子どもの時に死別を経験した大人

ケンブリッジ大学の教育学部の研究者たちが、英国のチャリティ、ウィンストンズ・ウィッシュに対して、調査レポートを出した。

そのうちの一つが "Voices of adults bereaved as children"ということで、子どもの時に死別を経験した現在は大人の人たちへのインタビュー集。11人のインタビューがまとめられている。

わたしはその中でも「長期的影響」に興味があったのだけれども、ここにまとめられている内容は、物足りないものであった。

スピリチュアル影響として自分もいつか死ぬ存在であるということについて考えを巡らせること、自責の念、結婚や出産といった人生の重要なときにいないこと、亡き人の理想化、そして、グリーフはプロセスであり、癒えるのに時間が長くかかること(44年経ってようやく、自分のグリーフに向き合えるようになってきた例)などが紹介されている。もちろん、どの要素もとても重要である。ただ、わたしが、今回博士の研究の視点として、ヤングアダルトの世代で、大人になる過程を阻害するものや、人生の選択に影響を与えていくものについて大きく関心を持っているからか、長期的影響としてはもう少し読み応えのあるものを期待していた。それぞれを深く掘り下げてみると、もう少し見えてくるのかもしれないが、バラバラに切り取られたインタビューからはそこまで読み解けなかった。

こう考えてみると、本当に、博士のインタビューで自分がしなければいけないのは、ライフヒストリーを丁寧に聞いていくということなのだろう。社会的・経済的影響のみが切り取られるわけでもなく、スーパーヴァイザーのKateが言っていた"holistic"(全体的)な視点でいかにまとめあげていけるか。

先行研究を読み漁る毎日ではあるが、自分の視点をどう磨くのかも鍛えられているようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?