留置施設アレコレ

富田林署の件で色々と話題の留置施設ですが,土地々々や警察署によって構造が違ったりしますし,一般の方はそもそも全くイメージできていないと思うので,当職の経験の限りにおけるものを,ペイントでちょっと落書きしてみました。

第1 接見室アレコレ

①パターン1

パターン1としては,こんな感じですね。
留置管理の事務をやっている部屋(図でいう警察官待機のところ)のなかに接見室が存在するやつです。
受付の小窓で受付を済ますと,施錠されたドアを「開錠!」(開場かも?)とか言いながら開けてくれて部屋のなかに入り,そこからさらに接見室に入るパターンです。
被疑者の接見室は外側から施錠されており,かつ,被疑者側のドアから被疑者が接見室を出ても,廊下に出るまでには1枚以上の施錠された扉が存在します(逆に弁護人側は,中から弁護人が施錠して警察官が入って来られないようになっています。)。
警察署によっては,これらのドアのいずれかが開くとブザーが鳴る仕組みになっていますが,全部の警察署でそうかは不明です(富田林署では電池が抜いてあったため鳴らなかったとか。)。
このパターンの場合,弁護人は,接見を終えて部屋を出ても,受付のドアが施錠されていて外に出られないので,必然的に警察官に声をかけざるをえません。
なお,当職は,接見を終えて接見室を出てみたら警察官がいない,ということを経験したことは何度かあります。これは,担当の警察官が全員上図でいう留置施設側に入ってしまっている場合などです。夜で,しかも寝具入れをしているときにあったりします。
おそらくは,上図の受付のところのドアが施錠されていて,しかも,警察の待機場所と留置施設との間のドアにも施錠がされているので,誰もいなくとも警備としては問題なかろう,という判断なのかもしれません。
が,この場合,接見を終えた弁護人は警察官を呼ばないと外に出られないので,必死に呼んだり,または被疑者に被疑者側のドアをノックしてもらって,なかにいる警察官を呼んだりします。
仮に,このパターンで,かつ,受付のところのドアを施錠もせずに警察官が全員出払っていたのであれば,警備としては最低ですね。

なお,警察署によっては,接見室内に,①弁護人の側にだけ接見終了を知らせるブザーが鳴る押しボタンがある場合,②被疑者の側にだけ同ボタンがある場合,③両方ある場合,がありますが,少なくとも当地は,同ボタンが設置されている接見室はほぼありません(拘置所はこれです。)。
富田林署がどうであったかはわかりませんが,同ボタンの存在を当然の前提に語るのは誤りでしょう。

ちなみに,このパターンの亜種として,こんなのもありますね。

これは,受付の部屋と警察官が待機して留置管理事務を行う部屋が別々になっていて,受付入口のドアは無施錠だけれども,受付から先のドアは施錠されてるパターンです。

②パターン2

パターン2はこれです。
弁護人は廊下で留置事務の部屋の小窓で受付し,その後,廊下から接見室に入ると,なかから被疑者が入ってくるというパターンです。
この場合,弁護人の接見室から外はもう廊下です。
なお,このパターンの場合は,パターン1同様に弁護人の接見室のドアを弁護人が内側から施錠する場合と,弁護人のドアも外側から施錠されていて,接見終了をブザーなどで知らせると廊下から接見室のドアを警察官が開けてくれる場合があると思います。

第2 留置施設アレコレ
警察署内にある留置施設といっても,本当に警察署によってバラバラです。
警察署でも,刑事課などの部屋がある本棟と留置施設のある別棟に分かれてることもあります。こんな感じです。

本棟のところのドアは,施錠していないところもありますね。
これも,1階のパターンと,3階,4階というパターンがありますが,いずれも渡り廊下は鶏小屋の緑色のネットみたいなやつで囲まれているので逃げられません。
渡り廊下がなくて,外から別棟に歩いて行って,階段を上って受付をしたりするパターンもあります。

最悪なのは,これです。

古い警察署なんかにありがちですが,何と,留置施設が刑事課の部屋のなかにあって,よくオフィスなんかにある気持ち程度のパーテーションで区切られているだけです。
『果たして,捜査と留置の分離とはなんだったのか。』という気持ちになれます。
あってはならないことですが,当該被疑者の担当捜査官が接見室の外側から聞き耳を立てて,秘密接見中の話を盗み聞きするのも可能でしょうね。