見出し画像

監査チームメンバーの決め方、こう変えるとうまくいく?【妄想ベースの思考実験】【監査ガチ勢向け】

監査のアサイン決めは、アサインする方もされる方も不満を持ちながら仕方ないと思っています。決め方をがらっと変えてみたらどうでしょうか?


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

ほとんどの監査法人では、監査チームへのシニアスタッフやスタッフのアサイン(配員)は一大イベントになっています。(以下、シニアスタッフも含めて「スタッフ」と総称します)

アサインするシニアマネジャーやマネジャーにとっては、自分のチームに誰がどれだけの期間来てくれるかは死活問題。(以下、シニアマネジャーも含めて「マネジャー」と総称します)
優秀なスタッフを中心に十分なアサインできれば、マネジャーは突発事項の対応に専念できます。あるいは、突発事項すら処理してくれて楽ちんに監査を終えられるかもしれません。

スタッフにとっては、協力的なクライアント、面倒見がよく優しいマネジャーと先輩、忙しすぎず暇すぎない業務内容で仕事ができれば、楽しい監査ライフが約束されたも同然でしょう。

これだけ大事なアサインですが、する方もされる方も、いろいろ不満があると思います。例えば…

  • 同期よりもがんばっているのにあまり給料が変わらず、不公平感をいだくスタッフ

  • アサインの決まり方が不透明で、納得できないマネジャー

それを解決するために、前からぼんやりと考えていたアイデアがあります。
それは、アサインをオークションで決める方法です。



オークションによるアサイン

オークションの方法

マネジャーがどのスタッフをどの日にいくらのレートでアサインしたいかオファーを出します。
どのスタッフをどの日に、までは普通のアサイン要求。オークションにするために、希望レートも出すところが違います。

スタッフは、オファーを見て応じるかどうかを決めます。
行きたいクライアントか、一緒に仕事をしたいマネジャーか、自分にとってメリットのある業務内容か、満足のいくレートか、などを考慮することになるでしょう。
同じ日に複数のオファーがあれば、いずれかを選んでもよいし、どれも選ばないこともできます。

ここまでがファーストラウンド。
まだ一部しか埋まっていません。

マネジャーはファーストラウンドの結果を見て、埋まっていない日に空いている人を探して、レートをオファー。
スタッフは、それを受けるかどうか決めます。

こうやって何ラウンドか繰り返します。

スタッフの給料の決め方と監査業務の採算

マネジャーからオファーされ、スタッフが受け入れたレートに時間を掛けたタイムチャージがスタッフの給料になります。
スタッフは、よいレートでたくさんアサインされるほど高給をもらえることになります。

スタッフに支払うタイムチャージは、その監査業務の費用になります。
高いレートを大盤振る舞いすればスタッフは集めやすくなりますが、採算は悪化します。


レートはどう決まるか

こんな仕組みでアサインすると、レートはどう決まるでしょうか?

  • 優秀で一緒に仕事をしやすい人気のあるスタッフほどレートは高くなり、
    人気のないスタッフのレートは低くなる

  • 海外対応ができるなど希少価値のあるスキルを持つスタッフのレートは高くなり、
    特に売りのないスタッフのレートは低くなる

  • 人気のあるクライアント、人気のあるマネジャーであればレートが低くてもスタッフは来てくれるが、
    そうでないとレートを高くしないと誰も来てくれない

  • 部門全体のリソースが逼迫しているとレートは高くなり、
    暇なスタッフが多いとレートは低くなる


オークション形式にする効果

こうやってオークション形式にすることは、アサインに市場原理を持ち込むことになります。

スタッフは、経験年数が同じでも給料にかなりの差が生まれます。
専門的な知識やスキルを獲得し、コミュニケーションを改善し、タイムリーに業務を終える努力をすることで、より高いレートのオファーを受けることができるでしょう。

マネジャーにとっては、担当する監査業務を魅力あるものにする必要があります。
協力的でないクライアントに対してはパートナーを巻き込んで改善を図り、来てくれたスタッフの面倒をよく見ることで、高いレートを出さなくてもスタッフが来てくれるようになります。


オークション形式の問題点

すべて私の妄想ですので、真剣に問題点を考えなくてもよいとは思いますが、一番はマネジャーの負担がとても大きくなることです。
アサインの希望を出すことは今と変わりませんが、レートをオファーすることはかなり面倒。しかも何ラウンドもしてようやく決まります。

スタッフにとっては、自分の人気度が分かってしまいます。
人気がないことが分かって発奮し、課題を改善することにつながればよいのですが……
逆にモチベーションが下がって、パフォーマンスが悪化すると、もっと人気がなくなって…と悪循環におちいるかもしれません。

そのほか、思いつくまま挙げていきます。

  • スタッフの人気が、出身校や飲み会の参加率など本質的でないものの影響を受ける可能性がある

  • スタッフもマネジャーも、アピール下手な人が損する

  • アサインが入りづらい監査業務やスタッフが現れる

  • マネジャーが「どうして俺のオファーに応じないんだ」とパワハラに走ったり、スタッフが忖度して希望を曲げるかもしれない


おわりに

私の妄想にお付き合いいただき、ありがとうございます。
パート勤務の場合は、これに近いアサインが行われているかもしれませんね。

パートナー、マネジャーへの監査業務の割当方法や給料の決め方についても考えていることがありますが、一度にお話しすると混乱すると思いますので別の機会に回します。

もし考慮する価値があると思われたら、疑問点や改善点などをお寄せいただければと思います。
よろしくお願いいたします。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?