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ONE Championship、綱渡りの資金調達

本稿はDeal Street Asia 『ONE Championship said to have made new pitch to QIA for extra funding』(2023年11月20日)の大雑把な翻訳である。


ONE Championshipが、カタールのソブリンファンドであるカタール投資庁(QIA)に対し、新たな投資の勧誘ピッチを行った模様。このピッチは過去2〜3週間の間に行われたとされ、ONEの財務チームがシンガポールからリモートで行ったとされる。調達予定額は不明。このままではONEの運営資金は2024年第3四半期までに尽きる見込みであるとの情報筋情報もある

#QIAは再投資に応じるだろうか?

投資が実施されれば、QIAにとっては2度めのこととなる。QIAはONEが2021年に実施した1億5000万ドルの資金調達ラウンドを、グッゲンハイム インベストメンツと共同で主導した実績がある。その際にはアル・ラーヤン・ホールディングを通じて5000万ドルを投資した。

しかしながら、複数の情報筋によると、QIAはONEの財務状況の弱さなどを理由に、ONEに関与したことを後悔していると伝えられる

ONEの2021年の年間損失は、2020年と比較して125%増の1億1100万ドルであった。ONEの売上(入場料収入、ライブ放送、スポンサーシップ、デジタルプラットフォーム、商品販売)は、2020年の5680万ドルから2021年には6770万ドルに19.1%増加した。

ONEとQIAの提携には、ONEがカタールで大会を開催するという約束が含まれていたが、ONEが12月1日に予定していたカタールでの初のイベントは、来年に延期されることになっている。

情報筋によると、カタール大会には約600万ドルの費用がかかる見込みで、その大部分はQIAが紹介した地元のパートナー(メディアシティカタール、カタール航空、オレドゥ(通信会社))が負担することになっているとされる。

しかし別の情報筋によると、カタール航空とオレドゥはONEのカタール大会から手を引くことにしたという。メディアシティカタールは引き続き協力を続ける意向。

#ONE Championshipの資金調達

IPO市場が低迷し、グローバルな流動性が枯渇している中、ONE Championshipの資金調達の先行きも困難なものとなることが予想される。

ONEは2021年末、まだ市場が活況だった時に、SPAC(特別買収目的会社)であるゴアズ・ホールディングスとの合併によるIPOを試みたが、結局実現しなかった。ONEは、2021年の1億5000万ドル以来、大きな資金調達を行っていない。

ONEは、特に売上の認識と計上の方法に関する独自の会計慣行で注目を浴びている。最新の2021年度の財務報告によると、ONEは物品やサービスのバーター取引を売上として認識していた。また2020年度には、ONEが自社子会社に対する資産売却を売上として認識し、企業として3億4100万ドルの利益を計上していた。

ONEが今後も引き続き、同じような方法で売上のかさ増しを行うのではないかと疑う向きもある。ある情報筋は、ONEは2022年度の売上高を約8000万ドルと計上し、企業評価額を現在の12億7000万ドルから14億ドルに引き上げようとしているが、現実の現金売上はわずかの500万〜800万ドルにとどまると予想している。

ONEはすでに経営の効率化を進めており、今年に少なくとも2回のレイオフを実施している。最初のレイオフは3月から4月にかけて行われ、2度めは7月に実施された。それぞれ約12〜15人が解雇され、250人の従業員総数の約10%に相当する人員が削減された。

ONEはこれまでに、GIC、テマセク・ホールディングス、ヘリコニア・キャピタル、ミッション・ホールディングス、セコイア・キャピタルのインドおよび米国ファンド、マイクロソフト共同創業者ポール・アレンの投資会社バルカン・キャピタルなどから合計で5億ドル以上を調達している。

本紙がONEに、上記の情報筋情報についてのコメントを求めたところ、具体的な回答はせず、既存の投資家とは「頻繁に会議」をしており、今年は記録的な視聴者数を達成した、などと述べた。またONEのCEO、チャトリ・シティヨートンがソーシャルメディアで、ONE166を2024年3月1日にカタールで開催することを公式発表した。同社広報は「2024年にはコアビジネスが赤字を出さずに運営できる予定である」と付け加えている。

本紙はQIA、カタール航空、オレドゥ、メディアシティカタールにもコメントを求めたが、この記事を公開する時点までに回答を得られなかった。


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