に集まって、朝から晩まで子どもたちがワイワイしながらゲームを作り、全国で作品を見せ合うお祭りです。プログラミングが初めての人もたくさん参加します。全国ハッカソンのタイムラインには、いくら遊んでも遊び尽くせないほど沢山の作品が流れていくのです。考えるだけでワクワクしてきませんか?

自分で言うのもなんですが、こういう用途においては、ハックフォープレイの右に出る開発ツールはないでしょう。今はそういうことにしておきます。

先ほど「企画に関する議論をオープンな場所に公開もしています」と言いましたが、あなたも議論に参加することが可能です。全国ハッカソンに関する議論はこちらのページ上で行われています。同サイト内に編集者権限を得るための方法も書いてあるので、アイデアがある方・企画に参加したい方は、探してみてください


お問い合わせはツイッターで

書いている途中でオンラインサービス TECHful さんが行っているイベントの名前も「全国ハッカソン」で、名前が被っていることに気付きました。
こちらは仮の名前ということで、いい名前を思いついたら変更します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?