大人って何歳から? その1 臓器移植

私の博士研究テーマは「日英における死別を経験したヤングアダルトの社会・経済的影響」というテーマなのやけれども、その手前というか、土台として今書いているのは "How do states define 'adulthood'?" ということで、「大人」というものを国がどう定義しているのかを探っている。

もうその作業たるや地道で…。まずは「成人」(the age of majority)の定義を見つけ、次にお酒、タバコ、ギャンブル、結婚…といった許可が必要なもの(the age of license)に関する年齢を調べ、今は同意に関する年齢(the age of consent)を調べている。同意に関することというのは、例えば性的行為であったり、医療における同意。

そこで、昨日今日はひたすら、臓器移植の法律を読み込んでいた。

日本は、民法の中で遺言をのこせる年齢が15歳以上となっているため、そこから自動的に、15歳以上が臓器移植の意思を示せるという前提があったけれど、それでは15歳未満の子どもたちの臓器移植が海外に依存することになってしまうため、改正された。現行法では、15歳未満でも、保護者が同意していれば臓器移植はできるようになった。

一方イギリスは、どこに暮らしているかによって、微妙に異なる。これがイギリス研究の一番きついところ。England & Wales と北アイルランドとスコットランドで法律が異なったりするからだ。(※ "devolution"といって、日本語では「権限委譲」ということになる。日本の中央政府から地方への権限移譲いうイメージよりはかけ離れていて、もう国が違うレベルで、法律や政策が異なるという感覚である)

で、臓器移植については、England & Wales 、北アイルランドは同じ法律でくくられていて(Human Tissue Act 2004) 基本的には18歳以上としているが、それ未満でも適応される場合もあるようだ。スコットランドは12歳以上となっている(Human Tissue Act (Scotland) 2006) 。なかなかこの差は興味深い。

ちなみに、スコットランドは、独立をかけた国民投票や地方選の年齢も下げて、18歳以上だったのが16歳以上になった。

何をもって「大人」と見るかは、それぞれやけれども、日本は成人年齢を間もなく「18歳」とする。では18歳になった彼/彼女らに「大人ですか?」「臓器移植については意思は決められていますか?」と質問したら何と返ってくるのだろうか。

そして「保護」や「大人のサポート」が必要なのは、一体何歳までなのやろうか。

この地道な作業というか、執筆はまだまだ続くけれど、ひとまず、今日はここまで。

読んでくださりありがとうございました!

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