臨済宗では、餓鬼のために米と水をお供えします。

これは瞑想している阿難尊者のところに焔口餓鬼が現れ、３日後に命が尽きて餓鬼に転生すると伝えに来たのです。

阿難尊者も餓鬼になるのは嫌ですから、どうすれば良いかを焔口餓鬼に聞きました。
そうすると、翌日に無数の餓鬼が現れるので、全ての餓鬼に沢山の飲み物と食べ物を施せば、天上に転生できると約束したのです。

しかし、お釈迦様に相談すると、少量の飲み物と食べ物で良いというのです。
陀羅尼を唱えればそれで天上に転生できるからです。

しかし、恐ろしいものの、それでも仏縁を結ぼうとしている餓鬼に対し、施さずにはいられませんでした。
餓鬼の姿が無縁仏と重なったのです。

お盆になっても帰るところのない無縁仏は、家の軒先に潜んでお供えを食い荒らしてしまうからです。
ご先祖様にお供えをするために、お盆の前に餓鬼に施しを与えてあげるのが施餓鬼というわけです。

とても優しいお話ですね。
餓鬼と戦うのではなく、施しを与えて天上に転生してしてもらうと言うのはとても精神性が高くないと思いつかない対処法です。
単に善悪と単純に判断できないのが見えない世界の難しさかもしれません。
きちんと学んでいくことが大切なのです。