見出し画像

文豪夏目漱石を通して読み解く東アジア

こんばんは。テツジンです。本日、夏目漱石を通して東アジアを読み解いてみたいと思います。

出典:季刊誌『コトバ 夏目漱石を読む』第12号、2013年夏号、集英社。

私が日本に留学して、初めて読んだ日本語で書かれた小説は『吾輩は猫である』です。当時はただ日本語(教育)の人称詞に関心を持って、『吾輩は猫である』を選んだのです。一人称には、「吾輩」もあるのだとすごく新鮮だったのです。

それ以来、夏目漱石の小説および夏目漱石に関連する書籍を読み、夏目漱石文学の奥深さを痛感することになりました。


出典:季刊誌『コトバ 夏目漱石を読む』第12号、2013年夏号、集英社。

上記の特集で書かれているように、

漱石の作品を読めば、時代の岐路に立つ現代の日本人の進むべき道が見えてくるかもしれない。

私はまだ、夏目漱石の作品を数冊しか読んでいないですが、総じて感じているのは、『坊ちゃん』のようなユーモラスな作品もありますが、多くはグレー・トーンの作品だと言えます。


私は学部生時代には言語学を学び、大学生時代から東アジア地域研究に関心を持ち始め、再度夏目漱石の作品を読んだら、違う観点から読めるようになりました。例えば、『吾輩は猫である』について、最初は猫目線から人間を描くという作品だと読みました。この小説が書かれた1905年という時代(日露戦争)を意識して読めば、戦時体制の中で夏目漱石は冷静にニヒルなまでに世相をとらえていることが分かります。


政治学者の姜尚中氏は、その著書『悩む力』のなかで、どう生きればいいのかという難問を100年前にすでに直視した夏目漱石とマックス・ウェーバー(ドイツの政治学者、社会学者)をヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱しています。


時代を超えて読み継がれる夏目漱石の作品は、古びることなく、過去・現在・未来と時代を超えて人々に示唆を与えてくるに違いありません。


参考文献

・夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫、1951年。

・姜尚中『漱石のことば』集英社新書、2016年。

・季刊誌『コトバ 夏目漱石を読む』第12号、2013年夏号、集英社。

・夏目漱石『満韓ところどころ』青空文庫

https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/781_14965.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?