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のっぱらへでかけよう!vol.7

てるさんの野遊び子育ち日記
「northern style スロウ」vol.67 Early Summer 2021 掲載

 春がやってきました! 勇知保育所のこども達は、3月下旬の少し暖かさが出てきた頃からソワソワしてきて、雪がまだたくさんあるのに「もう春だね!」「おひさまが眩しくなったね」などと言っていました。また、この頃には雪遊び満足していたのか、室内で動き始めたクモやワラジムシを発見しては「早く外で虫捕りした~い!」と早々に物置から虫捕り網と虫かごを持ち出していたほど。こども達も巡る季節を敏感に感じていて、次の新しい刺激を求めているのだと感心していました。
 新しい刺激が大好きなこども達は、当然刺激溢れる野外が大好き。虫などの生き物だけでなく、草花や木、鳥のさえずり、川の流れや水の不思議さ、土や砂の感触、陽光に当たることや風に吹かれることなどあらゆることから刺激されるからです。同じ場所に何度訪れても、同じ季節の時でさえ、天気も気温も生き物にも常に変化があり、いつも新鮮なのです。こども達はそんな刺激的な野外で自ら何かを発見して、好奇心をどんどん広げてくれることでしょう。
 ところで、時々「何歳から野遊びを始めたら良いですか?」と聞かれますが、私は「何歳からでも大丈夫ですよ!」と答えています。0歳だって日に当たったり、風に吹かれたり、草や水に触れたりで、十分感覚を刺激することができます。よちよち歩きになれば、土や草のデコボコ地面を歩くことだけでもたくさんの刺激があるでしょうし、2歳頃になればしっかり歩けて周囲への関心が高まる時期なので、自然から得られるあらゆる刺激は好奇心を広げてくれるはずです。もっと言うと、20代や30代、70代でもそれぞれの興味や楽しむ手段によって野遊びを楽しめます。つまり、こどもも大人も野遊びに年齢は関係ありません。そうは言っても、幼いうちから野遊びするのが良いでしょうね。
 私は、こどもが発育発達する上で重要なのは(知的)好奇心だと思っています。好奇心により自ら様々なことにアプローチでき、そこから心も体も知識も多様な刺激を受け、受けた分だけ発育発達する。好奇心はその原動力になると考えているからです。脳科学の分野では、好奇心が高まると意欲と記憶に関する脳部位が活性化し、学習効果を高める重要な働きをすると言われています。好奇心は何かに対して興味関心を抱くことで高まります。逆に、興味関心を刺激する環境や働きかけがない場合は、好奇心が育たない可能性もあるとも言えるのです。だから、幼い頃からこの好奇心を大いに刺激して広げてくれる野遊びが大切なのです。また、幼いうちから野遊びを勧める理由は、デジタルメディア(ゲームや動画など)から影響を受ける前に野遊びの楽しさや自然の興味深さを知るのが大切だと考えているからです。今の時代、いつかデジタルメディアに触れ、その面白さに魅了さてれてしまうと思います。その前に野遊びを十分体験し原体験をたくさん持つことで、その後のリアルとバーチャルのバランスがとれるのではないかと期待しています。
 少し堅苦しく流れましたが、こんな難しいことを考えなくてもこの春の良い季節に部屋に閉じこもってしまうのはこどもも大人ももったいない! こどもも気分が盛り上がる春だからこそ、自然とウズウズとして何かを始めたくなる春だからこそ、今シーズンは親子で野遊びをたくさんしてみませんか?

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