リクルート

リクルート社員が”意識高く”行動できる理由。それは人事制度なんかじゃない!

優秀な学生の内定承諾をリクルートにひっくり返される。

今年の1月にリクルートHDからITベンチャーに転職した。そこで新卒採用活動をするわけだが、内定承諾してくれた学生のうち2人はリクルートに持って行かれた。

エッジが効いた優秀な学生は大企業にいくのではなく「起業する」、または「ベンチャーへ就職」という流れがきていることは肌感覚としてはある。
しかし、社員の優秀さ、カルチャーの魅力、制度の充実度合い、それらをトータルした企業ブランド力などでは、大企業となった今でもリクルートが日本トップレベルであることに間違いない。

人事制度からリクルートの強みを考察してみたい。

自分自身は、リクルート人事に2011年頃に中途入社し2017年に社名がいろいろ変わったけどリクルートHD人事として卒業した。その間1つのリクルートが8社に別れることに伴う人事制度改定をし、卒業間近にはまた8社を1社に戻す制度改定をする経験をした。そのあたりもまた追って書いていきたい。

今回はリクルートの事業を人事観点から、そして人事制度にガチンコで取り組んできた経験から、特に制度面に焦点をあててリクルートの強みを考察してみたい。

リクルートの人事関連の記事は4つに分類される。

ざっくりまとめすぎかもしれないが、これまでメディア/講演などで多数語られてきていているリクルートの強み。その内容は次の4つにまとめられる(かもしれないと思っている)。

1.採用重視の戦略と結果としてのブランド力がハンパない。  
・一人当たりの採用コストXXX万円/自分より優秀なヤツしか採らない
2.カルチャーの浸透度合い&実践がハンパない。  
・誰もが「お前はどうしたい」や「当事者意識」などを口ずさむ
2’.結果主義・業績達成意識がハンパない。  
・営業はもちろん、企画職、エンジニア職にも達成文化が浸透
3.卒業文化。若くして優秀者が卒業していくしハンパない。  
・20代〜30代で独立起業または魅力的な企業へ転職
4.新規事業を創ることが仕組化されていてハンパない。  
・NewRing,RecruitVenturesなど事業プランをお手軽に起案

4つめは、人事というより事業創造の仕組み。ここもとても大事な気づきがあった。今回は一旦割愛。

人事制度は1〜3に対して影響を及ぼしている。特に2'については人事制度の影響が強いと思いがちだ。非常に意欲的に前向きに行動する人材の行動を誘発させる仕組として。

結果的には「違います」と言いたいのだが、ここでリクルートのユニークな制度について少し前提として記載しておきたい。


確かにユニークな制度

入社してみて、制度内容はとても面白かった。(リクルートに入る前、デロイトトーマツ時代にいろいろな世の中の人事制度を見聞きし、創ってきた。その中でも)群を抜いて面白かった。

・Will(キャリア)/Can(スキル)/Must(目標)で運用する評価制度
・期待する目標(ミッション)をベースに厳密に運用されるグレード制度・速い昇格と抜擢、結果的に高い報酬水準
・新卒から約7年働くと(以降ずっと)年収1年分の退職金の権利が発生

特に個人的にもWill/Can/Mustは最高だと思った。自分の目標(Must)を達成するためにスキル(Can)を鍛えようよ。目標やスキルはそもそも自分のWillを叶えるため。ということで「お前は何がしたい?」にとてもうまく繋がっていた。


でも、働いている人たちは、人事制度をそれほど意識していなかった。

分社化をして、リクルートホールディングスに残る以外はみんな転籍することになった。その中の財務・経理・人事などコーポレート系だけでまとめられた会社の制度を創った。(後にその会社はホールディングスになったり、(株)リクルートの母体に。)


自分がその会社の従業員となって、上司に(自分が創った評価制度で)評価をされた。自分が上司になったときには(自分が創った制度で)評価や昇降格を決めることになった。

日々仕事をする中で人事制度などほとんど意識することはなかった。

自分の仕事のゴール、ミッションについては当然意識する。

でも、人事制度があるから→→→頑張る、ということでは決してなかった。

コンサルの時から薄々分かっていたが、それを心から実感した。

じゃ、みんな一体何に突き動かされているの?

なぜみんな、こんなにもウェイウェイやるのか?絶対に達成してやろうと意識高く行動できるのか?

その答え(の1つ)は、もうみんな知っているけど、採用。

採用はむちゃくちゃ大事。大人たちの間で裏話する時も、

「結局最初から優秀orポテンシャルあるヤツが最後活躍するよね。」と言われている。

ちなみに、プロ野球に例えるとドラフト1位の方が6位より活躍するという明確な相関関係はないので、ドラフト1位をとるべし、という話ではない。
そもそもプロ野球に入れる(ドラフト指名される)逸材をちゃんととって、あとは魅力的な上司や同僚が才能を潰さずに、個に応じたストレッチなミッションを与え続けるだけで大丈夫。Off-JT・研修などが与える影響は非常に少ない。

リクルートは昔から採用に命をかけている。1,000人採用するときに50億かけたとか何だとか。(=採用単価@500万円??)でもこれは誰でも知っている。

みんなもっと柔らかいものに突き動かされている。

特に事業の現場の人たちを突き動かしているもの。

それは、ハード(制度)ではなく、ソフト的(カルチャー)なものであり、
2+1で合計3つあると自分なりに分析している。

ひとつめは日々の進捗管理(通称:ヨミ会)で自分がゴリゴリに詰められないようにする必死さ。
ふたつめはとても短いスパンで繰り返される褒め褒め文化(表彰文化)。*表彰は週次、月次、Q毎、半年毎、年間と超絶盛りだくさん。
最後のひとつが、「本当の顧客の課題は何?」「世の中的な課題解決になってんの?」というそもそも論的「何が課題なの?」コミュニケーション。

リクルートの強みは本当にここ。これだけ。
これがどこの現場でも発現している。ただそれだけ。

マズロー的に言うと・・・

下から3つめの親和欲求(優秀な人たちの中で居場所が欲しい!)、4つめの承認欲求(褒められたい!)で突き動かしながら、
5つめの自己実現欲求(世の中のため人(顧客)のため)を根源的パワーに仕向ける。つまり、3→←4→←5段階の欲求を日常的に行き来させる。

そう。

みんな半年or3ヶ月に1度の評価とか、あと半年後の賞与が・・・とかはほとんど意識しない。というか目の前のことに必死。
それが現場の運用として回っているよ、ということだけがポイント。
(ただし、グレードのアップダウンだけは結構みんな意識する。それは常日頃からミッションの差として明らかだから。)

にわとりが先か?たまごが先か?

ここまで書いてきて、このソフト面の強みは人事制度があったから発現しているのか?過去の優秀な経営者や上司の日常的な行動・コミュニケーション・カルチャーが再現されるように後付けで人事制度で補っているのか?

という観点を議論したい。

結論としては後者だと思っている。

だからこそ、制度だけ変えても組織改革が成功しない話がざらにある。

賞与を最大100万円から最大300万円にしても人の行動なんて変わらない。

人事制度とニコイチで大事なもの

もちろん、人事制度も影響力はゼロではない。

人事制度は、組織にいる人たちが再現性高くその会社にとっての素敵な行動を取ってもらう「きっかけ」と「言い訳」と「武器」を与えることができる。

例えばリクルートの卒業文化を支える退職金制度。

「7年経って、30歳だし、俺もそろそろ卒業か。」という”きっかけ”。
「退職金制度があるからさ、卒業したんだよね。」という”言い訳”。

また、リクルートの成果主義を支える評価と抜擢の仕組み。

「自分も評価され、責任あるミッションにつきたい」という”きっかけ”
「今期もXXならグレード下がることになるよ」という(上司としての)”武器”

ただし、実は人事制度には本当の力を発揮するために、唯一無二で重要な仕組みがいる。それこそが人事制度の上位概念というか、人事制度のお兄さん的存在。その仕組みがあってこそ人事制度も影響力を及ぼすことができる。

小学生風に言うと、お兄ちゃんが喧嘩が強くて影響力があるからこそ、弟である人事制度も威張っていられるような存在の仕組みがある。

結論から言うと、業績管理の仕組み

業績管理とは、経営レイヤーでは会議体で行われる。
そこに誰が参加し、そこで何が会話され、会話の内容がどうやってメンバーレベルまで広がっていくか?という仕組みがめちゃくちゃ大事。

ここが、とにかく非常にうまく仕組み化されていた。

事業のマネジメントと人材マネジメントがニコイチになっていた。最近ではOKRが事業と人事を繋ぐ機能としてスタンダードになっているが、それが何十年も前から根付いている。

・・・具体的には、、、ということで、ここからがめちゃめちゃ伝えたいこと。

でも、そろそろ力尽きてきた。すみません。続きはまた次回に。

長文読んでいただきありがとうございました!!

初めてNoteを書いたけど、書くの面白い。



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