見出し画像

第1回「2020年 阪神ドラフト補強ポイントの私的考察」

 ドラフト会議が目前に迫り、私なりにドラフト補強ポイントを考察しました。私はプロの評論家ではないので、間違った考察をしているかもしれませんが、温かい目で最後まで読んで頂けたら幸いです。

1.前置き
 ドラフト補強ポイントを考える上で、注意すべきは、新人選手は来年のチームの救世主的存在にはなりにくく、それは助っ人やFA選手に期待すべき所であり、新人選手には2,3年後の一軍戦力になるかという目で見るべきである。大阪ガス・近本、明治大・森下などが1年目から一軍の最前線で活躍している事は異例である。よって、3年後の阪神の戦力を見ながら、補強ポイントを考察する。

 阪神の3年後の大まかな各ポジションの年齢分布は下表の通り。

画像1

 表の見方を説明する。緑色の選手は3年後もレギュラーとして期待できる選手、黄色の選手は控えとして最低限一軍戦力として期待できる選手、茶色の選手は3年後でも一軍戦力として未知数であり、戦力として考えていない選手と3分類にした。今年の新人選手は一軍戦力になるかまだ不明である為、3年後も戦力としてアテにせず、戦力分析を行った。また、助っ人は3年後も在籍しているか分からない為、分布から除外した。35歳以上の選手は一般的に能力が下降線になり、実力が想像しにくい為、戦力として見ない事とした。


2.現在の戦力分析
 現在の戦力分析をポジション毎とチーム打撃の項目で考察する。

<投手(先発)>
 現有選手でローテーション6枚を作る事は出来そうだが、これに故障者や不調者が出た場合、ここに代わる選手がほぼいない。先発投手の駒としては多くいるが、2軍から抜けて出てきそうな輝きを放っている投手が少ない。特に20代の投手は制球力向上、フォーム固めの基礎的な部分を取り組んでいる選手が多く、時間はかかりそうであり、3年後のローテーションとして計算できない所がある。先発陣に関しては、駒はいるが、層が薄い状態で、長いペナントレースを戦う上で不安になる。

<投手(中継ぎ)>
 左の中継ぎが少ない。中継ぎは先発組から配置転換をする事が出来るが、左投手は先発組でも少なく、そこからの配置転換も期待できない。左投手が少ない上、島本が復調できない場合、更に深刻になる。先に述べた先発投手以上に層が薄い中継ぎ左投手陣である。

<捕手>
 レギュラー捕手の梅野、第2捕手の坂本は安泰である。しかし、今季梅野が離脱し、坂本がスタメン捕手を務めた時のベンチに、捕手能力の高い第2捕手の存在がいなかった為、坂本に代打を送りたくても、送れない場面があったのではないかと思われた。よって、有事の際の為に、捕手能力を兼ね備えた第3捕手の育成は必要と考える。

<内野(一、三塁)>
 3年後も三塁は大山で安泰であり、チームを背負う存在であり続けるであろう。
 一塁はレギュラーを取れそうな野手が陽川くらいであるが、助っ人でも補強しやすいポジションであり、他のポジションと比べると、深刻になる必要はない。

<内野(二塁、遊撃)>
 二遊間は糸原、木浪が今季レギュラーに定着したものの、その2人であってもレギュラーは盤石とは言えない。糸原はセカンドの守備範囲が狭く、木浪は打撃調子の波が大きいからだ。また、この2人に故障などがあった場合、それに代わる選手のレベルがかなり落ちると言わざるを得ない。
 2人に最も近い存在として、北條に期待したいが、これまでチャンスを掴めなかったように、今後も掴めるか分からない。ショートの守備は木浪より劣り、最近ではセカンドで居場所を見つけようとしている。
 植田は北條より守備力と走力は優るものの、持ち味である走守でミスが目立ち、3年後のレギュラーとして見るには不安がある。
 小幡は2年目選手として、光るものを見せているものの、一軍での活躍はまだ1、2か月間程度のものであり、年間を通して戦力になれるかは不明。
 また、チーム全体として、二遊間の選手はエラーが多く、守備のスペシャリストが少ない。この重要な二遊間ではあるが、いつ穴が空くか分からず、穴が空いた場合にそこを埋める選手が出てくる分からない不安定な状況である。

<外野手>
 センターはしばらく近本のレギュラーで安泰である。しかし、両翼のレギュラー候補がいない。今の所、近本に続く外野手は高山となるであろうが、チャンスを掴み切れず歯がゆい状態が続く。更に右打者に限っては更に深刻だ。右打者の筆頭候補として、中谷や江越に期待したい所だが、毎年チャンスを物に出来ていない状況が続き、3年後にレギュラーになれると思えるような成長度合いが見えないのは寂しい。若手では、井上が2軍で結果を残しており、期待が高まる一方だが、これから2年目のジンクスなど、プロの壁(特に一軍)にぶち当たる事も考えられる。
 外野手は助っ人で補強可能なポジションではあるが、それでも両翼の層は薄い。

<チーム打撃力>
 これまではポジション毎に、投手力や守備力を重きに考察したが、チームの打撃力も考察する。
 10月8日時点で、チーム得点数はリーグで4位という数字が表している通り、得点能力が不足している。各打撃項目を細かく見ても、打率4位、OPS4位、長打率4位、出塁率5位、1試合あたりの安打数6位であり、打てない、出塁できないという状態だ。本塁打数こそリーグ3位ではあるが、助っ人や大山頼みであり、日本人選手の長打力も不足している。大砲候補は中谷、江越、藤谷、井上ら候補はいるものの、いつレギュラーとして活躍できるか未知数である。しかしながら、井上はルーキーとしては2軍で素晴らしい成績を残しており、将来に期待できる。
 また、機動力に目を向けると、盗塁数はリーグ1位であるが、半分近くは近本によるものであり、ランナー一塁時のヒットでランナーが三塁へ進むケースが少なく、各駅停車の走塁が多く見られた。チームとして足を使った攻撃が出来ていると言えない。レギュラー選手で足の速い選手が近本だけという状況であるからだ。


3.補強ポイント
 3年後の戦力分析をした上で、ドラフト会議での補強ポイントは以下と考える。

<投手(先発)>
 新人選手は3年後を見据えてと書いたものの、今年のドラフト候補の投手は稀にみる豊作であり、どの選手もレベルが非常に高い。ここは、来年にもローテーションを争える”即戦力”投手を獲得できるチャンスであり、阪神も即戦力投手獲得に動くべきである。
 また、投手は何人いても不要になる事はない為、上記の即戦力投手とは別に、3年後に先発6番手でもローテーションに入れる投手も獲得しつつ、育成選手を含め、出来るだけ多く獲得したい。

<投手(中継ぎ)>
 駒不足の左投手の獲得は必須。中継ぎ適正のある左腕を獲得するか、先発左腕を獲得して、将来的にそこからの配置転向でも構わない。この左腕不足は何年も待てる状況ではなく、3年以内には一軍戦力になる投手が欲しい。

<捕手>
 しばらく捕手レギュラーに不安はないものの、第3捕手候補を獲得し、育成は行いたい。高卒捕手でも構わないが、高卒捕手の育成はかなり時間がかかる為、大卒捕手に早めにその座を射止めてもらう方がより良い。

<内野(一、三塁)>
 三塁は不要。一塁は助っ人で補強しやすいポジションとはいえ、助っ人が戦力にならなかった場合は日本人選手で補う事となるが、そこには陽川が台頭してきており、他のポジションより優先度は低い。

<内野(二塁、遊撃)>
 重要な二遊間の層の薄さは是非補強したい。3年以内にはレギュラーを取れる見込みのある選手を獲得したい。今年も社会人、大学生、高校生にバラエティに富んだ選手が多くいる。得点力解消を求め、打力を備えた選手を獲得するか、土の甲子園という事を考え、守備力のある選手を獲得するか、球団の判断に注目したい。
 このポジションで複数人の獲得をする場合、エラーの多い阪神にとって、1人は守備のスペシャリストになる選手の獲得が望ましい。二遊間選手の需要は他球団も高く(特にショート)、優先して獲得に動く為、阪神も優先度を高く、獲得していきたい。

<外野>
 右打者の獲得は急務であるものの、近本以外のレギュラー候補がいない状況を考えると、まずはレギュラー確保という事で、右・左打者と条件を付けている場合ではないかもしれない。また、広い甲子園の外野を守る為、打てるだけでなく、ある程度以上の守備力を備えた選手が望ましい。

<チーム打撃力>
 得点力不足解消の為、まずは日本人選手では大山頼みから脱却する為に、大砲候補を獲得したい。現有選手での大砲は大山、陽川、中谷、江越、藤谷と右打者はいるが、左打者は皆無である。そうなると、左の大砲を獲得したい所であるが、左の大砲は甲子園の浜風に苦労する為、何がなんでも左打者に拘る必要はない。指名リストにある選手で右打者と左打者で迷ったら左打者を選ぶというくらいで良いのではないか。また、井上を刺激する意味で、同世代の大砲(内野でも可)を獲得してみるのも面白い。
 また、近本以外、足があまり使えていない機動力にも補強をしたい。補強ポイントである二遊間か外野で足もある選手が理想である。


4.まとめ
 前述した補強ポイントとその優先度をまとめる。補強ポイントを年齢分布表で示すと、下表の赤枠部分となる。

画像2

優先度:高
 ・ローテーションに入れる投手。できれば“即戦力”
 ・中継ぎ左腕投手
 ・二遊間内野手
 ・外野手(できれば右打者)
 ・野手は上記ポジションで、大砲もしくは足がある選手
優先度:低
 ・第3捕手
 ・一塁手
獲得不要
 ・三塁手
 ・中継ぎ右腕投手

 上記の補強ポイントに当てはまる具体的な選手として、私のお薦めのドラフト上位候補選手だけ挙げてみる。


・ローテーション投手 
→ 早稲田大・早川隆久、苫小牧駒大・伊藤大海、中京大中京高・髙橋宏斗、明石商高・中森俊介
・中継ぎ左腕投手 
→ JX-ENEOS・藤井聖、法政大・鈴木昭汰
・二遊間内野手 
→ 中央大・牧秀梧、東北福祉大・元山飛優、近江高・土田龍空
・外野手 
→ 近畿大・佐藤輝明、中央大・五十幡亮汰、JFE東日本・今川優馬、東海大相模高・西川僚祐

5.最後に
 3年後の戦力からドラフト補強ポイントの優先度を立てたものの、ドラフト会議中では、他球団の指名を見ながら、欲しいポジションの選手が残っているか、また、他球団がこれからどういう選手を指名しそうかという情報も頭に入れながら、刻々と変化する状況に対応しなければいけない。これを短時間で判断する必要があり、状況によっては優先度が高い所から手を付ければ良いというものではない所も難しい。そこがドラフト会議の難しさであり、面白さである。本当に10月26日のドラフト会議が楽しみだ。

・・・・・・

 ドラフト会議に対する熱い思いと皆様に補強ポイントの考えを伝えたい思いから、長々と乱文で書いてしまいました。申し訳ありません。初めてnoteを書きましたが、また機会があれば、書きたいと思います。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?