見出し画像

【学校の指定教材にすればいいと思う】「『シュガー・ラッシュ:オンライン』のネット教育について。」


*
観てからはちょっと経っちゃったんですけど
やっぱり感動しちゃったので
ポストしておこうかなと。
*
シリーズ前作の #シュガーラッシュ
ゲームの中の世界、アーケードゲームの人気タイトルが
夜な夜な集まってワイワイやってるという
#トイストーリー 的な世界観で
なんでもぶっ壊すけどヒーローになりたい悪役 #ラルフ
自分がゲームのバグになってしまっている #ヴァネロペ という
2人の欠陥持ちキャラクターが、自身のネガティブな部分を受け入れながら
互いを尊敬し、信じあえる関係を築いていくという
"友情" "正義と悪" "ダメなところも個性"を大きいテーマを描いたディズニーが、
フィールドをアーケードゲームからインターネットへ拡大して
魅力的な2人のキャラクターを前作以上に縦横無尽に遊ばせよう、という心意気を感じる作品。
*
言わずもがな、ディズニーなので
教訓や子供に見せたい大事なテーマがふんだんなわけですが
やっぱりこの現代で、一番に考えなければいけない
メディアリテラシーへの教示とその表現方法が、まーーー巧みです。
*
インターネットに、安心なんてものはたぶん存在しないんだけど
でもその危険性も、利便性や可能性もエンタメの中で描けるシナリオの厚みと
演出の柔軟性が感服以外の何物でもない。本当に素晴らしい。
*
(このあたりから、ネタバレを含みます。ご注意ください)
*
#ザサークル#ディスコネクト なんかがすぐ浮かんだんですが
(たぶん他にもわかりやすい例はあるはず)
インターネットは、しばしば脅威として描かれます。
そういう側面は間違いなくあるし、ドラマを作りやすいから
映画は問題提起を残すものであって然るべきだし、
それはそれでいいと思います。
*
他にも最近だと #スノーデン とか #search なんかも
使い手によってインターネットも脅威になるという
ザ・サークルやディス/コネクトとも近からず遠くないテーマを共有しているように感じます。
(あと、日本のアニメだと特に危険なものとか、敵として描かれやすいですよね。
*
反対に、インターネットがポジティブなツールとして描かれたのは
#ライオン25年目のただいま がパッと出てきましたが、奇跡的な実話がベースなので
"Google Earthを使って、聞いたこともない異国の小さな村にいる本当の家族を見つけた"という
ニュースが企画になったという感じで、インターネットがもたらす効果や有用性はあくまで付加価値になっているというか
「インターネットってなんでもできるよね」みたいな、漠然とした印象しか残らなかったのかなと。
*
なんでそうなるのか、って考えたときに
大多数の観客がネットのことをどう捉えているかが関係していて
つまりはインターネットって、
【毎日使っているけど、中身はよくわからないもの】
というイメージを、生まれてから20年くらい経った今も変わらず持たれ続けているツールということになります。
*
ニュースでは大抵、悪く使われたことしか扱わないので自然とそうなってしまうのもわかります。
それでも「便利だから使ってるよね」っていう、そいつの実態ってなんなんだ
という疑問に、正面衝突していったのが シュガー・ラッシュ:オンライン ですね。
*
ここまで挙げてきた作品が、インターネットの"使い手"つまり、
ユーザー・人間 の言動、心理状況でストーリーを展開していくのに対して
シュガー・ラッシュ:オンラインはインターネットという概念をそのまま空間・街に置き換え
観客はヴァネロペやラルフと一緒に、その中に潜り込む体験ができます。
*
そこにはたくさんの人がいて、
僕らがみんな知ってる「Google」「Amazon」「Facebook」のようなサービスや企業名が登場し
(映画ファンからしたらIMDb結構ガッツリ出たな!とか思いますよね)
あのワクワク感は、"初めて家のPC(あるいはスマートフォン)でインターネットを使ったあの時"のまさに追体験。
*
その後もノウズモアという名前の「Google」検索エンジンの利用シーンや、
「eBay」でのオークションのやりとり、
BuzzTube=「YouTube」のパブリックビューイング感なんかは
それぞれのサービスのUI(使用感)とUX(得られる体験)がほとんどリアルに表されていると思います。
先に挙げた、インターネットがツールとして描かれていた作品に比較すると
シュガー・ラッシュ:オンラインは【インターネットの中では何が起きているのか?】がわかりやすく表現されていて
"なんか詳しくはよくわかんないけど便利なもの"を、腑に落ちやすいようにデザインしている
#リッチムーア 監督の表現の巧さが、#ズートピア からも続いてよく見えます。
*
僕が一番 感動したのは、【ポップアップ広告の擬人化】。
ヴァネロペとラルフがネットの世界に入り込むやいなや、
見た目は顔色が悪く目がどこかうつろで、怪しくいかがわしい広告を持ったやつらに声を掛けられる。
ネットサーフィンをしていると必ず出てくるあの画像たち、中でもスパム広告の類を
人間として扱ったこと。
僕たちは、あの広告を「うっとうしい画像だ」といつも認識します。
でもその裏には、ちゃんと仕掛けている人間がいる。
本当に悪意がある場合のスパムや、単に過剰な宣伝の場合も含むけど
いずれにしても、そこに広告を出す人が世界のどこかに存在する。
*
このことは、作中でネットユーザーが任天堂のアバター・Miiみたいな雰囲気でそこら中を歩いていることにも繋がってきますが、
『ネットと向き合うときには、その画面の先には人がいる』ということを感じさせてくれると思いました。
それは、もうすでに使い慣れた僕たちには再認識だけど、これからインターネットを使い始める子供たちには
大事な情報じゃないでしょうか。
『シュガー・ラッシュ:オンライン』はこれから誰もが向き合わなければいけないインターネットを学ぶための
学校の指定教材になってもいいんじゃないか、と思う理由です。
*
今回は、インターネット入門編が軸だったので
もし次があるなら、もっと深くSNSの使われ方に突っ込んだりもできそうです。
*
でも、彼らの本業はローカルのアーケードゲームの登場人物なんだよな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?