二次試験における電験一種特有の問題(電力管理)

本題に入る前に報告ですが、
2024年1月27日に電験一種二次試験の合格発表があり、無事合格してました!
 Xでは予想より多くのお祝いコメントやファボをいただき、とても嬉しかったです。ありがとうございました。

 というわけで、多少はこの記事の信憑性も増したと信じて、一種の電力管理について感じたことを書いていきます。


まず、出題割合について、昔は論説の割合が高かったですが、近は計算3問・論説3問が多いです。二種とほぼ同じ割合ですね。

なお、私は論説は二種の参考書(電気書院『キーワードで覚える』)だけ使用して臨んでおり、一種の論説問題を真剣に分析をしたことがないので、この記事では計算問題だけ取り上げます。

以下一種特有と思われる問題です。

(1)対称座標法

二種の時はたまに一線地絡故障が出ましたが一種では、
一線地絡(H24、H17、H8)
二相短絡(R5、H25、H21、H20、H14)
一相断線(H26)
が出題されます(括弧内は出題年度)。私は二種の時は対称座標法は捨てていたので、一種の勉強の際にオーム社の『%Z法と対称座標法』を使用して学んでいました。
なお、上記参考書には断線の場合の記載はありません。

私もかなり苦戦したので、主に一線地絡についてですが、対称座標法の解き方を下記の記事でまとめまてみました。

また、一種特有の二相短絡ですが、零相を考慮する必要がないため、一線地絡より簡単だと個人的には思いました。

(2)四端子定数

二種二次試験では新制度以降は出題されていませんが、一種では10年前くらいは頻出でした。最近はあまり出ていませんが、2022年に久しぶりに出題されました。
出題年度はR4、H28、H20、H19、H9
なお、出題されるのはcoshθ等を用いる長距離送電線路ではなく、π回路やT回路で表す中距離送電線路です。
何となく難しそうな感じがするかもしれませんが、結局は
Es=AEr+BIr
Is=CEr+DIs
を整理して、

と表しただけです。
なお、四端子定数を解く上で知っておけば楽になることとしては、
下記の3点です。
①AB -CD=1
②回路が左右対称の時A=D
③線路インピーダンスZとアドミタンスYを下記のように表せることです。

過去問(H28問2(1))で解き方の例を挙げてみたいと思います。
問題は下記のように二回線受電の場合の四端子定数です。

 2パターンの解答を作ってみました。※数値の代入は省略しています。
(ⅰ)が①AD-BC=1と②A=Dを使用した解答
(ⅱ)が上記の③の行列式の計算による解答です。

(3)π型等価回路

二種ではあまり出題されていませんが、一種ではπ回路が多く出題されます。π回路自体は難しい概念ではありませんが、何故か一種はπ回路が大好きです。

(4)故障確率の問題

 過去出題数が少ない割には色々な問題が出題されており、対策が一番不明な分野でした。一通り過去問は解ける様にしましたが、出題されないことを祈ってました。
 出題年度はH24、H23、H18

(5)タップ切換変圧器

 一種では定期的に出題されています。四端子定数等と組み合わせたり、電圧不安定化現象の説明に用いられたりします。
 なお、四端子定数を電圧調整器に用いるときは、AD-BC=1は成り立たないため注意する必要があります。
 出題年度はR2、H27、H20、H19、H17、H10

(6)進行波

 落雷による進行波の問題です。昔は定期的に出題されてしてましたが、ここ数年は出ていません。解き方自体はワンパターンですので、万一出題された時のためにやっておいた方が良いと思います。(解法は理論の過渡現象で出題される進行波と同じです)
 出題年度はH21、H15、H7


 その他、単発で初見の項目(近年ではR3のニュートン・ラフソン法等)が出ることがありますが、今後も出題されるとは限らないので割愛しています。

 以上が私が感じた一種電力管理の二種との近いです。
 機械制御の記事と比べ、文章量も少なく手抜きしている感じもありますが、一種の電力管理は、新しいことを学ぶというより、今まで学んできたことを積み上げて解答を作成してく要素が強い気もします。


 この記事をもってnoteへの投稿を終わろうと思っていたのですが、とてもありがたいことに、Twitterにて、記事を書いて欲しいとお題をいただいたので、その回答を投稿して終わりたいと思います。ではでは。

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