消えてしまってはいけない傷

京都文教大学の秋田巌先生の言葉で

「塞がってよい傷は塞がったらよい。その時、人は癒されたと感じるであろう。しかし消えてしまってはいけない傷がある。それこそがその人が本当にその人となっていくための力となる」

というものがある。この言葉はわたしがお世話になってきた先輩であり、カウンセラーのひろしさんが、ご自身の著書(博論をまとめられた一冊)に引用してはった。

わたしの中にある傷は「孤独感」をかたどっている。それは母をなくす前からあったもので、母と兄の死を経て、色濃くもなったものかもしれない。でも、それがなくなればいいと何度も願ったけれど、消えてなくならないものと知ったのがこの十数年。消えないなら消えないで、わたしをわたしたらしめている。

「孤独感」がもつ力ってなんやろう。

ええことなんてなんもない、そんなもんあったって。

と思うものでさえ、わたしを成している。しかも大事な一部分。

これを探求していくのは、生きていく醍醐味なのかもしれない。

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