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獣の話(インセインPC・附子(フーズー)の話)

諸注意

これの話をします。

また、この記事には以下のインセインシナリオのネタバレが含まれます。

本記事ではインセインシナリオ『Maison Rosa Noir(メゾン ロサ ノワール)』を『黒薔薇館』と呼ぶことが多々あります。
もしかして公式略称は黒薔薇館じゃなくロサノワだったりするのか!?

悪党をしたい!(ことのはじめ)

加害者キャラクターだいすき!と各所でプレゼンをしたりしていたら悪党でスマブラするシナリオをやれることになりました。やったね!

とにかく暴力がしたいな……と思っていたので、PC3をやるぜ~!と選択しました。PC3の概要はこれ。

◎PC③:悪党
あなたは娼館『黒薔薇館』で働く用心棒だ。
金のために必死で働き、用心棒(ゴロツキ)達のリーダーとなるまでにのし上がった。
ゴロツキには十分すぎる程の金と力を手にした。だが・・・未だにあなたは満足していない。
そんな折『近々、この街の権力者達が黒薔薇館に集う』という情報を知った。
これは絶好の機会だ。
権力を奪い、支配人を出し抜き、この黒薔薇館・・・そしてこの街を奪い取ってやろう。

あなたの使命は【黒薔薇館の支配権を手に入れる】事だ。

こいつで野心ありまくりの暴力男をするぜ~!
そういやこれインセインなので秘密もあるんだよな。
どんな秘密があるんだろうな~!

◆PC③:ショック全員
あなたはかつて街を統治していた有力貴族『ゾルダート家』に仕える執事だった。
だがある日、謎の暗殺者によって主人を殺されてしまった。
偶然にもその日、遠い街に買い出しに出ていた為・・・あなただけが生き延びることができた。

絶望に打ちひしがれたあなただったが・・・唯一の希望があった。
主人の娘の亡骸だけが見つからなかったのだ。
あれから5年が経った、幼い娘がたった一人で生きていくなど到底無理だ。
だが、もしかしたら今もどこかで生きているのではないか・・・そんな僅かな希望に縋りながら、あなたは必死で生きて来たのだ。

あなたの本当の使命は【死んだ主人の御令嬢を探し出し、守る】事だ。
全てが終わった後、どうするかはあなたの自由だ。だがいずれによ、生き抜く力はあったほうがいいだろう。
クライマックスフェイズ終了までに、自分以外の【プライズ】を多く所持していれば『功績点』が更に追加される。

あなたは【プライズ:従者の証】を所持している。

……。

…………!?

!???!???!?

PC3で2m男をやるぞ(キャラメイク)

最初に思ったことが「自害アタックできないやつだこれ!!!」でした。
※インセインでは脱落場面の死亡選択時に攻撃ができる。

これはねえ~秘密をメインに据えるならこう……冷血なクールガイをね……もしくはちょっと訳ありっぽい二枚目の男をね……しそうになるけども……

でも2m超えの暴力大男でやりてえよ!!勝ち抜きてえよ!!このスマブラをよ……!

そんなわけで仮案ができました。

附子(フーズー)
巨躯の男性。
全身が傷だらけだが、特に顔の傷が目立つ。
快活にして豪快。適当なことをよく言う。
よく笑い、よく食べ、よく飲み、よく暴れる。酒豪。
部下のことを「弟」と呼ぶ。自称「兄」。
しかし、面倒見がいいわけではなく、仲間内だろうとすぐに暴力を振るう。
「兄」は絶対的存在なので。
ちょっとでも気が立つと、男だろうが女だろうが構わずぶん殴る。
一応用心棒なので、娼婦(店の商品)の顔は殴らないようにしている。腹は殴る。
周りの連中と異なる容姿であり、名前こそ中華系だが、英国人ともアジア人とも言い切れない。
容姿について言及した人物は、その皮を剥いでコレクションすることにしている。
金にがめつく、部下に階級制度を作って搾取している。
その割には金使いが荒い様子はなく、どこで散財しているか不明。
食べるものにこだわりはなく、飲むのは安酒ばかり、女の噂は誰も聞いたことがない。
◆ここから秘匿情報込
実は北国と遊牧民の血筋。
いなくなったお嬢様について、きらきらしていてちいさくてかわいい宝石のままだと思っている。
きらびやかな宝石箱(ゾルダート家)とそれを統べる主人がなくなった今、お嬢様の兄(おうじさま)になって(もうろくに記憶のない、ただただ素晴らしかった場所ということだけ覚えている)故郷に帰るのが彼の夢。

う~~~~~ん、てとりの男!
秘匿情報の気色悪さが暴力男と相性が悪いので(この手の気色悪い男キャラをするならストレート暴力じゃない)、ここをもうちょい変えて、最終的にこう。
※長いので適当にスクロールしてください

【公開情報】
◆外見/印象
・大きくて重い(203cm 113kg)
・全身傷だらけ/威圧感のある風貌
・英国人とも中国(清)人とも言い切れない容姿
・快活/豪快
・白手袋
◆態度
・誠意のない言葉
・馴れ馴れしいようで近づくとすっと離れる
・人間というより獣に近い
・よく笑い、よく食べ、よく飲み、よく暴れる。
・直属の部下のことを「弟」と呼ぶ。自称「兄」。
◆暴力
・気に入らない対象にすぐ暴力を振るう。老若男女関係なし。
・暴力の手段は多いが、それ自体に好奇心はない。
・娼婦(店の商品)の顔は殴らないようにしているが、腹は殴る。
・客に対しては礼儀正しいが、一線を超えれば生きては帰さない。
・「実は支配人にも一発くらい入れているのでは?」という根も葉もない噂がある。
◆嗜好等
・金にがめつく、部下に階級制度を作って搾取している。
・金使いが荒い様子がなく、どこで散財しているか不明。
・食べるものにこだわりはない。カロリーの高そうなものをとりあえず腹に入れておくタイプ。美食家ではない。大食い。
・飲むのは安酒ばかり。ただし誰かの奢りや貰い物なら高い酒もガブガブ飲む。酒豪。
・色恋沙汰についての噂は誰も聞いたことがない。家族についても同様。
・彼の過去について黒薔薇館の人々が知り得るのは、植民地帰りということだけ。
◆人々への対応
PC1→商品。
PC2→商品。
PC4→相棒。お気に入り。利害関係の一致。
ゴル・ゴダート→雇い主。彼の前では軽口がやや控えめになる。
【秘匿情報等】
◆過去
ざっくりまとめるとこんなかんじ↓
幼少期:遊牧民の子供としてのびのびと育つ。昔は帝国を築いていたとか誇りが受け継がれているとか聞く。このころからいじめっ子だった。
10代:長が英国貴族に買収され実質奴隷として英国へ。そのまま陸軍に放り投げられ傭兵として植民地へ。
傭兵時代:出自を切り口に現地人と仲良くしつつ、ときには反乱を抑えるために暴力を振るうなどしていた。様々な人種と関わることで、自分がどのような民族だったか、また、世界がどの様になっているかを知り始め、やがて歴史自体を憎むようになる。
執事時代:傭兵としての仕事が終わり、五体満足(身体は傷だらけ)で英国に帰ってきたところ、仕事もなんにもなくなってしまったので、適当に暴れまわって食っていこうとしたところ、ゾルダート家の何者か(主人?)に目をつけられ、雇われることになる。雇われ当初は「こんなチンピラまがいに何をやらせんだ」と騒ぎになったが、家事手伝いから裏の仕事まで一通りとりあえずできたのでなんとかなった。流石に貴族の女性相手では怖がられるから……と奥様方のいる場所にはめったに仕事を割り当てられることがなかった(ので、お嬢様のことも遠目でしか見たことがないかもしれない)。外部の会食等にも参加はしていないので、「ひと目見れば印象に残るような男なのにゾルダート家の関係者としては一番影が薄い」という奇妙なポジションに収まる。
用心棒時代:ゾルダート家の滅びと黒薔薇館の侵略に己のルーツと重ね合わせた猛烈な怒りを感じつつ、ゾルダート家の生き残りであるお嬢様を見つけて守る(というより所有する)ために、情報が一番集まるであろう黒薔薇館に潜入。いまここ。
◆目的
・最終目的:お嬢様を見つけて所有する。きらびやかな宝石箱であったゾルダート家を作り、より強固なものとする。
・黒薔薇館→無法地帯になったことも、これが成り立ったことも、メチャメチャむかつく。ぶっ壊してえ~!!
・お嬢様→混沌に飲み込まれなかった唯一の希望にしてゾルダート家の象徴。そして所有することで「黒薔薇館」をひっくり返すことができる切り札。
・ゾルダート家→故郷にやや似ているような気がしなくもない。というか内心第二の故郷だと感じてはいるが思考では理解していない様子。
・故郷→歴史の波に飲み込まれた誇り。できることなら再興したいが……
◆各PCへの内心
PC1→どちらかというと気に食わない部類に入るが、売れてるのでむやみに殴らない。
PC2→まあまあ手懐けやすそうな部類。完全に売れなくなったら殴ってどうこうする予定だったがPC1で計画が狂った。
PC4→以心伝心というわけではない。理解し合うのではなく利用し合う関係だと思っている。
ゴル・ゴダート→いつ殺そうかな~と思っている。トップなので下手に暴行できないのが悩み。
◆その他
・名前の附子はトリカブトの塊茎を基原とする生薬。トリカブトの花言葉は「騎士道」「栄光」「人嫌い」「厭世家」「復讐」。
・「フーズー」となったのは英国に来たときから。元の名前は誰にも教えたことがない。
・女をまともに抱いたことが一度としてない。ただし不全ではない。
・「暴力によって他者から奪った相手でないと興奮しない」という厄介な性癖の持ち主。(植民地時代に現地民から奪った人妻を犯すなど)
・お嬢様はずっと純潔だろうなという薄っすらとした処女厨の思いがある。
・「実は支配人にも一発くらい入れているのでは?」→「入れるもんなら入れてるし入れてるならここに支配人はいないんだよな」
・白手袋は主人から貰って執事時代つけてろと言われたので今も慣習のようにつけている。
・血がついたら取り替えるので、珍しく金を使ってると思ったらだいたい手袋だったり。

は?長過ぎる。長過ぎるんだが?メモじゃねえだろこれ。

長過ぎるので三行でまとめるとこういうキャラです。

・部下にも客にも容赦しないストレート暴力デッカデッカ元傭兵
・実は名家の執事だったが、名家が滅んだので現状況の全てにキレてる
・生き残りのお嬢様を見つけて第二の故郷を取り戻したい……?

容姿はこんな感じ。

デッカデッカ男。アムールトラの擬人化みたいなやつ。

できあがったキャラシはこんなんでした。

アビリティ的には生物エネミー絶対殺すマンとして組んでます。

黒薔薇館でおきたこと(主にPC3視点)

ログとか公開してないのでこれ読んでくれ……とはできないんですが、自分がやった卓のざっとした流れを書いておきます。
どんな状況になってるかは妄想して補ってください。おそらくそれ以上のなんかがあの場でおこなわれてました。

★導入フェイズ

シーン描写:PC①とPC②(娼婦PC)
・PC1×PC2サイコー!と初手からなった
・PC1のキャラが強キャラ(女王)

シーン描写:PC③とPC④(用心棒PC)
・いちゃつきながら酔っ払いをボコボコにした
・絵面がヤクザ映画なんだよな

★ドラマシーン1サイクル目

1.PC4(PC3と共に強面の男を調査、成功)
・PC4(真の支配人)がPC3に対して支配人の話題を結構出している
・PC3が恐怖判定に失敗。秘密の内容である要人暗殺がひっかかってるようなロールをする。
こいつらまた他人への暴力込みでいちゃついてる……
・この後、PC4は秘話タブで現状(PC3の部下をしつつ真の支配人として楽しんでいる)について言及している

2.PC1(PC2と共にゴル・ゴダートを調査、成功)
・すっごい官能的なシーンがあった
・真の支配人がいることに気づく2人。これで真の支配人について知らないのはPC3だけになったのだった……
・PC1の格がみるみるあがっていく

3.PC3(PC1を調査、成功)
暴力で調査!!!!!
・PC3が求めてたお嬢様がPC1だと判明した
そして恐怖判定でファンブルを叩き出す
 ※ネタバレ PC3はこの卓で3回もファンブルをします

・調査現場にPC2とPC4もいるが、PC1の正体は現状PC3のみ分かっている状態
・PC1お嬢様がまるで覇王だったので、PC3は攫ってお姫様にするより王として自分が馬になり果てまでつれていくことにした。以下その時のセリフ。

「――ッは」
「はは。ははははは……!」
獣が笑う。
「――その無謀さ、乗った!」
「いいだろう。お前に協力してやるよ」
「今から俺はお前のペットだ。愛玩用じゃなく、乗馬用のな」
「お前が頂きを目指すというのなら、連れてってやるよ。女王様」
「ただまあ……それが口だけで、ただ無様を晒すなら、振り落として蹴り飛ばすまでだ」

・このあとPC3はPC4にPC1の秘密を暴露。
・ただし、PC3の秘密はPC4に開示されていないので、傍目からは『用心棒のでっか男が復讐者で覇者のおもしれー女の馬になった』という状況。
・その後の秘話タブでポエムをした

主人の娘が今や売女。
傾国の美女、それこそ本当に天下を治める器があったとしても――身を売ったのには違いない。
その事実に珍しく、「ショック」というものを受けていたらしいと自覚する。
このような感情とは程遠い経歴を送ってきたはずなのだが。
苛立つ。
何に?
全てに!
この世の、ありとあらゆるものに、男は怒っている。

己が場を動かすより、あの女がでしゃばってくれたほうが面白い。
フーズーに『世界を治める』野望はない。
治める過程で、どれだけ楽しく苛つく奴らをぶちのめすか。それこそが欲求。
天下を取るのはあの女で、暴れまわるのは自分だ。
きちんとした統制だとか。管理だとか。面倒なことはあの女が好んでやってくれるだろう。支配というものは行うまでが楽で、し続けるのが厄介だ。
だれかが代わりにやるならそれに越したことはない。
すべてをなぎ倒した後に、きっと、その男の望みは叶う。
――だが、苛立ちの元となる敵がいなくなったあとに、男の居場所はあるのだろうか?

・なんかこのポエムやってるときにPC4の秘話タブも動いてて……あとでそれを見て私は気が狂いました

4.PC2(署長を調査、成功)
・すっごい官能的なシーンがあった(2回目)
この卓GM含め全員ロールがうまくてやっべえ卓なんだなと感じた
・調査した内容はハズレっぽかったのだが、実はここでプライズをとってることがのちのちPC1の覇王伝説の重要ポイントとなる

★マスターシーン

・女貴族が殺され、新しい情報が提示される
PC3がまたもや恐怖判定でファンブルを叩き出す
・主人が死んだときのことでもおもいだしたんですか?

★ドラマシーン2サイクル目

1.PC3(ゾルダート家を調査、成功)
・よく知ってることを改めて開示された(暗殺者の情報が新規開拓された)
・PC3の『怒』の部分出しまくりコーナー
・ついでとばかりに強面の男を死体蹴りしてプライズも奪った

2.PC1(PC2の秘密を調査、成功)
・今週のつよつよ娼婦百合!実は生き残りのお嬢様と、その両親を抹殺した暗殺者ということがバレてしまい…………?
・罪を告白するPC2、それを裁くことができるPC1……2人の運命は……
・『全身全霊でPC1のみに仕えろ』という命の元、更につよつよの娼婦百合になりました
・この2人がいればもうこのシナリオは安泰ですよ ワハハ ……
そしてついでとばかりに支配人の権利もゲット
・PC1、おもしれー女……

3.PC4(PC3と感情判定、成功)
・とても特殊なシーン
・真支配人として知っている情報を他PCに開示するPC4(この時点でPC4の秘密はメタ的にほぼ開示されている)
・PC4VSPC1の対立構造を招きつつ、PC4がPC1のプライズを略奪しようとするも失敗。
・失敗シーンのロールが『自分だ知らない情報を喋るPC4にキレたPC3が、PC4を床に叩きつけ、PC1を守ろうとしたPC2がPC4に毒針を放ちPC4が過呼吸状態になる』
・略奪に失敗しつつも、PC4はPC1の秘密をPC2にバラす
・混沌とした状況の中、PC3はPC4を連れて別室へ、PC1はPC2と二人きりに
・そう…………こんなにめちゃくちゃになっておきながらも……まだ判定をしていないのである!!!!
・怒れる男と開示した男、二人きりになったらなにをする?
・そうだね。感情判定だね。
・弱っているPC4を追い打ちでボコボコ(ワイン瓶で殴るなど)にして、PC3がPC4にした質問が……これ!

「なに、確認だよ、確認」
「ここらで一度おさらいしておこうぜ、『相棒』」

「俺は、お前にとってのなんだっていうんだ?」

・……ここの説明は置いといて。これに対してPC4が『解答』をしなかったので、次の質問。

男は、しばらく黙って。

「楽しくなくなったか」
次の質問をする。

・これに~~~肯定を~~~~PC4が~~~~~~返して~~~~
このふたりはおしまいだよ。
・感情判定の結果は、PC3→PC4が愛情、PC4→PC3が憧憬でした
おしまいだよ
・この後感情についてのロールするか……となり、PC3がPC4の口約束は信用できないからとPC4の片目を抜き取ってPC3がもらうことになりました
おしまいだよ!!!!!
・え~~~~~~ん たすけて たすかりません まだおしまいはつづくのじゃ マジ?
・一方その頃PC1とPC2はPC3とPC4とは異なる強靭な絆を繋いでいました

4.PC2(下っ端の少年と感情判定)
・とても特殊なシーン
・改めてPC3とPC4の元へ向かうPC1とPC2、道中で下っ端の少年と会話(まだこの時点では判定していない)
・PC3とほぼ満身創痍PC4の元に到着。
・PC1がPC3を問い詰める。お嬢様に問われる気分はどうだ?
ついでにPC1とPC2の絆を見せつけられる。今どんな気持ちだ?
・このよわよわ状態暴力男CPとつよつよになった娼婦女CPのコントラストがすごい!
・PC4がPC3にプライズを譲渡。そしてPC3がPC1にプライズを譲渡。真支配人はPC1となった。
・黒薔薇館~完~
・実はまだクライマックスじゃないんじゃよ
・Q:すべてを失ったPC4と二人きりになったPC3、なにをする?
・A:手に入れたPC4に自分の片目をあげる

・はい。
・実はまだPC2の判定をしていないのである!
・PC3とPC4と別れたPC1とPC2は下っ端の少年と再度遭遇。そしてPC2が感情判定。どっちもプラスの感情を取得。
・その後、PC2がふくよかな金持ちのプライズをゲット。PC1に譲渡。

★クライマックスシーン

・すっかり格の落ちたゴル・ゴダートとバトル
・通常時は下っ端の少年が暗殺者としてゴル・ゴダート側についており、めちゃくちゃ強いため、ロスト覚悟の戦闘なのだが……
・なんと感情判定をしているので今回は味方になってくれます
・やべ~(完全勝利)
・PC3が回想シーンで秘密を開示。ファンブル……?知りませんね……振り直しましたから……
・真支配人となったお嬢様、身元を明かした元執事。「PC4に惚れたので貴方とは行けません」という旨を宣言し、持っていたプライズ:マフィアの後ろ盾をPC1に譲渡し、PC1と共に未来を歩むPC2にプライズ:従者の証を譲渡。
・最終的なPC1のプライズ量が『王』なんだよな
・そうして、PC3はPC4と共に未来なき破滅の道を選び、遠く北の地で暴れまわることにしたのでした。
・おしまい。

附子はどういう男だったのか

人間になるのをやめて獣になった暴力男です。
ひとつひとつ解体していきましょう。

『故郷』について

附子は故郷がなくなった遊牧民です。
「故郷がなくなった」というのは母の言葉であり、母の言う『故郷』は遊牧民がかつて支配していた大規模な帝国を指します。
故郷を取り戻したい、という根源の遠い遠い目標は、自分のモノではなく『とりあえず掲げた』夢未満の指針でした。なので、正確には附子自身の夢や目標ではないんですね。
けれど、母の言葉、『見えない夢の場所』としての故郷に引かれていたのは確かなことだったんでしょう。
黒薔薇館本編の当初目標が『第二の故郷であるゾルダート家を取り戻す』で、PC1の突き進む動機が『世界を手に入れる(見えない夢の場所も夢じゃない)』だったことが彼女に協力するきっかけともなりました。

よくある歴史。男にとっては最も深いところにある怒りの要因。
それを、和らげてくれたのがゾルダート家。第二の、幻の故郷。
……もう少しで、自分を人間にしてくれたであろう、居場所。

PC1が世界を目指さなかったら、附子は彼女を傀儡にする気満々でした。
本編後、PC1についていかなかったことで、『世界』を見ることはありませんでしたが、実は黒薔薇館やゾルダート家で稼いだ金で母親の言う『故郷』と思われる地域の土地を買っており、最終的にPC4ハネムーン気分で向かいました。

『獣』について

生まれつきの獣性です。
附子(幼名:ズードゥ)には母親も父親もいましたが、母親は自分が母親であると明かさずに、親しい知人として附子に接し、附子が気づき、言及する前に死にました。父親も附子がそれなりに育った後、それも『附子の母親を殺した後』に父親であると明かしました。明かした後も育てはしませんでした。
彼はどうやって生活していたかというと、ほぼペット(番犬ならぬ番虎)のような扱いで村の連中の家を転々としていました。
もちろん、生活以外にも彼の獣性は現れており、それはしばし『暴力』とよばれるもので発現しました。

「でもあいつさあ、この間、ホタガ相手しただろ?」
「おー。アレ結局どうなったんだ?」
「……ズードゥのやつ、」
「血みどろになって、帰ってきたんだよ。自分の血じゃなく、返り血で」
「ホタガのやつは、右腕と左足が折れて、耳と左手の甲を噛みちぎられてた」

彼は『目に見えるもの』以外を基本的に信じません。見えないからです。
口約束もおとぎ話も宗教も信じません。ただし、それを根幹からは否定しません。なぜなら『興味がある』から。つよく惹かれているから。

死んだ後に行き着く場所が、二通りある村だった。
土か水かは占いで選ぶ。土は深く穴を掘って底へ。水は解きほぐして湖へ。
土にも水にも神がいるので、どちらか偏らないように、死んだ人間を連れて行かせる。
「本当にあるのか?『あっちのせかい』」
「お前はそればかり言っているな。興味があるんだろう」
「なさそうだから、気になってる」
「あると言っているのにか」
「見えないから」
「それはそうだ。お前は生きている」
うーん、とまた首をかしげる。
ズードゥは見えないものを信じられない。
子供だからと言うだけでなく、本人の感覚が『ないものはない』と告げている。
だからといって、ソリルの言葉を否定することもなかった。
『みえないけどある』というものを、なかったことにはしなかった。

そう
 この気持ちに 
  名を付けるなら

  
    愛おしさ、とか?

「……は」

そんなものはない。
そんなものは、まやかしで、

見ることができない。
でも、見えないことが大事なのだと、
言われたことがある。
あの場所で。

ゾルダート家で。

つよく惹かれている、『目に見えないもの』を信じられるようになったとき、彼はきっと人間になれました。

『人間』について

なれなかったものです。
人間になるためには、理性、夢、世界に対する肯定、継承のその後、社会におけるさまざまな『己』、ささやかな誇り、怒りの昇華、生ぬるくそれでも悪くはなかった暖かさ……『目に見えない』そういったものが必要でした。

ゾルダート家の執事をやっていたときはこれの殆どを手に入れて、もうすぐ人間になれそうだったのですが……主人が殺され、黒薔薇館に潜入し、暴力と享楽の日々を重ねることで、徐々に獣に傾いていきました。

<普段であれば、気にしない>
<そう、ここに来てから、躾が薄れて、考えることもなかった>
<獣に考える頭などなくていいのだから>
<けれど、ゾルダート家では、人間になる術を教えられてしまった>
<開花がまだ先だった『人間性』という蕾は、あの日からずっと閉じたまま>
<……どころか、退化して種のような状態へと押し込まれていた>
<それはきっと、この眼の前の男が>

<…………>
<それも、おわり。>
<今日、この状況で、『人間性』は花のように、開花しようとしていた>
<主人の娘の生存、天下を取るという未来、湧き出る感情>
<だからこそ、今>
<男は人間のように、気が狂っている。>

それでもPC1との再会を経て、『夢じゃない夢』を見出し、また人間一歩手前まで進めたのですが。

「なに、確認だよ、確認」
「ここらで一度おさらいしておこうぜ、『相棒』」

「俺は、お前にとってのなんだっていうんだ?」

ここで『相棒』に定義されなかったことで、『人間』への道が絶たれました。『人間』には役職や関係があり、それは言葉で示されるものだから。

人間は、言葉を使う。
言葉を使って意思疎通をする。
言葉を使って、他者を『定義』をする。
獣は、定義されなかった。
掴まれた花は、抵抗せず、包まれた手のひらの熱によって、しおれていく。
「楽しくなくなったか」
無意識に、縋る。
人間(執事)ではなく、獣(用心棒)としての思い出に。

その後、「楽しくなくなったか」と獣としての享楽を肯定するような質問をし、それに肯定された時点で、彼は人間として生きるのを諦めました。

「苛つくやつらをぶっ壊して、何もなくなるまで」
「隣にいれば、それでいい」

獣の夢の終わりに、難しいことはいらない。

この時点で『人間』になれないというスイッチ(フラグ)が押されているため、このあとPC1の元についていったとしても、『人間の執事』としてやっていけてなかったでしょうね。

『相棒』(PC4)について

う~~~~~~ん、大誤算!!!!!!
途中までPL&PC共に疑っていなかったのもあり、対立するとは思ってませんでした。カンが悪すぎないか?

附子としてはPC1の障害となるなら殺す、という方針が第一だったので、片目をどうこうしていた際にも「でも……この後クライマックスシーンでタイマンバトルして殺すんだろうな……」と思っていました。

中身を失った方の瞼を、そっと撫でる。
これでようやく、『目に見える』。薄っぺらな言葉よりも、信じられる。
自分が傷つけた男を見つめるその表情は、信じられないくらい穏やかな顔をしていた。
といっても、その顔は、誰にも見られないし、知られないのだろうが。
 
ふたりの終わりは、近い。

とはいえ、附子というキャラクターをやっている上で、「目に見える命を感じる」という名の残虐行為を肯定し、ついてきてくれた相棒は、もはや切っても切れない存在となってしまっており……。

「もちろん。『お前』とは、」
 ・・・・・
「はじめからそのつもりだ」
男自身も驚くほどすんなりと、その問いに答えられた。
「最期まで遊びつくそうじゃねえか」
「一緒にな」

そこに「PC1にはPC2が今はいるんですよ……」というPC3の秘密がバキバキになる論拠がきたので、「じゃあPC4と破滅√だな!!!!!!」となりました。

……結局のところ、男は今の今まで、冠を見つけられず。
王冠はモノではなく女王そのもので。
彼女を女王たらしめる者は既にいて。

きっと。
別のなにかもあったんだろう。
別の道もあったのだろう。

そう、例えば、■■としての道を、歩んでみるとか。 
けれど、もうそんなものは見当たらない。
暗闇をさまよい続けて、怒りを身体を燃やしているうちに、すっかり見失ってしまった。
だから、これでよかった。
…………もう引き返すことはない。
後悔は、人間様がすべきことだで、獣がすることじゃない。

――俺たちは、どこまでも(不)自由だ。

自分はもうお嬢様に仕えられないし、相棒にすべてを捧げられ、自分のすべても捧げてしまった。

たのしかったんだ。
お前(相棒)と、獣として暴れることが。
こんなにも、どうしようもなくなるほどに!
獣も、黒薔薇館も、既に落ちた。
もうこの場所に留まる必要はない。
捨てていこう。
故に、この戦いは。
名誉を捨てるための決闘だ。

ここの方向転換というか、責務の取り方が彼(PC3)らしいなあとは思います。

「『私』のやるべきことは、この場を制圧してお嬢様を生還させること」
「ただ、事が終われば正式に執事を辞めさせていただきます」
「――そして。『用心棒』としての協力関係もこれが済めば終わりだ」
「お前を頂点まで連れて行ってやると約束して、こっちから破棄するのは不誠実だが……」
「あいにく、『私』は嫉妬深いし、『俺』は別のやつを乗せて行かなくちゃならなくなったんでな」
「ここで乗り捨ててもらいましょう」

「しかし、お嬢様もまだ『おこちゃま』ですね」
「……いや、純粋と言ったほうがいいかな」
「――こんな状況で、恥ずかしいことを従者の口から言わせないでほしいんですよ」
そう言ってから、そっと、ヴィオラの耳元で囁く。
「従者(人間)を辞めたくなった理由が」
「(獣との)駆け落ちだなんて、みっともないんですから」

さわやかなこと言いやがって。

ロールの手法とか考えてたこととか

暴力ヤッター!

暴力の男、と決めていたので方針としては『話すより手が出る』のを重視してました。いっぱい最悪暴力ができてよかった。

「そおら!」
まるで根菜でも引き抜くかのように片足を掴み、持ち上げ、逆さにする。
「酔っ払いの一本釣り~!!」
両足を掴んで上下にふる。
「店に入らなくても迷惑料はいただかないとなあ!いくらもってんだ?」

それはとても自然な動作で行われる。
「で――誰が殺ったのか、まではいかなくとも」
手元にあったタバコが、警察Aの額へと押し付けられた。
「もうちょい言うことがあるだろ、なあ?」

執事キャラにこれをやらせていいのか!?という感じはしますが、元傭兵あがりの獣が執事やってて用心棒になったらこうもなると思います。
そうでなくても2m超えの傷だらけ大男が暴力振るってたら画面がヤクザ映画になる。うれしいね。

手癖だけど手癖じゃないからたいへん

加害者キャラクターがヘキかつ、『どうしようもないガキ』という枠もヘキで、さらに手癖に寄せてできあがったようなキャラクターが結果的に附子となったのですが、途中までロールやるのがめちゃくちゃ大変でした。

慇懃無礼執事は手癖でスラスラロールできるだろうな、とは思っていたんですが、なんかクライマックスまで明かさなかったので……。

獣のキャラクターをやるのはたいへん。思考が言動や発言と直なので、冗長に喋るキャラクターとは別の意味で大変。
すぐに暴力のスイッチが押されてしまうので、どう暴力につなげて調査判定するかを考えてました。

これ暴力ありの舞台で暴力キャラでいけてたからいいものの、そうじゃない舞台でこの手のキャラクターを動かすのってどうすればいいんだ?要研究。

それはさておき、おもしれ~女に全賭けしたり破滅心中を選択するのは獣関係なく120%手癖でした。

出目とか狂気カードの引きとか

正気度最大値5のキャラでなんで3回もファンブルしてるんですか?

とはいえ調査の判定はちゃんと成功するし、戦闘の判定は武器でどうにかなったので、なんとかなりました。あと相棒から鎮静剤貰ったのでよかった。

引いた狂気カードは「疑心暗鬼」「暴力衝動」「闇からの祝福」でした。暴力衝動はトリガー引っかかったけど疑心暗鬼は引っかからなくてよかった。
ファンブルするのは俺だけでいいんだ……

狂気カードはロールにも結構いい影響をもたらしてくれたので、インセインのシナリオをやってるな~!という気がして良かったです。
恐怖判定ファンブルからの狂気カード!感情判定!調査!バッティング!回想シーンパンチ!まさにインセイン!(バッティングもファンブルもしないほうがいいとされます)

まとめ

黒薔薇館、楽しかった~~~~~~~~~~~~~!!!

崖(加害者・加害を指す身内用語)をするぞ~!という意気込みで行ったらまさかこんな最高の不成立と従者継承と破滅崖CPをすることになるなんてな!盛りすぎている。これが2サイクルインセインシナリオの本編ってマジ?

ロール人生において一生物のなにかを得た卓になりました。
関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

最後に〆でやったロールを置いときます。

「…………」
理想郷。いつかむかしばなしで聞いたまぼろしの。
…………とは、だいぶことなる、血と肉と臓物でできるであろう、いびつな楽園。
それは、それで。
楽しく作れるだろう。

そう。大切なのは楽しいこと。
楽しく暴れて――後のことは、もう考えなくていい。
「『俺』は」

「殴るのも蹴るのも」
「犯すのも奪うのも」

「お前と一緒に楽しくやるためにここにいる」
「良い提案だな、『相棒』」
「作るか、理想郷ってやつを」
いつか必ず壊れる遊び場を。
「――遊ぼうぜ」
「どいつに、なにを仕掛ける?お前に選ばせてやるよ」

不自由な獣たちよ、お幸せにな!






実はまだノベルゲームとして過去編を作ってる途中なので、もしかするとこの記事には追記が入る可能性があります。大男の話はもうちょっとだけ続くんじゃ。