声かけサポート運動の要らない社会へ

駅で「声かけサポート運動」のアナウンスを聞くことがあります。視覚に障害のある方への声かけやベビーカーを押している方への配慮、その他困っている方へのサポートを促すものです。

僕は、視覚障害の当事者です。この運動のおかげか、オリンピックとパラリンピックが東京で開催されるおかげか、それとも他の理由によるものなのかはわかりませんが、近年、駅やまちなかで声かけをしてくれる方が増えたように感じます。僕だけでなく、他の視覚障害者もそのように話していました。しかも、声かけの言葉も誘導の仕方も、以前よりも適切にサポートしてくれる方が増えたと実感している方が多いです。

一方で、視覚障害者の立場を脇において、一人の人間として気になることがあります。

それは、声かけサポート運動のアナウンスが流れること事態が少し悲しいということです。なぜなら、あのアナウンスは「みなさん、普段あんまり声かけしてませんよね?」って言ってるのと同じだからです。声かけされずに困っている人が少なければ、そもそもこのような啓蒙運動は必要ありません。困っている人を見かけても多くの人が見て見ぬふりをしている事実をつきつけられるのは、とても切ないです。そして、うっすら自尊心が傷づきます。

世の中の大きい流れで見れば、今後、社会がより良くなっていくのは間違いありません。だから、長い時間の流れの中では、僕の感じていることは一瞬の出来事です。とは言え、今生きているこの時代のこの社会を少しでもより良くしたいと思い、行動することが、次の時代につながっていきます。僕は、駅のホームにおける視覚障害者の転落事故のない世の中を作りたいです。

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