がんをめぐる冒険(4)初めての手術

 手術をすれば医療保険の保険金がおりるので、ちょっとワクワクしながら、朝8時半に形成外科に向かうと、いつもの診察室のとなりの「処置室」。
手術感ゼロ。保健室で手当てしてもらうような感覚でした。

しこりの周辺に麻酔を打ち、メスで切ろうと皮を引っ張られるだけで痛い。「イー!!!」って顔になりながら悶えていたら、看護師さんが
「痛かったら痛いって言っていいんですよ」
と手を差し伸べてくれ、
「痛いっす……」
先生に必死で伝えました。
麻酔注射を足したのですが、しこりでなく、炎症を起こしている上皮が引っ張られることがととにかく痛い。

「生検に出すのに必要なのは2センチ角、このくらいかな。このまま全部取っちゃいましょうか」
と言われたけれど、
「無理っす、これ以上無理っす、イタイっす」
と言って拒否。
〝ザリッ、ザリッ〟と砂肝を切っているような鈍い音でしこりを切り取り、縫い留めてくれ、午後は通常通りイベント取材を2件ハシゴ。日々の仕事は変わらず、のほうが気が紛れる。というか、家庭もないのでそれしかない。

 この日から当分お風呂は禁止。頭だけシャワーで洗ってくださいとのこと。とはいえ、毎日頭が洗えないのも嫌。狭いユニットバスで体を屈めるのも傷口が痛い。痛みに耐えすぎて疲れたので、ホットペッパービューティーを検索し、シャンプー&ヘッドスパを予約。頭皮に首筋全部がこわばっていたのがゆるんでスッキリしました。こういうときは自分のためにお金かけてもいいのかもと思いました。


 3日間は病院でガーゼを交換し、様子見。その後はセルフでメンテナンスの処方箋をもらったのですが、あれれ……。巨大なファミリー用歯磨き粉のようなサイズ感の消毒用のイソジンのジェルが3本も。薬局で
「傷口は5センチほどなんですけど、これおかしくないですか?」
と薬剤師さんに尋ねると、医師に問い合わせてくれて、やはり50グラムと3グラムの間違いが判明し、
虫さされ薬程度の小さなジェルに処方箋を変更してもらいました。

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