死後の世界や存在を信じること

今日、読んだ論文のうち一本は、こちら

"Search for New Meaning: Adolescent Bereavement after the Sudden Death of a Sibling" (Forward and Garlie, 2003)

「新たな意味を求めて:きょうだいの突然の死を経た青年期の死別経験」

質的研究で、死別後7年以内で、13歳〜19歳までの間できょうだいをなくした経験があった男女3名ずつインタビューを行い、グラウンデッド・セオリーを使い、きょうだいの突然の死が彼らにどのように影響したのかを探求したもの。死を経たあと、

1.見つけ出す(亡くなったことを知る) 2. 現実を避ける 3.現実に直面する 4.峠を超す 5.新たな意味を見つける vs 探求をやめる

という5つのステージを青年たちが経験するものとして示されている。

今回、この研究について細かいことは書かないけれど、ひとつだけ、とても印象的だった箇所があるので、記しておきたい。

6人のうち5人がスピリチュアルな信念を表現してたということについて。

それは、亡くなったきょうだいの存在を時折、身近に感じたり、いつかの時点で再会することができる。というものだった。これらの信念が、彼/彼女らにとって孤独をやわらげたり、亡くなったきょうだいとのつながりを維持するのに役立ったという。そのうち4人は亡くなる前から強い信仰をもっていたので、亡くなったあと、よりよい場所へいったということを思えたという。そして自分たちのことを見守ってくれていると。そう信じることが、現実を直視し、喪失に折り合いをつけたり、受けいれたりするのに重要だったということがわかったものである。

死後の世界や信仰のいかんが若者のグリーフにどう影響するかについては、博士の研究範囲に直接は入らないが、毎日のようにお寺の仕事をしているゆえにこの観点はどうしても気になる。

世俗化が進んだイギリス、日本ではどのようなものになるのか。信念体系、信仰についても、研究の中で、若者の語りを聞いてみたい。


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