60試合を走り抜けた浦和レッズをどう見るか エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんとクラブ総括を読み解く(23シーズン振り返り編)

<全3回中の1回>
<(24シーズンへの補強について)
選手評価と3トップ編はこちら
<(24シーズンへの補強について)
MF~GKとマネジメント編はこちら

浦和レッズの2023シーズンが終わりました。過去にない公式戦60試合という長丁場で、サウジアラビアに2回、中国、韓国、ベトナムに各1回の遠征も入る本当に忙しいシーズンになりましたが、浦和は今季も「2023シーズンの振り返りと2024シーズンに向けて」という総括を発表しています。

今回も残念ながらこの総括に関する質疑応答などの取材機会はなかったのですが、サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」で浦和を担当する沖永雄一郎さんと23シーズンを振り返りながら、そしてこの総括を読み解きながら話をしていこうと思います。前編では主に2023シーズンの振り返り、後編では2024シーズンに向けての部分を中心にしていこうと思います。

※文中で敬称を省略します。

沖永雄一郎(エル・ゴラッソ浦和担当)
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga

轡田哲朗(フリーランス)
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k

4つの国へ5回の遠征も交えたシーズン

轡田 まずは1シーズンお疲れさまでした。沖縄キャンプから始まって最後はサウジアラビアでのクラブ・ワールドカップ(CWC)に参戦と、本当に長くてボリュームがあり、カロリーも高いシーズンでした。沖永さんにとっても浦和担当になって印象に強く残るシーズンになったのではないでしょうか。

沖永 まさにそのとおりで、担当4年目にして最も密度の濃いシーズンでした。連戦に次ぐ連戦で、もはやいつどの試合があってどんな出来事があったのかの記憶も怪しくなっています。ACLチャンピオンズリーグ(ACL)の海外アウェイも皆勤となったので、ただ追うだけの立場でも消耗は激しいものがありました。最後は力尽きるようにシーズンが終わりましたし、現場の疲労度もすさまじいものがあったと想像できます。

轡田 シーズン前半の振り返りでマチェイ・スコルジャ監督のチームビルドについては多く触れてきました。ですので、今回は少しシーズンを俯瞰して見ていく材料としてもクラブの総括に触れていきたいと思います。トータルとして見た時に、クラブはリーグ4位、ルヴァン杯準優勝、天皇杯4回戦敗退、ACL2022の決勝に勝利、ACL2023-24グループステージ敗退、CWC4位という成績について「決して十分とは言えないものの一定の評価には値する成果を得た」というまとめをしています。

ここから先は

5,794字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?