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Ⅲ-#3 キャリアデザイン ー2つの考え方ー 

GROWモデルとWISDOMモデル

教員によらずキャリアを考えるときによく参考にされるのが、GROWモデルです。

これは上の段階に示されるように、自らの目指すゴールを見定めて、現状を確認し、そこまでのステップを段階化して、それに必要な条件を確定し、計画を立てて実行していくというものです。

教員育成指標は典型的な「GROWモデル」をもとにしたキャリアデザインであるということができます。

ところが本多正人さんと松瀬理保さんの記されたセルフコーチン入門という本には、「WISDOMモデル」というものが紹介されています。これは志を立てイメージを描き、そこに向けて進めるように道筋を描こうというものです。

この二つを対比すると下表のようになります。

本多正人、松瀬理保 セルフコーチング入門 日本経済新聞社 2006


なんとなくわかりにくい、という人には筆者は次のような比喩で説明をしています。 
例えば遠くに見える山に登ることを考えてください。これを〇合目といったようなステップに分けて、一つ一つクリアーしていくのが「GROWモデル」であるとするならば、どの稜線や沢筋を伝って頂上にたどり着いたらいいかを考えて実行に移していくのが「WISDOMモデル」です。

「GROWモデル」はフォーキャスティング、「WISDOMモデル」はバックキャスティングということができるかもしれません。

この二つはどちらがいいか、ではなく、そのキャリアの内実によって向き不向きがあるはずです。例えばコンビニの店員のようになすべきことが比較的はっきりしていて、マニュアルのようなものを作ることが容易な仕事については「GROWモデル」がしっくりくるはずです。

一方で起業家や芸術家のように、目標の流動性が高く臨機応変にアプローチを変える必要がある場合には、「WISDOMモデル」の方があっているのではないでしょうか。

教員はというとこの両方の側面があります。初任のうちは「GROWモデル」の方がよくあてはまり、中堅以上では「WISDOMモデル」の方がうまく適合する割合が増えるのでは、と筆者は考えています。

そして、これからの変動の激しい社会の中でのキャリア発達ニーズに対応するためには「WISDOMモデル」の重要性がより高待っていくはずです。

ここで紹介するキャリアデザインシートも、この「WISDOMモデル」(バックキャスティング)の性格をより強く打ち出したものです。