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のっぱらへでかけよう!vol.3

てるさんの野遊び子育ち日記
「northern style スロウ」vol.63 early summer 2020 掲載

待望のグリーンシーズン到来! 冬も好きですが、やはり春は嬉しい季節。春が来たと感じるだけで自然と心弾み、気持ち良く晴れた日にはつい野外に出てお散歩してしまいます。こども達も同じように新しい季節を感じていて、雪遊びとは違った野遊びが再びできることを喜んでいます。

野遊びしていると、日差しや吹いてくる風、ちょっとした気温の変化を肌で感じ、野山の新緑や足下に生える色とりどりな野草の花を眺め、雪解けで増水した川音や野鳥のさえずりに耳を澄まし、冬は雪に覆われていた草や木々、土が匂い・・・意識していてもしていなくても常に自然の息吹を感じられます。またこれらの感覚はそれぞれ別々ではなくいくつも同時に感じていて、しかも一定ではなく絶えず変化しているのが、こども達の感覚の発育発達に適度な良い刺激になっているのだろうと思います。ある日のこと、こども達とお散歩していると、4歳の男の子が「今日の風は春の味がするね!」と言うのを聞いた時、その感受性に驚かされたものです。
一方、空調で一定にコントロールされた室内空間は常に快適ですが、成長著しく脳や体に多様な刺激が必要な幼少期には物足りない環境だと思います。また、人工音が出たり規則的に光る市販のおもちゃでの遊び(コンピュータゲームやデジタル動画なども)は、まだ感覚が未熟な小さなこども達にとっては刺激が強過ぎるのではないかとも感じます。
野外で過ごすのは、寒かったり風が強かったり雨に濡れたり泥まみれになったり心地よいことばかりではありませんが、それらも含めて自分の感覚をフル活用して過ごすことは大切な体験ではないでしょうか!

そしてもうひとつ、野遊びする中にある自然の持つ良さがあります。それは、遊ぶ人の年齢や性別、経験や技術的なことなど関係なく、誰もがその人の意欲や好み体力や技術で・・・つまり本人次第で野遊びを楽しめるということです。以前、自然学校に来た赤ちゃんが野原に寝転がって青空を見上げながら、風に吹かれたり、草に触れたりしているのを見て「赤ちゃんでも野遊びを楽しんでるな~」と思いました。また、同じ野原では拾ったぼっこでチャンバラをしている子がいたり、虫を捕まえて図鑑と比べている子がいたり、その端の方ではお母さん達が山菜を見つけていたり、同じ野原でもそれぞれに遊び方があり、みんなそれを楽しんでいたのでした。これは、川に行っても森でも海でも同じで、ルールがある運動や遊具にはない自然の許容力と野遊びの自由さを感じます。

新型コロナウィルスの影響で閉じこもりがちな生活が続きますが、不特定多数との接触など三密を避けて家族で人が少ない自然の中に遊びに行くことは許されると思います。親は野遊びのやり方がわからなくても、とにかくこどもを野外に連れ出せばいいのです。自然の中にはこどもが好奇心をそそられる新鮮で魅力的な刺激でいっぱい。しばらくすればきっと何かを発見し直ぐに遊び出すはず。そしたら、その遊びを一緒に楽しめばいいのです。いや、一緒に遊ばなくても、こどもの楽しそうな姿を側で見守るだけでも大丈夫。

さあ、お弁当と水筒と着替えを持って、こどもと一緒に自然の中へ出かけましょう!


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