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御殿場線の夜な夜な回送

御殿場線とは

御殿場線は神奈川県の国府津駅から、静岡県の御殿場駅を経由して、同県の沼津駅へと至る全長60.4kmの路線です。
始発、終着駅で東海道線へと接続するのは、同線がかつての東海道線だったが故の名残で、1934年に現:東海道線の丹那トンネル(熱海~函南)が開通するまでは、東京や大阪、神戸を結ぶ日本の大動脈を担っていました。

そんな栄華は過去のものとなり、大東亜戦争中には鉄資源供出のため線路を剥がされ単線化という憂き目に遭いつつも、今なお小田急新宿からの特急ロマンスカー「ふじさん」が直通するほか、全線をJR東海が管轄するため、関東にいながらも中部地区の雰囲気が漂う面白い路線です。

夜な夜な回送

東京から名古屋を結ぶ東名高速道路は、ほぼ御殿場線に沿うように敷かれましたが、この区間に於ける最標高地点は静岡県御殿場市の454m。
標高自体にそこまで高い印象はないものの、富士山をはじめ多くの山々に囲われたこのエリアは気圧配置による影響を受けやすく、冬場には高速道路すらも相応の設備が必携となる交通の関所の一つです。

ここで御殿場線に話を戻しますが、電車が電気を得るための送電設備に氷や霜が付着すると、電車の運行は困難となります。
「電気設備に支障をきたしたため、本日は電車の運行を取りやめます」といえたらどれだけ楽かと思いますが、地域の足を担う以上、そんな無責任なことはできません。

こうしたトラブルを未然に防ぐべく、御殿場線では初列車よりも前に設備維持のための列車が運行されており、これが今回の表題とした夜な夜な回送の正体となります。

おわりに

こうした設備維持のための列車は降雪地域に多く見られますが、都心でも積雪が予想される前の晩には臨時で回送列車を運行するなど、可能な限り利用者の足を確保するための取り組みが行われています。
我々が見れる時刻表の裏には、時刻表に載らない多くの支えがあるんだなと改めて感じたのでした。


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