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生地の耳に穴が開いてる理由

服飾高生だった頃に教えてもらったことの1つに、生地の表裏の判断がある。

生地の耳にはちいさな穴が開いていて、その穴の向きによって表か裏かが分かる。当時は、上から下に針で刺した方、つまり凹側が表だと教えてもらった気がしていたが改めて調べてみたところ凸側が表らしい。

生地の耳に穴が開いている、ということになんの疑問も抱かずそういうものかと思っていたが、整理加工を行う工場を見学したことで、その真相に出会った。生地は製織や製編が終わると染色整理加工というものを行う。洗ったり(精錬)縮めたり(縮絨)毛羽立たせたり(起毛)艶出ししたり、などなど。織機や編み機から出てきたばかりの反物には油や汚れが付いているので、それを綺麗にしてお客様の希望通りに風合いを整えていくのだ。

その指示の中には、「生地幅」の指定もある。(これがポイント!)整理加工には、乾燥の工程があり、これは洗ったりして濡れた状態の生地を温風で乾かすというもの。その際に指定幅に生地を揃えるために、耳の部分である生地の両端を、針で押さえて乾かす。この時に耳の穴が開くのだ。

ここでか~~~~~~!?!!!!

という気持ちになった。生地の知らない不思議はまだまだ沢山ありそうだと感じるきっかけとなった。冒頭の穴の凸側が表というのも、生地の裏側から針が刺さっているのだと考えれば納得できる。生地の裏表を判断するのに100%根拠になる訳ではないが、知っていると便利な耳の穴。今後、生地の耳を見る時にこのストーリーを思い出してくれるとちょっぴり嬉しく思う。

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