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「外航船」ってどんな船?現役船乗りが解説!その1

皆さん、こんにちは。
現在船からお送りしています、外航船員のてるです。

さて、乗船して早くも1週間が経過しました!

不安だった船内生活は、(予想外に)とっても快適!
食事も美味しく、また上司やクルーも、(今のところ)仏の様に優しい方ばかりで、毎日のびのびと過ごせています。

てるの豆知識④

私が乗る外航船の乗組員構成は以下の通り。

士官→日本人
(船長, 一等/二等/三等航海士, 機関長, 一等/二等/三等機関士(私))
クルー→フィリピン人
(甲板長, 甲板員5人, 操機長, 操機員3人, 司厨長, 司厨員2人)

そんな中、昨日は日本人同士の親睦を深めよう!ということで、船内のラウンジにて、なんと「ブリしゃぶパーティー」が開催されました!

肝心なブリは、船長がわざわざ日本の港で仕入れたそう!
そして、ビールはこれまたサッポロ黒ラベル

美味しい食べ物やアルコールとともに、日本人一同で楽しい団欒の時を過ごしました。

ブリしゃぶ準備段階。いざパーティーが始まったら、美味しさの余り写真を撮り忘れる。


これから続く、約半年間のなが〜い乗船期間。

不安はもちろん山積みですが、このメンバー且つ美味しい食事があれば、何とか乗り越えていけそうです!


|そもそも外航船とは?

今回は、私が乗っている「外航船」にはどんな種類があるのか、皆さんに紹介していこうと思います。

が、その前に、
ちょっと待って、そもそも外航船ってなんだ...?
と思われた方。正直に手を挙げてください!

外航船の知名度は非常に低い。


はい。やはり、ほとんどの方が手を挙げましたね...

手を挙げた方は、お仕置きとして今後半年間、エレベーター使用禁止

てるの豆知識⑥

大型外航船の高さは、15階建のビルの高さに匹敵。
もし間違ってもエレベーター使用禁止となると、絶望もいいところ。

冗談はさておき。

この記事で、皆さんも外航船についてこっそり勉強して、一緒に外航船マスターを目指しましょう!

外航船マスターへの入口。(Third Engineer(私)の部屋のドア)


さてさて、今回は以下の3つのポイントから、外航船について見ていきたいと思います!

①外航船とはどんな船?

②外航船は何を運んでいる?

③外航船にはどんな種類がある?

|①外航船とはどんな船?

これは「外航船」という字から何とな〜く想像できるかと。

お察しの通り、外航船とはずばり、外国航路を走る貨物船のことを言います!

海外の港に貨物を運ぶ。


そもそも貨物船のイメージが思いつかない方は、う〜ん、良いたとえはなんだろう..

あっ、そうだ、宅急便の海バージョンって表現が良いかも!

まさに宅急便と同様、我々もお客様の荷物をで運び、その運賃によって収益を得る、というビジネスをしています!

また、トラックとは違って、荷物の積込地やお届け先は建物ではなく、

自動車を最大7000台運べる、自動車専用船。
(日本郵船株式会社ホームページより)


ちなみにこの外航船、荷役の仕方によって、主に以下の3つのタイプに分かれます!

①日本の港で貨物を積み、海外の港へ運ぶ。

②海外の港で貨物を積み、日本の港へ運ぶ。

③色々な国の港に寄り、都度積み下ろしを行う。

私は昨年、上で言うのタイプに乗りました!
航路がすごく楽しかったので、以下に紹介してみますね。

まずは欧州周り。
オランダ(Rotterdam)から出発して、ドイツ(Hamburg)、ベルギー(Antwerp)、イギリス(London)。

その後スエズ運河を通過。
中東のサウジアラビア(Jedda)へ。

続いてアジア周り。
タイ(Laemchabang)、シンガポール(Singapore)、ベトナム(Vun tau)、香港(Hongkong)。

そして、最後。
中国(Yantian)を出た後は、太平洋を横断し、アメリカ合衆国(LA)まで。

※()内は入港した港

|②外航船は何を運んでいる?

先に説明した外航船。

さてこの外航船は、どんな貨物を運んでいるのかと言いますと、主に食料、ガス、原油、自動車、鉄鉱石、雑貨など。

要は、私たちが普段生活で目にしたり、使っているありとあらゆるモノを、世界中に届けています!

ちなみに、日本は島国ということもあって、上に挙げた様なモノの多くを輸出入に依存しているのは自明ですよね!

そんな中、外航船は日本のライフラインを大きく支えています。

日本国内の輸出入量は、年間約9億トン以上。
実はその内、外航船によって輸送されている量は、重量ベースでなんと、

「99.7%」
一隻で日本の原油消費量半日分を運ぶ原油タンカー。
(株式会社名村造船所ホームページより)


えっ!?
99.7%って、ほぼ全部じゃ...?

そう思われた方、まさにそうなんです!

この数字が表している通り、実は日本で輸出入されているモノのほとんどが、この外航船によって運ばれています!

輸出入の手段というと、何かとカッコいい飛行機を思い浮かべがち。ですが、私が今乗っている外航船こそが、実は実は、主流だったんですね!

となると、もし何かしらの理由で外航船による国内への輸入が断たれた場合、皆さんよく利用するであろうコンビニエンスストアからは、ほとんどの商品がなくなることに。

また、電力不足で、家の中は常に真っ暗...
現在のように真冬の季節でも、暖房が使えない...
ガソリンがなくなり、車やバスが走らない...
鉄鋼石もないので、道や建物はボロボロ...

このようなことから、世界中を走る外航船の活躍なしには、私たちの日常生活は立ち行かなくなることが分かりますね。

上記はもちろん、日本国内に限った話ではありません。
世界中の国々の人々が、船による海上輸送に大きく頼りながら生活しています。

ですから、大きく言うと、

世界中の人々の暮らしを、根底から支える」 

それが、私が乗っている外航船が担う大きな使命ですね!


|③外航船の種類

では、いよいよ外航船の「種類」について見ていきましょう!

外航船には、大きく分けて以下の6種類があります。

①コンテナ船

②原油タンカー

③ガス船(LNG、LPG)

④ドライバルク船(鉄鋼石、チップ、穀物)

⑤自動車専用船

⑥クルーズ客船



聞いたことのある船はありましたか?

それでは次の記事にて、それぞれの船について紹介していきますね!

「外航船の種類について、現役船乗りが解説!その2」に続く...

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