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嘘でも表現したい気持ちは本当だ

最近はやっている漫画を一通り見てみようとなぜか思い、ネットカフェで数冊読んでみた。コミックスの表紙とタイトルだけでNG判定をしていた「推しの子」がめちゃおもしろかった。

この物語はフィクションである
というか
この世の大抵はフィクションである。
捏造して 誇張して 都合の悪い部分はきれいに隠す
ならば上手な嘘を吐いてほしいのがアイドルファンというものが
この芸能界において 嘘は武器だ
アイドルグループ「B小町」の絶対的エース
不動のセンター究極美少女―アイ

これが第一話の冒頭だ。

この漫画のテーマは「嘘」だ(少なくとも1巻は…2巻途中まで読んでねーのでその後は知らん)

「この世の大抵はフィクション」だとはまあすごい言葉だなと。なんだかこのありきたりと言えばありきたりの言葉に鋭く反応してしまった自分がいた。

なんだろう、自分にとっての「本当」がよくわからないからな気がする。自分が本当にどう思っているのかという気持ち、まさに今ここで書いている漫画の感想ですら…それ本当にそう思っているの?と言われると自信がなくなってしまう。言わらないまでも、書いているうちにだんだん着飾った、嘘っぽい言葉を並べている自分に気づくことも多い。

自分が感じたこと、言ったこと、書いたことなんてフィクションなのかもしれない…。なんて思うと、悩んでしまうが、図星な感じがしないでもないのがさびしい。そんな自分の気持ちがこの「この世の大抵はフィクション」という言葉に反応してしまったのかもしれない。

1巻の中盤アイが芸能事務所の社長にスカウトされるシーンで、親の愛を知らずに育ったアイは「嘘でも愛してるなんて言っていいの?」というセリフがある。社長は、アイドルはきもいオッサンでもファンには愛してると言う(?)、歌の歌詞にも愛してるなんて連呼する、嘘でも言っているうちに本当になるかもしれないとアイを説得する。アイは愛など知らない自分が、愛してるって言っていれば、嘘が本当になるかもしれないと思いアイドルになることを決める。

自分の本当の気持ちかわからないけど言っているうちにそれは真実になる…正直実感としてまったくわからない。自分の嘘は自分がよくわかる。

ただし、物語の中にアイの「人を愛したい」という気持ちは「嘘」ではないというメッセージが込められている。

自分の気持ちを表現したいことが先走り、、相手が違ったり、脈絡のない中で無理やり表現したり、っていうことは真実かもしれない。

やりたいという気持ちが真実でも、それを伝える相手も、タイミングも間違っている童貞君のようでもある。嘘でも表現したい自分の気持ちとは、なんと厄介でせつないものだろうか。

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