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桜は何色?

桜から色が消えた年があった。こんなに白かっただろうか。桜の花はピンクだと思っていたのに。

どんなに咲き誇った桜を見ても、ピンクだと思えない。そして、白く見える桜の周りからも色か消えて、灰色になっていく。

自分の心が、周りの色を奪っていった。

2011年、大きな地震が来る前に、お袋が突然この世を去った。お正月に会った、1週間後に突然倒れた。

その2か月後、歴史的な地震が起きた。直接の被害はなかったが、日本中の空気が重くなった。

他にも悲しい別れがあった。

あの春は、自分自身が20年前に思い描いていた20年後と違うことに気付かされ、沈んだ。

そして何もかもが、重く重く感じた。未来が見えないと思った。

春が過ぎると、親しくしていた人が自殺したと聞いた。

続けて子供の頃から格別に可愛がってくれていた伯父が、闘病の末に亡くなった。

しかし、これは長い人生において、それほど特別なことじゃないのかもしれない。ただ、少し狭い間隔で起きただけかもしれない。

桜だって、いつもと同じように咲いていたに違いない。

一つの事実をどう見るか、それは自分の心が決める。ピンクに見るか、白に見るかは、自分自身が決める。

今が幸せなのか?不幸だと思うのか?

好きな方を選べばいい。どうせ選ぶなら、選ぶべき答は決まっているんだけどね。

そんなことを思った春は、もう遠い昔になったなあ。

今もあの年と同じような重い空気を感じる。でも、どう捉えるかは、自分の心なんだよね。

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