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のっぱらへでかけよう!vol.2

てるさんの野遊び子育ち日記
「northern style スロウ」vol.62 Winter 2020 掲載

シーズン真っ直中。最北の自然学校・ゆうち自然学校では、連日こども達と雪遊びを楽しんでいます。グリーンシーズン(雪のない季節)とは異なる環境で異なる楽しみ方ができるから、毎シーズン新鮮な気持ちで遊べるので雪遊びが大好きです!

 雪遊びの定番と言えば「ソリ滑り」がそのひとつ。裏山に通称「わらび山」と呼ばれる小高い丘があり、雪が積もると丘一面が恰好のソリゲレンデになります。障害物がほとんどなく、上手く滑れればかなりの距離を滑り降りることができるので、その爽快感や上手く滑れた達成感、スピードのスリル、自由に滑る開放感などを得たいがためにこども達とシーズンに何度も滑って楽しんでいます。
ただ、そう簡単に上手く滑り降りられるとは限りません。途中で転がってしまったり、狙ったコースへ滑れなかったり、途中で止まってしまったり、満足いく滑りができないことの方が多いかもしれません。その度にこども達は「くそーッ」と悔しさを滲ませながら長い登り坂を登り返しては再び滑り降りています。一方、上手く滑れても一度で満足するはずもなく、「よっしゃー、次もー」ともっと楽しむために何度も登り返しては滑っています。長い登り坂を数分かけて登っても滑り降りるのは十数秒程度で、滑っている楽しい時間より登っている苦しい時間の方が圧倒的に長いのですが、こども達は満足するまでヘトヘトになりながらも遊び続けます。

 では、なぜそんな思いまでして何度もソリで滑るのでしょうか?

 答えは単純。「やってみたいから」「楽しいから」「もっと滑りたいから」・・・当然といえば当然なのですが、この好奇心や意欲から始まること(つまり遊び)を存分にすることがこども時代にはとても大切だと考えています。ソリ滑りは楽しいからそれをあの大きな丘からできたらきっと凄く楽しいに違いない!と想像でき、そのためなら少し遠くてもあの丘の頂上を目指そう!と思え、滑ってみたら上手く滑れず悔しいから長い登りに耐えながら滑り続け、滑り切れたら嬉しくてさらに続けてしまう。そして、満足感と疲労感の中で自ら遊びを終える・・・この体験にはこども時代に必要なことがたくさん詰まっています。
例えば、自らやろうとする気持ちを持ちそれを行動に移すこと、その意欲が途中の困難を超えていくこと、身体と感情を思い切り使うこと、細切れにされず好きなだけ夢中になれる時間を持つこと、他にも細かいことや副次的なことを含めると計り知れない効果があるのではないでしょうか。そしてもうひとつ、これは誰かにやらされたり、何かを学ぼうと思ってやった訳ではなく、自分がやりたい好きな遊びを存分にやった結果として体験できた上に様々なことが自然と身についてしまっているというところが「遊び」が持つ大きな特徴。好きな遊びを存分にすることで、こども達は自分自身で自分をしっかりと作り上げていくのだと思います。そして、この効果は野外で体をめいっぱい使う野遊びが最も高いと信じています。

そんな雪遊びをもうしばらく遊び込んで満足した頃、再びグリーンシーズンがやって来ます。そして遊ぶ環境も楽しみ方もガラッと変わり、また新鮮な気持ちで野遊びが楽しめるのです。これだから北海道の野遊びは止められない!

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