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【新・蹴日本紀行】おんせん県でのフットボール旅と2002年の記憶<大分〜別府篇>

 3年ぶりに行動制限なしとなった今年のGW、皆さんはどう過ごされただろうか? 私は取材のため、久々に大分県を巡っていた。今年は2002年のワールドカップ日韓大会開催から20年。あの大会が開催地やキャンプ地となった地域に、どのようなレガシーを残したのかを取材する旅である。

 OWL magazineが「旅への回帰」を宣言しているのに合わせて、私のほうも今月は「ライターなるには日記」をお休みして、久々に旅の物語を綴ることにしたい。題して『新・蹴日本紀行』。そのオリジナルは、こちら。

 ありがたいことに、Vtuberの冬原そのさんにも紹介していただいた。

 さて大分といえば、それこそ大分トリニータや日本代表の取材で、これまで何度も訪れているが、取材中はスタジアムとホテルを往復するばかり。大分名物をあれこれ楽しんできたものの、当地の魅力というものにはほとんど触れてこなかった(別府に宿泊しながら温泉に入らないという暴挙さえあった)。

 久々の大分での旅は、2002年の記憶をたどる旅であると同時に、大分の魅力を味わい尽くす旅にしようと心に決めた。前者については来月に記事になる予定だが、後者についてはいち早くOWL magazineの中で紹介していく。また今回は、大分市だけでなく別府市と日田市にも足を延ばしたので、2回に分けてお届けすることにしたい。

 5月4日の朝、大分空港に到着。機内では、オレンジのユニフォームを着た男性が隣に座っていた。今日は昭和電工ドーム大分にて14時から、大分トリニータvs大宮アルディージャの試合が行われる。GWも後半戦ということで、アウェイ戦と観光を楽しもうという大宮サポであるのは間違いないだろう。せっかく「おんせん県」に来たのだ。私も今回の旅では、しっかり当地の食と温泉を楽しむことにしたい。

 リムジンバスに1時間弱揺られて大分駅に到着。初めてここに来たのは2002年のワールドカップ取材で、駅舎も駅前の広場も今とは隨分と違った牧歌的な風景が広がっていた。その後、全面的な高架化工事を経て、駅ナカの飲食店もすっかりリニューアル。飲食店が充実しているのも嬉しい。スタジアムに移動する前に、こちらで早めのランチをいただくことにしよう。

 旅先の最初の食事をどうするか、というのは何気に重要な問題だ。大分の名物といえば、鳥天や関さば・関あじなどが有名だが、今回は3泊するので被らないように留意したい。いろいろ物色した結果、駅ナカにある『もも炭火焼 じんた』にて、とり中華そばをいただく。《6時間煮込んだ自家製超濃厚鶏清湯(チンタン)スープが絶品》というキャッチコピーに偽りはなかった。

 大分駅前から出ているシャトルバスに乗車。キックオフ90分前に試合会場に到着する。大分で代表戦を取材する時は、いつも帰りの足が気がかりなのだが、今日は昼間のJリーグの試合なのでプレッシャーはまったくなし。メディア受付を済ませる前に、2002年の痕跡を確認するべく、ドームをぐるりと一周してみる。しかし、往時を忍ばせるものは見当たらなかった。

 ワールドカップの記憶は、スタジアム内にある「メモリアルギャラリー」に凝縮されていた。3年前にラグビー・ワールドカップが開催されたのを契機に、2020年8月にリニューアル。2002年のワールドカップと2019年のラグビー・ワールドカップ、そして2008年のチャレンジ!おおいた大会(第63回国民体育大会・第8回全国障害スポーツ大会)の展示品が収められている。大分のホームゲームを訪れた際、ここは必見だ。

【以下、OWL magazine読者のみに公開】OWL magazineでは、サッカー記事や旅記事が更新されています。Jリーグだけでなく、JFLや地域リーグ、海外のマイナーリーグまで幅広く扱っています。読んでいるだけで、旅に出たくなるような記事が盛りだくさん。すべての有料記事が読み放題になる、月額700円コースがおすすめです。

 なお、今年のサッカー本大賞で優秀作品に選ばれた『蹴日本紀行』をはじめ、宇都宮徹壱の書籍はECサイト「徹壱堂」にて取り揃えております。お買い上げいただいた方には、著者サイン入りでお届けいたします。

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