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漢字による音写に関するひとつの考え方

漢字による音写に関するひとつの考え方
日本を含め古代中国周辺民族の歴史を考える時、中国文献は非常に重要だ。しかし、その周辺民族の手による文書資料は極めて乏しい。中国周辺各民族が固有の文字を書き残すようになったのは9〜10世紀以降のことだ。
それ以前の古代史に関しては中国の文献資料に依存する。
問題は地名、人名、民族部族などの固有名などだ。また歌を音写した資料もあるが解読に苦慮する。
それらは漢字の音を借りて表記してある。しかし発音記号ではないからどう読むのかはかなり問題だ。
冒頓単于と書かれていて「ボクトツゼンウ」と仮に日本人は読むのだろうけど、本当にそう発音されていたとは考え難い。
この問題を解く決定的なカギは見当たらない。
このため様々な解読が生じてしまい古代史を一層謎めいたものにしている。
ひとつの考えとして
女真と書かれているものはジュルチンと言う。また突厥、丁零、鉄勒ならばテュルクだろう。
ここから考えられるのは閉音節の子音がある場合の多くはul  ol  elなどのように母音+l音であったとする仮読みだ。
しかし契丹をキタイとするのはちょっと当て嵌まらない。キルタンとでもその時点では読んでいたのか?あるいはキルギスタンを簡略化して表記したのか?
匈奴もケルト、クルド、ゴート、ゴルド、グルドなど?決め手がない。漢字2字で表記しているので少なくとも2音節の固有名なのだろう。奴をドと読むのか?日本地名においてはこの字で奴国と書いてナコクと読むのが通例なので私は考え込んでしまう。
表記した中国人は日本と北西の遊牧民とで字を区別して書き分けたわけでもなかろう。この場合、朝鮮半島文化人の表記習慣も考慮しなければならないかもしれない。
日本の古代史となるどこまで法則性が当てはまるかはかなり疑問だ。日本語とみらる固有名はかなり開音節だと考えられるので厄介だ。また地方言語となると閉音節も口語としては多い。
邪馬台国だってヤマタイと本当に読んでいたのか疑問ではある。
漢字による音写に関して法則性があればよいがかなり不規則なものでもあるからその都度解読には苦労する。複数の諸資料を突き合わせて共通解を求めるしかなさそうだ。

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